「海外視察レポート」パリ編 グラン・パリ整備事業とパリの都市交通政策の最新状況

当団体代表/望月真一が、先月末に視察した、パリの最新都市政策、交通事情等について報告します。以下はレポートの抜粋となります。


海外視察報告
【グラン・パリ整備事業とパリの都市交通政策の最新状況】

ヨーロッパモビリティウィークナショナルコーディネーター
日本担当 望月真一

【グラン・パリ事業】

図:グラン・パリ・エキスプレス(Grand Paris Express)計画


●パリ市を核にしたパリ圏全域を一体的地域として、次の時代に向け、戦略的に一段上のレベルの都市圏を実現すべく、サルコジ大統領の時代に「グラン・パリ法」が2010年に制定され、本格的に建設事業がスタートしました。それから、ほぼ10年が経とうとしている今、想像を超える大規模事業にもかかわらず精力的に制度、財政システムが整備され、そして、驚くべきスピードで各所で建設が進められています。

●グラン・パリの核事業である広域地下鉄網整備は、グラン・パリ・エキスプレス(Grand Paris Express)計画と称されていますが、2010年から、パリ市内の既存路線の延伸、新規路線の完成に始まり、2030年(計画通り工事も着手されていますが、現実的には2040年?)までに延べ200㎞、68駅の、一部パリ市内もありますが、パリを取り巻く外側に環状の都市鉄道網を完成します。整備路線沿線はほとんどが、郊外の都市形態を見せていますが、ほとんどが都市化している地区を通すので、その90%は地下であるということも、想像を超えています。そして、多くの駅周辺地区は50-300haほどの再開発を数十か所、同時にスタートさせるという、世界最大の挑戦的なTOD(Transport Oriented Development)と言えます。

●フランスの都市行政の特徴は、”実施しなければ計画ではない”という信条のもと、公的事業実施権限を付与された事業主体(事業の性格上実質的にそれぞれの地方自治体の上位組織として事業推進されている)を設置し、新規の制度、財政措置を講じ、短期の実施を目指していることが、もはや、我々にはないエネルギーとビジョンを持っていることが特筆すべきことです。

【パリの様々な個人移動の公共交通の挑戦】

写真:自転車道(相互通行)を走行する電動スケートボード。


公共自転車、EVカーシェアリング、共用電動スクーター、電動スケートボードについて紹介。

●この一年程度の短い時間のうちに、まだ混乱気味であるものの、人々の交通行動に大きな多様性が出てきました。都市におけるモビリティの質そのもの、道路空間、特に歩行者空間の使い方も大きく見直す必要も出てきていることがわかります。世界で急速に広まりつつある、様々な新しい移動方法が、パリに一度に集中してきました。

●こうしたことを可能としている背景には、公共側の都市交通政策の積重ねがあります。これまでの車一辺倒から、歩行や自転車利用を主体とした道路空間・公共空間の整備が進み、現在の、ラストマイルのモビリティを受け入れられる環境が整ったと私はみています。

パリでは、2000年を境に、自転車走行空間を精力的に整備を進め、総延長200㎞の整備予定だったものを10年ほど前にその倍の距離を実現し、ほぼ同時に自転車と混在する幅、4.5-5.5mのバス専用レーンを一般車線を減らして、市内のバス網を充実させました。また、幹線道路以外の街区内の8m以下の幅員の街区内道路は、路上駐車スペースを最低限に減少するとともに、ゾーン30化して、二輪車駐車場、歩道拡幅、自転車走行ルートの明示、さらには、Velib’とAutolib’導入時にも道路が直されてきたように、ほとんどの道路で2次改良、道路改修工事を進めてきました。

さらに、自転車交通との関連で言えば、2000年には自転車の交通分担率が1%であったのですが、Velib’投入後はすぐに2%にあがり、現在は5%程度となって、街の中でも少しずつ自転車が増えてきたことが実感されます。さらに、現市長は、ことさら謳いあげることもなく、自転車ネットワークを大々的に充実させ、東京並みの15%への引き上げを目標に掲げています。
したがって、この20年の間にほぼすべての道路の改修が進められ、様々なタイプの個人利用の公共交通手段を受け入れる諸条件が整っていたことに他ならないと思います。

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