スージィーに、
「正月ぐらいは、のんびりしたら」
と言う。
一方で自分にも言い聞かす、
「正月ぐらいは、のんびりしようぜ」と。
これは
正月に始まってことでもなく、
年がら年中、貧乏暇なし、
それは昨日もそうだった。
「是非、ロバ家で新年会を」
これは、とあるご夫婦の
たってのご所望だが、
この新年会の準備は既に、
昨年暮れの食材買い出しに始まり、
当日の朝から取り掛かることに。
動き回るスージィーを横目に、
自分なりのお持て成しの
あることを思いついた。
これが「お持て成しのロバ編」、
今年最初の、創作活動である。
先ず、玄関に暖簾を下げて
次に「喜多里亭」の名に恥じぬ玄関を作る。
材料はすべて、家にある物ばかり。
冷やしそうめんを入れる
信楽焼の器に砂を盛り、水を張る。
そこに、有田焼の錦鯉を四匹泳がす池を作り、
池のそばには門外不出の、
純金の親子の蟹を遊ばせる。
夜がきて、客人が訪れる前に
竹製の編みランタンに明かりを灯す。
さも、月明かりに映し出された池の様。
玄関で客人を迎え入れたら、
〝門外不出”は直ぐに撤収。
これは我が家流のお持て成しの演出だが、
そこで
故郷で正月を迎える客人を持て成す
おばあちゃんやお嫁さんを中心とした
ご家族の苦労が目に浮かぶ。
正月に(お盆に)、
子供達が、嫁、孫を連れて、
何家族も大挙してやってくる。
朝は早起き、夜は宴の片付け
そして、次の日の準備と、
夜遅くまで家事に従事する。
中には義母が懸命なのを横目に
客人然として、
手伝うことを知らぬ嫁もいる。
お持て成しをする方は大変だが、
喜んでいただくのが甲斐で
励むのだから不平は無いが、
てんてこ舞いは、正直、疲れる。
かつて、その様を何度も見てきたが、
迎える方は本当に大変である。
そろそろ、子供たちがUターン。
淋しくはなりますが、
これで少しは楽になります。
そこで、
そんなおばあちゃんやお嫁さんに
「本当に、ご苦労さまでした」
の代わりにこの曲を届けます。
残り僅かなお正月を、
この曲でも聴いて頂き、
子供や孫たちの笑顔を思い出しながら、
のんびりと
お過ごし下さいます様に。
「愛の夢」
作曲:フランツ・リスト
ピアノ:フジ子・ヘミング