間もなく、
春日村も入梅の候を迎える。
連日、ジメジメとした
蒸し暑い日が続いているが、
「暑くなるのはこれから」と言う
本格的な夏を前に、
我が家の食卓には既に、
ある夏料理がお目見えした。
我が家にとって、この料理を失くしては
夏を乗り切れないほどの、
夏料理の定番中の定番のこの品は、
古来より受け継がれてきた
伝統料理でもある。
古(いにしえ)の
エアコンも冷蔵庫もない時代から、
人々は工夫して食に涼を求めてきたが、
この料理もそうした夏料理の
一つと言える。
その昔、我が故郷リトルは
「北郷(きたごう)」
と呼ばれた時代があった。
阿蘇谷(カルデラ)の南部を「南郷」
(現在の南阿蘇村)、
北部を「北郷」と呼んだと
古文書にあり、
北郷とは我が故郷、
小国町のこと。
更にその昔、現在の小国町を
治めていた綿貫氏は、
鎌倉幕府からこの地に就いたが、
我が家の夏料理の
定番中の定番のこの品の名の
「冷や汁」は、
私見ではあるが、
綿貫氏が鎌倉より持参したと考える。
今夜のオクラを加えた「冷や汁」に
後で氷を浮かべる。
「冷や汁」は、
九州では宮崎が有名だが、
ウキペディアによると、
「熊本県阿蘇周辺で、
夏の家庭料理として食べられていた」
と記載され、
古くは鎌倉時代の『鎌倉管領家記録』に
「冷や汁」の記述が見られ、
今も鎌倉には「てて屋」と言う
冷や汁を食べさせる店もあるのを
調べる内に見つけることができた。
子供の頃はリトルのどの家でも、
夏には「冷や汁」を食べている
とばかり思っていたが、
数年前、最初に「冷や汁」を
日記を書いた時、
スージィーの家も、ヴァリィーの家も
一度も食したことがないことを
知ったが、
山女魚小僧の家では、
川魚のハヤを焼いただしで
作っていた「冷や汁」も、
昔と違って今は、
あごだしをベースにした
市販の上質の出しもあって
手軽に作れるようになり、
スージィーは暑い日にはみずから
好んで作るほどの料理でもある。
家庭によってレシピは異なると思うが
市販のだしと胡麻と味噌と豆腐に
きゅうり、大葉、みょうが等の
夏野菜があれば、
簡単に作れる「冷や汁」を
是非、夏料理の一つに
お加え頂きますように。
レシピは、スージィーまで。
「補足」
前述の綿貫氏は、
北郷「きたごう」を、「きたざと」と改め、
後に北郷が「北里」に変わり、
自らの姓を、北里として、
細川藩の時代に小国に
「北里手永」を置いたという
属に言う、総庄屋のことである。
「手永と総庄屋」
細川熊本藩主が豊前と肥後で
寛永十年に施行した地方行政区画として
村を束ねたものが「手永」で、
その代表者が総庄屋。