ここに、英文と和文の2冊が入った
梱包段ボール紙が日焼けし、
角が擦り切れてしまった詩集がある。
この本は、出版された
1972年のこの年に
21才だった音楽好きの青年が、
当時、2800円の大金をはたいて
買い求めて以来、
ページを捲(めく)る機会は
なくなった今でも、
後生大事にしてきたものである。
昨日の昨日まで、
書棚に眠っていたこの本が、
何故、今日になって突然、
日の目を見たのかは
説明不要。
昨夜のニュース速報、
それにしてもまさかの、
文学賞とは!
半世紀近く、彼の音楽(曲と詩)を
追いかけてきた者としては、
この名誉ある受賞を
諸(もろ)手を挙げて賛同し歓迎する。
一番好きな曲が、
名盤「ブロンド・オン・ブロンド」
に収められた11分23秒に及ぶ
「Sad-Eyed Lady of the Lowlands」
(ローランドの悲しい目の乙女)
著作権の関係か、
Youtubeでオリジナル曲が
見当たらない・・・
ところが、運よく今夜の曲が収められた
「Highway 61 Revisited」
(追憶のハイウェイ61)
がリリースされた1965年の
貴重なフィルムを見つけたので
(余談だが、このフィルムで、ディランの左に
ぼんやりと映る ギターリストは
どうも、マイク・ブルームフィールドっぽい。
となると、オルガンはアル・クーパー。
であれば、本当に貴重なフイルムになる)
今夜は「 Like a Rolling Stone」を
昨夜に続いて、
若かりし頃を振り返り
しみじみとこ聴くことにした。
文学賞を受賞した彼の才を
感じて頂けると思うので、
願わくば是非、
詩を追いかけて欲しいもの。
補足
1972年出版の
「ボブ・ディラン全詩集」は、
1962年最初のアルバム
「 Bob Dylan 」から、
1970年リリースの
「New morning(新しい朝)」
までの11枚のアルバムが対象。
Bob Dylan
「 Like a Rolling Stone」
(転がる石のように)
♪
昔、良かった頃は派手に着飾って
浮浪者に10セント硬貨をやってた、そうだったよな
皆は言った、”気をつけろよ、堕ちちまうぜ”って
でもからかっているとしか思わなかっただろ
あんたはよく笑ってた
ふらふらしているような奴らを
今では声高に話すこともなく
プライドもなくなっちまったみたいだ
食事をあちこちであさるような
生活をしなきゃならないんだから
How does it feel ?
How does it feel ?
To be without a home ?
Like a complete unknown ?
Like a rolling stone ?
どんな気分だ?
何を感じる?
帰る家もなくして
誰にも知られることなく
ただ転がる石の様になってさ
最高の学校に行っていたよな、ミス・ロンリー
でもわかったんだ、あんたはそれに酔ってただけなんだって
誰も道端で生きていく方法なんて教えてくれなかった
これから慣れていかなくちゃならないな
あんたはやり取りする気はないって
変な浮浪者と絡まないと言うけど、気付いちまった
奴らは言い訳を売ってるわけじゃない
奴らの空虚な目を見るほど感じるだろう
そして言うんだ、”取引したいの?”って
どんな気分だ?
何を感じる?
たった一人になって
帰る家もなくして
誰にも知られることなく
ただ転がる石の様になってさ
ジャグラーや道化師の
しかめっ面を見て回ることもなかったな
その時皆企んでいたんだよ
気付きもしなかったよな、あんまり良くない状況で
あんたは反感を買うようなことをすべきじゃなかったってこと
話がうまい奴とよくクロムのきれいな車に乗ってた
奴は肩にシャムネコを乗せていたよな
さすがにすべてが分かったときは辛かったろう
奴は本当は良い奴じゃないって
あんたが盗れるだけ何もかも奪われた後で
どんな気分だ?
何を感じる?
たった一人になって
帰る方向なんてなくした
誰にも知られることなく
ただ転がる石の様になってさ
塔の上の王女や、きれいな服を着た人々は
酒を飲み、自分たちはやりきったって思って
貴重な贈り物を交換し合ってるのさ
でもあんたはダイヤのリングを外すんだ、質に入れちまえよ
よく面白がっていたよな
堕ちたナポレオンと、ナポレオンの言葉をさ
彼のとこに行くんだ、呼んでるぜ、断れないよ
何も持ってないということは、何も失わないということだ
あんたは今透明になった、隠す秘密も何もないんだよ
どんな気分だ?
何を感じる?
たった一人になって
帰る家もなくして
誰にも知られることなく
ただ転がる石の様になってさ
♪