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羽田のハブ空港化構想は合理的

2009年10月13日 22時22分12秒 | Weblog
羽田のハブ空港化構想は合理的

人口が減るというのに、空港も新幹線も道路も、交通網だけは増えっぱなし。維持管理費や将来の補修費を考えるとぞっとする。

縮小するパイを奪い合い、有料道路が安いと、船や鉄道が腹を立て、鉄道はといえば駅ナカショップ栄えて安全対策はたなざらし。

空を見上げれば、JALは地に向かって真っ逆さまで、つくりすぎた空港どうし、いがみ合う。いやはや、ずさんな運輸行政には恐れ入るばかりだ。

さて昨日、前原国交相が橋下大阪府知事に会ったさい、また一つ物議をかもす構想をぶち上げた。

「羽田を24時間オープンのハブ空港にしたい」.。これは大きな方針転換ではないか。

羽田は再拡張により、来年には第4滑走路と国際線ターミナルビルが完成する。

年間の発着枠が27万5000回から40万7000回へと増え、発着枠不足が解消されるため国交省は3万回程度の発着枠を国際線に割り当てる方針だった。

現在、羽田ではソウル、上海、香港便が年間1万回ほど発着しているが、基本的に「国内線は羽田、国際線は成田」の、いわゆる「内際分離」となっている。

前原国交相は羽田の国際線を将来的には大幅増便するということなのだろう。ちなみに成田の国際線発着回数は2007年実績で17.8万回だ。

ビジョンなき空港建設を国内でやりあっている間に、成田も関西空港も、アジアの空の中心「ハブ空港」の座を韓国・仁川やシンガポール・チャンギ空港などに奪われてしまった。

前原国交相の発言は、拠点空港を自負する成田、関空、中部にとって、さぞかし悔しいことだろう。

しかし、国地方入り乱れて欲ボケ航空行政を続けてきた過去のしがらみを断ち切り、新しい一歩を踏み出すための方針転換宣言と受けとめるほかなさそうだ。

都心に近く、地方空港からのアクセスもいい羽田がハブ空港化し国内線、国際線が集中すれば、乗客にとってはこのうえもなく便利だ。

その場合、成田はどうなるのか、という問題はそのまま残るが、まずは日本に国際的に見て利便性の高い空港をつくることが肝心だ。国内のしがらみより、国益が重要である。

国内線と国際線を遠く離れた二つの空港に切り離すという発想じたいがおかしい。

さて、アジアのハブ空港をめざして、ハブ空港たりえていない関空の話を少し。

海上空港である関空はそもそも、市街地のど真ん中にある大阪空港の騒音問題から生まれた。

周辺住民が夜間空港使用の差し止めや損害賠償を求める訴訟を起こし、午後9時以降に飛行機が発着したら騒ぎになって、新聞もベタ記事ながら掲載したものだった。

周辺11市は騒音公害問題やマスコミの論調に気を使い、池田市を除いて、タテマエは空港撤去、本音では空港存続という、ある種ごまかしの姿勢でしのいできたが、「関空建設、大阪空港撤去」が現実に突きつけられると、態度をひるがえして、全市、存続に傾いた。

そういう経緯で、関空と大阪空港が並存することになり、そのうえに、神戸空港までが加わった。そもそも、狭い地域で三空港が経営的に成り立つはずがない。

とくに、和歌山に近い関空は出張族のマイホームが集中する阪神間や大阪北部からはあまりに遠く、利便性が極めて悪い。利用者の多い地域にある大阪空港の国内線がにぎわい、その分、関空の利用が伸びないのはあたりまえだ。

政官業トライアングルの利権がからむ愚かで壮大なる国と地方の失政だったというほかないだろう。

関西の三空港問題を解決するのは容易ではない。橋下知事は「関空がハブ化しないのなら府からカネは出せない」と息巻くが、国内航空需要が増えないなか三空港がひしめき合っている現状では、ハブ空港としてふさわしい地方路線と便数確保は難しいのではないか。

羽田のハブ空港化構想も、政権交代が生んだ合理的発想といえるだろう。


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