みずけん戦記

せめてもう少しだけ、走らせてくれ。

ケッチと行く関門海峡一人旅、その二「角島編」

2011-05-15 23:09:05 | 自転車
 4月30日、山口県は滝部の旅館で、連休中もお仕事の職人さん達と一緒に朝飯を頂き(何しろこの旅館は現場系の方々が良く泊まられるので…)、俺は軒下に置かせてもらっていたケッチにまたがり、北に向かって走り始めた。

 この日の、というかわざわざ山口県の北の方で宿を取った目的は、同県の北の果てにある、角島に行くことであった。


 俺は、去年秋口にたまたまこの辺りに仕事に行ったことがあり、たまたまその直前にこの島にかかる橋、角島大橋の画像をネットで見ていたく感動し、是非行ってみたいと同行した人に無理を言い(本当は角島には用はなかったのだが…たまたま時間が余ったので)現地に行ったらもっと感動し、今度は自転車で行きてーなと思っていたのである。

 そして、山を抜け、「特牛」(←読めるかな?)という町の港を抜け、最後に坂を一つ登り切り、下った先。


 見えた!


 えーネットで調べたところによると、離島にかけられた通行料金無料の橋としては、沖縄の古宇利大橋に次ぐ国内二位の長さであると。

 しかし。

 ここで感じるのはそんな一位とか二位とかいう記録ではない。

 日本海を豪快にブチ抜くこの角島大橋の前に立つと、この国にこんな異世界があったのかという感動に襲われる。

 とりあえず、橋の横にある広場から何枚か写真を撮って、イザ念願の角島大橋、ケッチで渡ってみた。


 ここは不思議なところで、去年行った時もそうだったのだが、滝部あたりが曇り空で、雨が降るんじゃないかと懸念して角島大橋にくると、ここだけはまるで別の気候であるかのように妙に天気が良かったりするのだ。

 日差しが照りつけ、強い海風が欄干の間を抜けて楽器のように音を鳴らす中、俺とケッチはこの大橋を走りぬけた。
 生きること、自転車に乗るということがこんなに刺激的だと感じたのはどれくらい久しぶりのことだろうか。


 感動ひとしおの中、去年は行かなかった角島の端っこの方まで行って見る事にし、橋から続く一本道をそのままずーっと走り抜けた。思ったよりも長い。

 角島をひたすら西に走りぬけた先に、白い灯台があった。

 自転車を停め、200円だかを払って灯台に登ってみた。
 どうも昔作られたときの構造がそのままのようで、狭い螺旋階段を登りきると、日本海が広がる景色が広がる展望スペースに出られた。
 意外と観光客が多数いる中、柵はもちろんあるが狭い(幅1mくらい?人がやっとすれ違える程度)スペースに海からの強い風が吹き付ける中、おっかなびっくり写真を撮りつつ景色を眺めた。

 灯台の足元に灯台の資料館があったので寄ってみたんだが、どうやらこの灯台、明治初期に御影石で作られたものがほぼそのまま残っているらしい。


 ここ角島は、地図で見て頂ければ分かると思うが、海洋交通的には何と言うか「曲がり角」的な場所、資料館では確かここが針路変更点だったっけかな?と要するに重要な地点であり、そのため古くからナビゲーションのための灯台が欠かせなかったと。

 そんな歴史のある灯台があると初めて知り、角島って実は日本における重要な島なんだなあとこの地に対する思いを新たにした次第。

 その他、資料館には港や海上で不審な船や人を見かけたら118番ということも書かれていて、まああまり詳しくは書かないが場所柄結構危険な匂いのする海って気はするので、なるほどなーと思ったりもしたな。ちなみに118番はマイナーだけどレッキとした緊急通報番号なので間違えないようにしよう。


 そんなこんなで、角島を満喫したあと、当然角島大橋を渡って本土に戻ったのだが、帰りは行きよりさらに風が強く、欄干が低いので飛ばされて海におっこっちゃわないかとビビリながら走ったというのが実情…


 帰り際、名残を惜しみながら、本土側の大橋を上から見渡せる場所に上り、今回添付した写真を撮影。

 この場所から大橋を見ると、この世のものとは思えない景色が俺の脚を止めてしまう。


 この時俺は、いつの日かここに住みてーなと思った。

 しかし、今はまだ、行かねばならないところがある。


 名残を惜しみつつも角島大橋を後にし、ケッチで今度は関門海峡に戻るべく、海沿いの道を一路南へと走り出した。
 

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