隨に｜父の日

学生時代に父が九州へ単身赴任した時期があった。
母が心配してしょっちゅう父の元へ飛んでは数週間帰ってこなかった。

こちらも既に自分で冷蔵庫からなんでも出して食べられる年齢だったので
熱心に通っていく母を見て仲の良い夫婦だなぁと思うばかりだった。

我が子もだんだん大きくなってきてあと何年かすれば、当時の自分と同じ
くらいになる。もし同じ状況になったら、遠隔地で暮らす夫の元へ、
たびたび時間を割いて訪ねていくかといえば行かないと思う。

夫は30代をほぼ独身で暮らしたひとだから、一人暮らし再び！とウキウキ
張り切って部屋探しをするだろうし、ご当地料理や観光名所に触れようと
忙しく過ごすことだろうとおもう。古女房のつくる飯が食いたいなどとは
言ってもくれない気がする。マイペースで機嫌良くお過ごしになるだろう
から邪魔する必要もない。働いてくれることに感謝しながら我が子と普段
通り過ごすことに集中すると思う。

父は無欲な人で、放っておいたら僧侶のように淡々と同じサイクルを保ち
同じものを食べて、多くを持たずに暮らすだろう。健康のために色んな
ものを口にしてほしい、母は心配したんだと思う。

そんな父がよくお土産として買ってくれたのが明太子だった。
メーカー直営のオンラインショップを見つけたので、父の日に合わせて
直送してもらった。物静かな父から短いメッセージが届いて嬉しかった。

大企業のひとつが出社しなくていいフルリモート制度を導入すると発表して
話題になっている。もう単身赴任しなくてよくなる。出社は出張扱いにする
から航空券代も出すという。

時代はここまできたんだなぁとボンヤリと当時の父と母の様子を思い出す
父の日だった。

隨に｜いい歌だなぁ

高校生のころ、月に3,000円のお小遣いをあれこれつかってしまうのをちょっと
ずつ我慢して好きなアーティストのCDアルバムを買いに行くのは本当に楽しみで
新星堂に行っては新譜発売スケジュールがぎっしり載ってる冊子をもらって帰り、
買えないまでも〇〇新譜出るんだ〜とか〇〇ベスト盤発売か〜とか洋楽も含めて
眺めてるだけで楽しかった。

CDシングル1枚1000円前後だったので、すごく気に入ってる曲はアルバム発売
まで待ちきれず手を出してしまうことはあったけどいずれアルバムに収録される曲
を単体で買うのは惜しくていつも我慢していた。

今やサブスク式でAmazonだとAmazon Prime Musicでほんとに懐かしい曲も
どんどん検索して聞けちゃうのでひとり懐メロしちゃったりして……今日は家事
しながらいい歌だなぁってしみじみ歌詞を聞いてて思ったのがオリジナル・ラヴ
のヒット曲。

当時は、いまでいう推しのいつも買いもあれば単発で良いなって買っちゃうのも
あったけどぜんぶなんて望めないからFMラジオのカウントダウン番組を聴いて
楽しんだり、歌番組にチャンネルを合わせて視聴したり。オリジナル・ラヴの
CDは持ってない。

でも懐かしくて聞いた「接吻」、当時もいいなと思ってたけどいま聴いても大変
よく、たたみかけるようにこの曲が耳に入ってきたら心に刺さった。
「いつの日よりも 今の君が一番いとおしい」っていうのがもうね。
歳を重ねてみると、この歌詞を歌ってくれる男性、すごく素敵だ。
結婚20うん年、いつの頃からか節目ごとの何かもなくなり、ただ通過していく
だけになった。こんなこと言ってくれたらずっと綺麗なままでいたいって思う
だろうなぁ。若い頃と違う姿になったと自覚がある側には「瞳の輝き」って言葉
に愛があって、シミとかシワとか白髪とか太ったとか今ではもう変わってしまった
自分を気にしてるほうへ、有無を言わさずピュンて愛が飛んでくる。

下にMVをつけておきます。
リラックスタイムにご一緒に癒されてみていただきたい。

「朝日のあたる道」歌詞/作曲　田島貴男
　　　……抜粋……
ふと想う 過ぎた年月を
しばらくぶりに君と 長く話し込み
夜が明けてく
あの頃の想い 瞳の輝き
今もそのまま同じ

いつの日よりも 今の君が一番いとおしい
My Sweet Heart
永く いつの日もずっと 今の君をこのまま愛したい
My Sweet Heart