或る双子座の日々

這是一個雙子座的生活日記。
つれづれなるままに

映画|EXIT

2022年05月28日 | 映画
今週末は何を見ようか考え中の方におすすめしたいハッピーエンドでカッコ良すぎない
主人公の映画を。ちょっとだけネタバレしますから嫌な人は読まずにご鑑賞ください。

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奇しくも今はコロナの感染拡大に人類が右往左往しているさなかなわけですが、この
映画では街じゅうに正体不明なガスが広がって大騒ぎに。やや荒唐無稽でゾンビ映画
かと笑い出したくなる導入かも知れません。ただ終始一貫して明るい主人公の純粋な
エネルギーが良い感じに作用してハッピーエンドまで一直線で見終われます。

見終わってから俳優さんのことを知りたくなって少し検索したらすごい苦労人。某国
には兵役がありますから芸能人という華やかなりし職業の人が古傷や持病で厳しい
兵役に耐えられないとなると免除であったり、代替として社会福祉的な部門での労働
をすることがあるようですが、それについてその昔から偽の診断書を用意する事例が
あとをたたなかったせいで炎上の的となりやすく「兵役逃れ」のそしりを免れない。

そんななかこの俳優さん、免除になった。理由が生活困難者という。父親が早くに
他界し、自分が働いて家計を支えないと母親が暮らしていけない、実際に公の機関
から家計について調査も入った結果、やむなしとなった経緯があったと。

いまではおしもおされぬ人気俳優さんなので貧乏だったと信じてもらえず、度々話題
にされその度に貧しかった頃を想起させられるなんて普通に考えたらひどい仕打ち
だけどめげずにやってきている人柄がしのばれますね。そんな彼だからこそ持ち得た
人間的魅力が俳優さんとして様々な場面を演じるにあたって暗くなりすぎず、
といってリアリティを失わせないバランス感覚を支えているのかも知れません。

もし映画を見て俳優さんのファンになったら、「賢い医師生活」という連続ドラマ
シリーズで、やはり人間味があって照れ臭くて愛を語れず、チャーミングな男性役
を演じておりこれまたとても良いのでおすすめします。

さてここから少しだけネタバレに戻りますけど誰しも昔取った杵柄っていう得意分野
がありますね。主人公の場合は山登り、びっしり揃えた装備を部屋に持っていても
役立たずだと思われてしまうシーンが冒頭にあるのですが、そのような打ち込んだ
何かがピンチに生きてくるってあるよ!!という応援メッセージのようでもあり、
憂さの多いご時世でもなんかかんか頑張って生きていかなきゃなって、平日を終えて
ぼんやりと過ごすだけでも疲れて「また週末が終わっちゃう」と無力感にさいなまれる
ようなとき、誰に説教されるわけでもないこういう映画はいいと思います。


「EXIT」予告編(🇰🇷2019年公開)
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映画|ビューティー・インサイド

2022年01月04日 | 映画
設定が斬新だったので正月休みに何見ようかな〜新年にあんまり深刻なテーマの
映画を見るのも嫌だけど若い子向け過ぎて気恥ずかしくなるラブコメも気分じゃ
ない。ましてアニメを見ようとも思わないし、なにか軽く見られるもの無い?と
いう方に。

ブログに書くに当たっていつも通り予告編など検索しましたところ、公式が
作っている映画HPがあまりにも充実していてもはや一文字も記事にできない位。
『ビューティー・インサイド』公式サイト

主人公の外見がコロコロ変わった場合、変わらずに愛することができるのかと
いう主題に伴って、主人公の同性の友達が一人だけ理解者としているのですが
この人が愛すべきキャラで彼が笑うとつられてこちらも笑いたくなるようなで。
ちょっと下品なとこやズケズケもの言うところも女性への声かけのオジサンな
やりとりなど鬱陶しいとこもあるけど、なんか良い人なのでエンディングまで
に彼にも恋人ができて欲しかった。

苦しみながらも主人公と生きていきたいと決意した恋人。しかし、いざご家族
にご挨拶へうかがって果たして理解してもらえるのかという第一関門について
思いを馳せずにいられないけど、そのまえに映画は終わる。
その一点はモヤッとしなくはないけれどもハッピーエンドで終わらせている。

日によって外国人にすらなってしまい母国語が変化して友達に電話しても通じ
なくなるやら、老人になったり子供になったり、フランツ・カフカは虫に変身
するお話を書いたけど、現代に置き換えたらまさにこんな風になるのかなと
思いました。

新年早々、あんまり重くもなりたくないし、道徳くさいのも嫌。
ボーッと見られる何かとしては最高の軽さがある映画でした。



公式予告編)ビューティー・インサイド

『ビューティー・インサイド』予告編

目覚めるたびに姿が変わってしまう僕が、ひとりの女性を愛してしまった――。史上初1役123人が演じる

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映画|震える舌

2021年07月15日 | 映画
いまから三十うん年前、小学校高学年になったとき、校内は「すっごくすごく
怖い映画を見させられるよ」。上級生のきょうだいがいる子を中心にヒソヒソ
広まった。そしてそれは本当だったし、タイトルは「震える舌」だった。

ある日、授業時間の余ったタイミングで「みなさんにある映画を見ていただき
ます」と先生が切り出したとき、クラスはどよめいた。「千葉県には風土病が
あります」「風土病、意味わかりますか?」「ある地域でよく見られる病気、
ということです」「破傷風です」「破傷風、聞いたことある人?」「この映画
は、あまりにも怖いので少し先生たちが見るところを区切ってます。遊びで
見るんじゃないですよ。小さい子にはかわいそうだから高学年になったあなた
たちにだけ見せるんです。」と続けると学年の先生方が手分けして機材を運び、
あれよあれよで始まった。

内容は「ある女の子が破傷風にかかって回復するまで」。学校で見たのは闘病
シーン中心。途切れ途切れで前後関係もなにもよく分からなかった。Amazon
Primeで初めて通しで見られて長年不明だったいきさつがわかってスッキリした。
現在のドラマや映画では暑さで汗がしみ出た衣装は見なくなった。男性俳優陣の
シャツにしみた汗の大きさは常にリアルでこれがフィクションだということを
忘れさせるほど凄みをうんでいた。我が子の破傷風発症と壮絶な闘病を見守る側
になった両親の細菌への恐怖感、打ち消しても浮かぶ不安。反転ぶりを強調する
序盤に描かれた若夫婦の日常。先生がたが見せないと決めたのは、ボロボロと
崩れていく両親の精神的つながりや我が子を愛するがゆえに母親が錯乱状態に
なっていく諸々の描写だったと判明。

今回の心象スケッチは、十朱幸代さんと渡瀬恒彦さんの意表をついた一瞬のキス
シーン。ドキッとしますよ。2人とも息の長い役者さんとなったのも納得のキャー
キャー言いたくなっちゃうワンシーン、ぜひ見ていただきたい。



さて、親子の接し方や夫婦の会話などに所々時代背景の違いが濃く出ているとは
いえ、いま見ても怖いのは、親も医師も症状と病名に心あたりがなくなって久しい
こと。歩行が困難になったり、歯を食いしばって体に力が入ってアーチ型に背中を
そらせ、次第に音に敏感になり悲鳴をあげてギリギリと口をつぐみ、舌をかんで
しまい、口元から血が溢れる。そんな姿を見て、ああこりゃ破傷風だとピンとくる
だろうか。

時代は変わっても、こどもに自然と触れ合う時間を与えたい、大人も山や川や海へ
出かけて行ってリフレッシュしたい。そうでなくてもガーデニングが趣味で土を
いじる人もいる。

当時の教員たちが思い切って教材としてこれを見せたことに「怖すぎる」「ひどい」
と口々に恨みごとをいう同級生がいたけれど、あれ以来、この映画を忘れたことは
ないし、今となっても感謝が先に立つ。

ここで改めて調べてみると国立感染症研究所は「日本では、現在は年間約100人が破傷風を発病し、このうち5-9人は破傷風が原因で死亡しています。破傷風にかかる人は、1968年より前に生まれワクチン接種をしていない人に多く、この感染症の予防には、ワクチンの接種が重要であることがわかります。」とあり、日本血液製剤機構では「破傷風予防接種の対象となる【昭和42年以前に生まれた方・10年以上追加接種を行っていない方・長期海外赴任、途上国への渡航を予定している方】は保健所あるいは医療機関にご相談ください。」と解説。

何も千葉県だけに限られた話でなく日本の国内事情として手洗いや傷口の消毒と
いったごく日常的な清潔の基本が昔もコロナ禍に喘ぐ今に至ってもいかに重要か
気づかされる。

いまだに撲滅されていない病気を真正面に扱っており、もう少しマイルドにアニメ
作品などで取り扱われない限り、伝説の映画はこの先も伝説であり続けると思う。

参考URL:
「破傷風とは」国立感染症研究所HP
「日常生活に潜む破傷風」一般社団法人 日本血液製剤機構HP



1980年公開。「震える舌」松竹チャンネル 予告編

映画『震える舌』 あの頃映画松竹DVDコレクション / 野村芳太郎監督 破傷風に侵された少女と、それを看病する両親の闘病記を、ホラー映画のように纏め上げた異色作。

2011/11/23 DVD発売!
『あの頃映画松竹DVDコレクシ...

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映画|最高の人生の見つけ方

2021年07月07日 | 映画
邦題はずいぶんと大胆に変えちゃってて、そりゃまぁバケッツ。「バケツリスト」
とそのままってわけにも行かなかったのでしょうね。見終わってからだと絵本の
タイトルみたいなこの邦題が実に考え抜いたものだとわかるけど、正直この長い
邦題だけ見てだったらなかなか見なかっただろうな……でも有名な映画だし昨年
の緊急事態宣言下でコロナの体験談やあっという間に症状が進んでしまった悲劇
的なニュースに触れて、ふっと見てみる気になったもの。

なんか死ぬまでにやりたい幾つのこととか死ぬまでに行きたい幾つの場所とか
いう本や何かがブワーッと世の中に流行った時期があったけどこの映画が発端
だったのかと英語タイトルを見て気づいた。

映画は開始6分頃からテンポよく進み始める。やり残したと思ってたことを
やってみる。重くなりすぎないちょうどいいテンポで描かれる。軽薄じゃなく、
見ている人を気鬱にせないバランス感覚だと思う。
そして、どこか男性版シンデレラストーリーな面があるので単純に面白い。

見ていて感心させられるのがお金持ちさんの秘書。一度はクビ!と言われて
去ったんだろうけど倒れたボスのためには当たり前のように病室に戻ってきて
従来通りに世話を焼いてくれる。問われれば「全財産を僕に残して」と冗談
とも本気ともとれる軽口くらいちゃんと言い返せる。長い付き合いに見える
けど本当の名前すら呼ばれず、勝手な名前で呼ばれてもいる。でもいちいち
反論せず、流してるのがスマートだ。卑屈になりすぎない態度もいい。
二人の主人公なき後、そんな人柄と頭脳を生かして必ずや良い人生を送って
いるだろうと信じずにはいられない。

この作品は、誰かと見るより、一人で見て一人で何かを考えたらよい。
そんな映画でした。

「最高の人生の見つけ方」2007公開🇺🇸予告編

The Bucket List (2007) Official Trailer - Morgan Freeman, Jack Nicholson Movie HD

The Bucket List (2007) Official Trailer - Morgan Freeman, Jack Nichols...

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映画|目撃者

2021年05月08日 | 映画
自分が中学生くらいの頃、お爺さんが通りすがりや近所の若者を注意して殴られ重症で
あるとか刺されて亡くなったといったニュースが多く流れ、昭和的人付き合いはもはや
身を危険に晒すと。見猿聞か猿言わ猿で過ごすのが身のためという風潮が定着したよう
に思う。

そして今回おすすめする映画は、タイトルそのまま。偶然に犯罪を目撃してしまった
ところから始まる。果たして誰でもがタイムリーに通報に移れるだろうか?という現代
社会に対する哲学的問題の投げかけとなっている。

主人公が「家族を危険に晒したくない」一心で関わらないと決めるのに、状況は悪化し
ていく。良心が痛んでも、躊躇なく人を殺していく犯人を前にして立ちすくむ。ときに
滑稽にさえ見える右往左往ぶりだがそれをどうして笑えるだろう。どうやら何か知って
いそうだと勘づいたベテラン刑事から協力を求められても「協力したら警察が家族を
守ってくれるのか?!」と言い返す主人公の言い分は正に見守る観客と心が一つに
なるシーンだった。

だから心象スケッチは、犯人が目撃証言したらタダじゃ済まないぞと暗がりから無言で
凄む姿と愛する家族が鉢合わせして通報したくてもできなくなった身も凍る瞬間を。



激情家の国民性を反映して、犯人の報復を心配してたら埒が開かないといらだった主人
公が逃げる犯人を追いかけて直接対決する。死に物狂いでやりあうところは一気に
「おはなしおはなし」で画面も暗く内容も見づらくなるため10秒スキップを何度も使い
飛ばさせてもらったけど、この映画が訴えているテーマは意味があると思う。

ちょうど見終わった翌朝に茨城の迷宮入りしていた殺人事件の容疑者逮捕のニュースに
触れて余計に説得力があった。最後の最後、殺人事件に理由や原因を知りたくなる一般
の人々が考える「なぜ?」の答えが最初から無いような犯罪があると実にあっさりと
結論づけ、フィクションとはいえ映画を通して鮮やかに描き切っていた。

2018年公開

2019/4/19『目撃者』DVDリリース!

本国初登場第1位!大ヒット韓国スリラー、遂に解禁!!
殺人鬼と事件の目撃者、2人の男の命を賭けた壮絶なる追跡劇が始まる!

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