現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

庄野英二「日光魚止小屋」ファンタジー童話傑作選1所収

2023-06-27 08:55:40 | 作品論

 「誰も知らない小さな国」で、現代児童文学(定義などは他の記事を参照してください)のスタートを飾ったと言われている佐藤さとる(創作だけでなく、「ファンタジーの世界」のような啓蒙的な専門書の著作もあります)が編集したアンソロジーの巻頭作です。
 この作品の初出は、1970年6月に出版された作者の短編集「ユングフラウの月」です。
 主人公(作者の分身と思われます)と狐の親子との交流を、彼の山小屋(別荘)を舞台にして描いています。
 作者自身が好きなアウトドアライフと動物ファンタジーを融合させた、作者独自のおしゃれな短編になっています。
 野外調理用のスウェーデン鍋や固形スープなどともに、がんもどきを登場させるなど、和洋折衷のユニークな作品世界を展開しています。
 編者は、巻末の解説でこの作品について、
「こんなタイプの作品を書く作家は、おそらくこの人をおいてほかにいないのではないかと思う。澄んだシロホンの音色のようにハイカラな作風だが、その底には江戸以来の日本人のユーモアが漂っていて、思わずひきこまれてしまう」
と、書いていますが、全く同感です。

 


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