goo blog サービス終了のお知らせ 

現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

神沢利子「海のたまご」いないいないばあや所収

2016-11-18 08:32:36 | 作品論
 いよいよ札幌を離れて樺太へ向かう日がきました。
 主人公たちを乗せた列車が発車した時、ばあやは泣きながらホームで後を追いました。
 かあさんやにいさんも泣いています。
 しかし、主人公だけは泣けませんでした。
 新しい旅立ちのために、新調したよそゆきのかっこうをしていたからでしょうか?
 汽車と連絡船を乗り継ぐ長く苦しい旅の末に、ようやく樺太の島影が見えてきました。
 主人公は、樺太での新しい生活にむけて決意を新たにします。
 子どもの日々と決別して新しい世界へ出発する日は、児童文学では重要なモチーフです。
 ミルンの「プー横丁にたった家」、モルナールの「パール街の少年たち」、皿海達哉の「野口くんの勉強部屋」など、多くの印象に残るシーンが思い出されます。
 この作品では、最も幼い時期への決別が鮮やかに描かれています。

 
いないいないばあや (岩波少年少女の本)
クリエーター情報なし
岩波書店

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 児童文学における老人の役割 | トップ | 無心の一射 »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作品論」カテゴリの最新記事