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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

荻原規子「レッドデータガール」

2017-01-15 10:24:33 | 作品論
 このシリーズは、美男美女といった際立った特長を持ったキャラクターたちを用いたSF仕立ての学園ラブコメを、ライトノベルの手法(読者がすでに共有している世界観の利用、キャラクター重視、リアリティを追求しない、ストーリーの整合性を求めないなど)を用いて書いた、エンターテインメント作品だと思われます。
 そこには、今までの児童文学内の少数の人たちに褒められる(賞を取る)作品よりも、より多数の読者を獲得しようという荻原の意図が明瞭に感じられます。
 それは、荻原が長年勤めていた中学校の事務の仕事を辞めて、100%プロの作家になることへの決意表明なのかもしれません。
 このブログで繰り返し述べていますが、現代で児童文学作家として筆一本で生きていこうとするならば、エンターテインメント(特に2000年代半ばからはライトノベル的手法を取り入れる必要があります)か、L文学(女性作家による女性を主人公にした女性の読者のための文学)か、幼年文学(対象は幼稚園児から小学三年生ぐらいまでで、本の選択に媒介者である大人が深く関与しているので、旧来の現代児童文学の書き方でも対応できます)か、絵本(子どもから大人まで広範な読者が期待できます)の四つの分野の本を書くしかありません。
 このシリーズは、そのうち前二つの分野をカバーしているので、商品性は十分にあります。

RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと (カドカワ銀のさじシリーズ)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)

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