現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

米澤穂信「柘榴」満願所収

2017-02-24 10:03:17 | 参考文献
 評判の短編集の三作目ですが、これも期待はずれでした。
 美貌と駆け引きで、ねらいの男を射止めた女の話です。
 その男に生活力が全くないことを思い知らされて、二人の娘たちがある程度成長してから離婚を決意します。
 当然娘たちの親権を得られると思っていたのですが、娘たちの思いがけない裏切りにあって、親権を男に取られてしまいます。
 女から美しさを引き継いだとされる娘たちもまた、その男の魅力にひかれていたという設定なのですが、肝心の男の魅力が全く書かれていないので、まるで説得力を持ちません。
 作品のほとんどが説明文で書かれていて、男の魅力だけでなく女や娘たちの美しさもきちんと描写されていません。
 特に、全ての女性を虜にするという男に関する描写が皆無なのは致命的です。
 児童文学の世界でしたら、商業出版ではなく同人誌レベルの出来でしょう。
 いや、私が属する同人誌であれば、同人誌に載せる以前に、初稿の合評会の段階で作者はコテンパンにされると思います。

満願
クリエーター情報なし
新潮社

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