現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学に登場する双子

2017-12-02 08:57:39 | 考察
 児童文学にはよく双子が登場します。
 有名な作品では、ケストナーの「ふたりのロッテ」やカニグズバーグの「ベーグル・チームの作戦」などがあります。
 これらは、双子の特性である「よく似ている」ことを活かした「取り違え」が、物語の仕掛けとしてうまく利用されています。
 しかし、安易にこの特性を使っていて、肝心の物語の展開に十分に活かされていない場合も多いようです。
 また、最近は男女の双子が描かれている場合もありますが、それは男性と女性の違いを際立たせるために使われているようです。
 しかし、たいがいは、男の子らしさと女の子らしさ、あるいはその単純な裏返し(外交的な女の子と内向的な男の子)といった古いジェンダー観に縛られたものが多いようです。

ふたりのロッテ (岩波少年文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
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喝采

2017-12-02 08:56:27 | 演劇
 加藤健一事務所の第99回公演です。
 売れなくなって酒で身を持ち崩したかつての名俳優の主人公と、それを支え続ける妻の話です。
 主人公は、かつての彼の大ファンだった演出家のおかげで、主役に抜擢されます。
 しかし、自信を失っている彼は、また酒に逃げようとします。
 興業の失敗を恐れたプロデューサーはそんな彼を首にしようとしますが、妻と演出家はそれぞれの方法で彼を懸命に支えます。
 初めは激しく対立した二人でしたが、その過程で恋に落ちてしまいます。
 舞台は成功し、奇妙な三角関係も無事に解決して、ハッピーエンドを迎えます。
 主役の加藤健一をはじめとして、妻役の竹下景子、演出家役の山路和弘、プロデューサー役の大和田伸也などの芸達者たちが、丁々発止の芝居を展開します。
 もちろん加藤健一演ずるダメ男の主役も魅力的なのですが、なんといってもこの芝居では、しっかり者でけなげな妻が魅力的に描かれていて、演出家だけでなく脚本家なども含めてキャストのみんな、そして観客たちもが彼女に恋してしまいます。
 そんな魅力的な役を、竹下恵子が彼女に負けない魅力で、あるときは気丈に、またある時は可憐に演じています。
 そう、観客は竹下景子にも恋してしまったのかもしれません。
 竹下景子は私より一つ年上なのですが、若いときももちろん魅力的でしたが、六十歳はとうに超えてもこんなに魅力的なのは、同様にいつまでも可憐な魅力を保ち続けている八千草薫や吉永小百合のような魔法をみにつけているのかもしれません。
 そういう意味では、加藤健一も七十歳近いというのに、相変わらず軽妙で颯爽としていて、きっと彼も魔法使いなのでしょう。
 四十年ぐらい前に、雑誌ぴあの情報を頼りに、毎週のように都内のあちこちで小劇場の芝居を見ていたころ、加藤健一はつかこうへい事務所の芝居などで達者な演技を見せていました。
 その後、自分の劇団(加藤健一事務所)を立ち上げて以来、なかなか経済的には恵まれないであろうこういった芝居を今でも変わらずに続けていることは、本当に尊敬に値します。

 
舞台写真集 君たちがいて僕がいた 1980年 劇団つかこうへい事務所 三浦洋一 平田満 加藤健一 風間杜夫 かとうかずこ
クリエーター情報なし
つかこうへい事務所

 
 
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