現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

中脇初枝「あかいくま」

2017-12-28 09:04:28 | 作品論
 りかちゃんは、自分のことを赤い熊だと思っています。
 それは、赤ちゃんの時から赤い熊の人形といっしょだったからです。
 それに、おかあさんもおとうさんもりかちゃんと遊んでくれないし、おにいちゃんなんかりかちゃんをいじめます。
 そのため、りかちゃんは、一人で赤い熊さんと遊んでいたのです。
 りかちゃんは小学校に入りますが、自分が赤い熊だと思っているので人間の学校になじめません。
 鏡にうつったりかちゃんは、赤い熊に見えます。
 りかちゃんは、自分が本当に赤い熊なのかを知るために山へ入って行きます。
 からすは、りかちゃんはからすの子どもだと言います。
 へびは、りかちゃんはへびの子どもだと言います。
 くもは、りかちゃんはくもの子どもだと言います。 
 山から帰ったりかちゃんは、自分の家でりかちゃんのことを待ってくれている家族を見て、家族が自分のことを面倒見てくれていたことを思い出します。
 そして、くまさんといっしょのときは自分は赤い熊、家族と一緒にいるときは人間の子どもだということがわかりました。
 そして、学校にもなじめるようになりました。
 鏡にうつったりかちゃんは、人間の子どもに見えました。
 でも、今でもくまさんといっしょのときは、りかちゃんは赤い熊なのです。
 メーテルリンクの「青い鳥」タイプの家族やその幸福を発見するメルヘンに、人間の子どもでいながら「赤い熊」でもあるという現代的な自分探しの要素をプラスアルファしたところが、この絵本の新しいところなのでしょう。
 でも、家族の描き方がステレオタイプなので、あまり新鮮に思えませんでした。
 中脇初枝の文章やストーリーより、布川愛子のカラフルな絵の方が魅力的でした。
 
あかいくま (わくわくライブラリー)
クリエーター情報なし
講談社
 
 
コメント
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