現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学において大人の問題をどう描くか?

2016-11-07 09:06:38 | 考察
 児童文学において、様々な大人の問題(離婚、暴力、失職、貧困、病気、家族関係など)が描かれることがあります。
 子どもたちも大人たちと共棲している以上、大人の問題と無関係ではいられません。
 そうした大人の問題を児童文学で描くことは、意義のあることだと思います。
 ただし、その書き方には十分に注意を払わなければなりません。
 ともすれば、大人の問題の解決を、子どもたちに求めるような描き方になっている場合があります。
 大人の問題は、一義的には大人たちに責任があります。
 作者は、あくまでも子どもたちに寄り添うようにして、子どもたちの立場から作品を描く必要があります。
 また、子どもの視点で大人の問題を描こうとすると、その問題の実相が十分に描かれない場合もあります。
 そんな時は、大人の視点で描く場面も加えて、子どもと大人の二重視点で問題を描くのも一つの方法です。

優しさごっこ <新装版>
クリエーター情報なし
理論社
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デート・デート・デート

2016-11-07 08:41:25 | キンドル本
 主人公は小学校五年生の男の子です。
 主人公が、密かに好意を持っている女の子が、急に転校することになりました。
 両親がマンションの抽選に当たって、引っ越しすることになったのです。
 主人公は、なんとかお別れの日までに告白したいと思います。
 電話、手紙、待ち伏せなど、いろいろな作戦をやろうとしますが、どれもうまくいきません。
 最終的に、プレゼント作戦を実行することになりました。
 その時に、そのこと仲のいいクラスのリーダーの女の子に相談しました。
 いろいろなハプニングの末に、なんとかその女の子とデートをする約束を取り付けます。
 主人公は、デートの時にうまく告白できるように、当日の綿密な計画を立てます。
 さあ、デート当日になりました。
 ところが、どうして気づかれたのか、次々に登場するクラスメートたちに、せっかくのデートを邪魔されてしまいます。
 はたして、主人公の告白はうまくいくでしょうか?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

デート・デート・デート
クリエーター情報なし
平野 厚


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

児童文学のおける時代設定について

2016-11-07 08:35:01 | 考察
 児童文学を書く時に、作品の時代設定をどのようにするかは重要な問題です。
 書き手にとって一番楽なのは、自分が子どもだった時代を舞台に描くことでしょう。
 その作家の年齢が二十代ぐらいまでだったならば、読者である子どもたちとそれほど大きな時代的ギャップはないので、それであまり問題はないでしょう。
 しかし、作家の年齢があがり子どもたちとのギャップが大きくなると、描いている世界が現実の子どもたちと乖離してしまう恐れがあります。
 1990年代までは、それでも作家の子ども時代を描いた作品が出版されていましたが、現在ではそれは難しくなっています。
 自分が子どもだった1960年ごろの子どもたちを描いた高橋秀雄の初期の作品のような例外はありますが、これも後藤竜二という当時の児童文学界に大きな影響力を持つ人物の強力なプッシュがなかったら、こういった作品を2000年代に出版することは難しかったでしょう。
 次に、リアルタイムの現在を、作品の時代設定に使うことが考えられます。
 しかし、これも作家の年代が上がるにつれて、リアルな子どもたちの世界を描くことは困難になってきます。
 自分の子どもがいる作家たちは、彼らやその周辺にいる子どもたちを題材にすることで、一時的に回避できるかもしれません。
 また、学校の教師や塾の講師などの仕事を持っている書き手は、生身の子どもたちに接する機会がふんだんにあるので、その点では有利でしょう。
 また、現在というのはあいまいな概念なので、作品によっては現在というにはいささか古く思われるような題材が描かれていることもあります。
 かつては、あまり最先端な子どもの風俗を作品に描くと、編集者からそういった風俗はすぐに古びてしまうので避けてほしいとの要請を受けました。
 当時は児童書はロングセラーを目指すのが一般的なのでそのようなこともありましたが、現在は児童書の消費財化が進んでいるので、このことはあまり気にしなくていいと思います。
 むしろ、現在の子どもたちのリアルな風俗を描くことは、作者と読者との間で同時代性を共有することになるので望ましいかもしれません。

多様化の時代に (現代児童文学論集)
クリエーター情報なし
日本図書センター


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする