goo blog サービス終了のお知らせ 

現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

はじまりのうた

2023-08-30 09:22:10 | 映画

 キーラ・ナイトレイが主演の音楽映画です。
 ストーリー自体はありがちなハッピーエンドなのですが、オリジナル曲やかつての名曲など、さまざまなポップスのメロディーにあふれていて、洋楽好きにはたまらない映画になっています。
 特に、携帯音楽プレイヤーの曲をスプリッターで分岐して男女が一緒に聞きながら町をさまようシーンや、ニューヨークのあちこちの名所でゲリラ録音してアルバムを制作するシーンなどは、音楽がいかに生活と切り離せない存在になっているかをうまく象徴しています。
 完成したアルバムは、大手の音楽プロダクションとの印税10パーセントの契約(10ドルならば1ドルがアーチストの取り分)を蹴って、1ドル(すべてがアーチストの取り分なので手取りは一緒)で自主的にインターネットで販売する事を選択するラストは、音楽業界のみならず本の世界でも電子書籍によって将来的に主流になるであろう自己出版の姿を予見させて、非常に興味深かったです(映画では友人の大物ミュージシャンがSNSで広めてくれたので、初日だけで1万ダウンロード以上売れましたが、一般的には現時点ではこううまくはいかないでしょう)。
 キーラ・ナイトレイの歌声が、ややぎこちなさがあるもののなかなか味わいがあって魅力的なのには驚きました。
 スターになってしまって別れた彼女の恋人役を演じたのはマルーン5のアダム・レヴィーンなので、彼が歌うシーンは当然ですが圧巻でした。
 児童文学でも、音楽を生かした作品(例えば津村記久子の「ミュージック・ブレス・ユー」など)が、もっと書かれてもいいと思います。


Begin Again - Soundtrack
クリエーター情報なし
Imports
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進撃の巨人

2023-07-31 08:30:38 | 映画

 人気テレビアニメの劇場版です。
 テレビアニメの第1回から第13回までが前篇で、第14回から、第25回までが後篇です。
 前後編合わせて約4時間(240分)で、テレビの物語部分を一回当たりを約20分とすると合計で約500分なので、ほぼ半分に圧縮されています。
 戦闘シーンが優先されているので、他の部分がかなりカットされていて、テレビで見てない人には人間関係やストーリーが分かりにくいかもしれません。
 ただ、一気に見れるので、逆に伏線などが分かりやすくなった面もあります。
 流血や残酷なシーンがたくさんあって、よくテレビや映画の審査に通ったなと思うような面もありますが、戦闘シーンには圧倒的な迫力があって子どもや若い人たち(特に男性でしょう)に人気があるのがよくわかります。
 基本的には、巨人たちと戦う軍隊の話なので、今の児童文学の世界では総スカンをくうでしょうが、戦闘シーンだけでなく、主役の男の子たちの友情や女の子(実は、女の子たちの方が戦闘能力は高いのですが)との恋心たちなども巧みに織り込んでいて、こういったエンターテインメント作品が児童文学にあれば、もっと男の子たちを読者に取り込めるでしょう。
 特に、兵器(立体機動装置など)や城塞国家などのマニアックな情報は、男の子たちにとっては大好物なのですが、圧倒的に女性が多い児童文学関係者(作家、編集者、読書運動家、研究者など)には理解が得られにくく、こういった情報を作品に詳細に書き込むと評価されないことが多いです。



劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~初回限定版 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウエスト・サイド物語

2023-07-29 09:16:53 | 映画

 1961年のアメリカ映画です。

 シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を、1960年代のニューヨークの下町を舞台にして描いた作品です。

 白人系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団の対立を背景に、許されない愛に生きる男女(アントンとマリア)の悲恋が、レーナード・バーンスタインの名曲の数々と華麗な群舞にのせて描かれます。

 最後は、主要な男性三人(両方の団長とアントン)の死に終わるのですが、ミュージカル仕立てなのでそれほど深刻にはなりません。

 ナタリー・ウッド(ジュリエットにあたるマリア役)やジョージ・チャキリス(シャーク団の団長役)は、この映画で日本でも一躍スターになりました。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブリジット・ジョーンズの日記

2023-07-25 15:25:36 | 映画

 2001年に公開されたロマンティック・コメディです。
 レネー・ゼルウィガーが、大酒飲みでヘビースモーカーの小太りの(日本の基準ではずばりデブかも知れません)三十代の独身女性を熱演して、世界中で大ヒットしました。
 怠惰で男性関係にもだらしなく、かなり下品なのですが、それでいてどこか憎めない可愛らしさがあるところが、彼女の人気の秘密でしょう。
 いつも彼女を励ましてくれる友人たちも、優しいゲイの元歌手や言葉の汚い女性記者など、キャラが立っています。
 ハッピーエンドの相手役はイマイチなのですが、彼女と一時愛人関係になる好色なダメキャラの上司は、こうしたダメ男役をやらせたら天下一品のヒュー・グラントが演じているので、主役の彼女との絡みで十分笑わせてくれます。
 それにしても、「あなたはそのまま変わらなくても、いつか白馬の王子様が現れて幸せになれるよ」的作品は、洋の東西を問わずに、現代でも若い(?)女性には人気があるようです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノッティングヒルの恋人

2023-07-22 09:23:08 | 映画

 1999年公開のイギリス映画です。

 ジュリア・ロバーツ主演のロマンティック・コメディです。

 ストーリー自体は、冴えないバツイチの書店主とハリウッドの大女優の恋という他愛のないものですが、しゃれた会話やノッティングヒル周辺のおしゃれな雰囲気を楽しめます。

 特に、相手役のヒュー・グラントは、後年はコミカルな役が多い(パディントン2やブリジット・ジョーンズの日記シリーズなど、それらの記事を参照してください)のですが、この映画では最後までずっこけることなくさわやかな二枚目半の役をこなしていて魅力的です。

 さすがに、ラブコメの帝王の異名をとるだけのことはあります。

 ジュリア・ロバーツも、私生活での本人と同じような役なのでのびのび演じていて好感が持てます。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フラッシュダンス

2023-07-10 09:02:52 | 映画

 1983年のアメリカ映画です。

 バレリーナになることを夢見る溶接工(!)の18歳の少女を主役にした青春映画です。

 ストーリー自体は勤め先のバツイチの社長と結ばれて夢への一歩を踏み出すという他愛のないものですが、ダンスシーン(アルバイト先のショーパブやバレー学校のオーディションなど)はかなり見せます(ただし、すべて実際は主役の女優とは別人が踊っています)。

 アカデミー賞の歌曲賞を受賞したアイリーン・キャラの歌う主題歌をはじめとして、素晴らしい音楽が用いられていて、サウンドトラック盤は世界的に大ヒットしました。

 当時はやっていたMTVとの融合も話題になり、全編MTVのビデオクリップをつなぎ合わせたような趣があり、評論家の評価は低かったものの、主演の新人ジェニファー・ビールスの愛らしい容姿も相まって、商業的には世界的に大成功を収めました。

 そういった意味では、翌年の「フットルース」と同じようなタイプの映画だったと言えます。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パリのどこかで、あなたと

2023-06-22 11:14:28 | 映画

 2019年公開のフランス映画です。

 主人公の男女が、お互いに知り合うのがラストシーンという、風変わりな恋愛映画です。

 ただし、二人は、隣り合わせに立つマンションの同じ階のはじの部屋なので、壁二つはさんで隣同士に住んでいます。

 そのため、二人はしょっちゅうすれ違います。

 通勤の時もそうですし、近くにあるエスニック食料品店で時々居合わせたりもします。

 そうした若い男女が、それぞれに孤独を抱いて暮らしている様子が克明に描かれます。

 男性は、勤め先の発送センターが自動化されて、従業員が解雇されたり、遠くへ配転されたりした中で、一人だけ上司の配慮で同じ場所にあるコールセンターに配属されますが、それに対して罪の意識を感じて、うつ病気味になり、不眠症やパニック障害を起こします。

 女性は、職場でスポンサーに対する発表会を任されたことにプレッシャーに感じて、やはりうつ病気味になり、過眠症や情緒不安定になります。

 男性は、女性たちとはうまく付き合えません。

 女性は、マッチングアプリで知り合った男性たちと次々に付き合いますが、まったく満たされません。

 二人は、それぞれ心理療法士などのカウンセリングを受けて、真の原因を突き止めようとします。

 結局、男性は10才のころに7才の妹を癌で亡くし、それが家族の中でタブーになっていることが原因のようで、両親とともに妹の墓参りをし、それとともに職場をやめたことで寛解します。

 女性は、小さい頃に両親が離婚したのですが、アメリカへ去った父親は許せるのに、その後彼女が成人してから再婚した母親が許せなかったことが原因のようで、自分から母親に連絡したことと、職場の発表がうまくいったことにより、寛解します。

 ラストで、エスニック食料品店の店主に紹介された、コンパという中米のハイチのダンスの教室で、二人は出会います。

 この作品のミソは、観客がそれぞれ心配していた男女がともに寛解してから出会うので、明るい未来が想像でき、見終わった時の後味がすごく良いことでしょう。

 ただ、カウンセリングで二人の病状がこんなにうまく寛解したことは、こうしたことにあまりなじみのない日本人には違和感があります。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから 

2023-06-22 11:12:15 | 映画

 2021年公開のフランス映画です。

 偶然の出会いから男女が恋に落ちて結婚しますが、夫が作家として成功するあたりからすれ違いが始まります。

 完全に行き詰った10年後のある朝、目を覚ました夫は違う世界に入り込んでいました。

 そこでは、夫は作家ではなく小学校の国語の教師になっていて、妻とも出会っていません。

 妻のほうはピアニストとして成功していて、恋人もいます。

 夫は何とか元の世界に戻るとともに、その世界でも妻を獲得しようとします。

 けっきょく、元の世界に戻るのはあきらめたようなのですが、なんとか妻は獲得できたようです。

 全編に、フランス映画らしいおしゃれな展開が続きます。

 うまくいきすぎな感もしますが、主演のフランソワ・シヴィルの素朴な魅力(「パリのどこかで、あなたと」(その記事を参照してください)でも同様でした)もあって、最後まで見続けられます。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベガスの恋に勝つルール

2023-06-22 11:10:33 | 映画

 2008年公開のアメリカ映画です。

 ラスベガスで偶然に出会って、泥酔した勢いで結婚した男女が真実の愛に目覚めるロマンチック・コメディです。

 結婚した翌朝にはもう別れようとしていた二人ですが、偶然賭けたスロットマシーンが300万ドルの大当りで、欲が絡んで六ヶ月間限定の結婚生活をするはめになります。

 その期間もすったもんだがあるのですが、最後はもう一度結婚し直すことでハッピーエンドの結末を迎えます。

 かなり下品で御都合主義なストーリーなのですが、テンポが良くてけっこう笑えます。

 そのころはまだ人気があったキャメロン・ディアスを主演にしたB級娯楽映画です。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベイビー・ブローカー

2023-06-22 10:09:20 | 映画

 2022年公開の韓国映画です。

 是枝裕和監督が単身韓国に渡って、現地の俳優やスタッフとともに作った映画で話題を集めました。

 教会のベイビー・ボックスに預けられた赤ん坊を横流ししてお金を得ているブローカー二人と、赤ん坊、その赤ん坊を捨てた若い母親、途中立ち寄った養護施設から車に潜り込んだ少年の、五人による赤ん坊の売れ先を探す旅(新生児売買の現行犯で逮捕しようとしている二人の女性警察官が追跡しています)を描いて、ロードムービーの趣があります。

 主犯格の男は、離婚して元妻や娘とは離れて暮らして、ギャンブルで多額の借金があります。

 従犯格の若い男は、自身も捨て子で養護施設育ちで、未だに母親は迎えに来るはずだったと信じています。

 母親は、赤ん坊の父親であるやくざを殺して逃げています(そのために、赤ん坊をベイビー・ボックスに預けたのです)。

 旅をしている間に、彼らの間に疑似家族のような不思議な連帯感(同じ監督の「万引き家族」(その記事を参照してください)に似ています)が生まれます。

 全体的には、話がだらだらと続き緊張感に欠け、ラストで説明的に物語を締めくくってしまうこの監督の欠点がこの映画にも出ています。

 ただし、この映画でカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を得たソン・ガンホの演技は、相変わらず味があります。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

万引き家族

2023-06-22 09:38:18 | 映画

 2018年公開の是枝裕和監督の映画で、カンヌ映画祭で最優秀作品賞にあたるパルム・ドールを受賞して、一躍日本でも注目を集めました。
 祖母、父親、母親、母の妹、兄、妹(途中から加わる)の六人家族が、実は、まったく血のつながらない疑似家族であることと、子どもも含めて万引きなどの犯罪もしながら暮らしていたというショッキングな設定で、家族とは、親子とは、兄弟とは何か、という根源的な問いかけをしています。
 安藤サクラ、リリー・フランキー、樹木希林などといった当代きっての芸達者が揃っているので、このありえないような設定の家族にリアリティをもたせることに成功しています。
 また、それぞれが、本来の家族において、以下のような問題を抱えていたことによって、制度上の家族と、この疑似家族のどちらが、本来の家族としての機能を果たしているかという問題提起にも成功しています。
 祖母は、今は亡き夫と離婚していて(夫は、これもまたすでに亡くなっている後妻とは幸せな家庭を築いたようです)、僅かな年金とパチンコ屋での置き引きや義理の息子夫婦からゆすりまがいの行為で得るお金で、孤独に暮らしていたようです。
 父親は、母親の元の夫を痴情のもつれから殺害した前科(正当防衛が認められて執行猶予がついたようです)があります。
 母親は、前述のように父親と不倫して逃げてきたようです。
 母の妹は、実は祖母の義理の孫(夫と後妻の間に生まれた息子(どうやら彼の妊娠が離婚の理由のようで、祖母に対して負い目を感じているようです)の娘)で、実父母とはうまくいかずに風俗で働いています。
 兄は、父親と母親がパチンコの駐車場で車上荒らしをしていた時に、車内に放置されていたのを拾われました。
 妹は、実の両親からDVとネグレクトにあっていたのを、父親に拾われて、母親がそのまま一緒に暮らすことを決めました。
 以上のように、非常にたくさんの問題を詰め込み過ぎたために、最後に警察などによって実情が明らかにされるという、ある意味禁じ手を使って説明してしまっているので、ネグレクトにフォーカスして社会を糾弾した同じ監督の「だれも知らない」(その記事を参照してください)に較べると、作品の完成度や社会への告発の力はだいぶ劣っているように思われます。
 児童文学的視点で見ても、前作は「子どもたちだけで助け合って生きていく」という、絶望の中にもある方向性というか光のようなものがラストに見えたのに、この作品では、兄の方は父親や母親と決別して施設で生きていくという方向性は見えたものの、妹の方はネグレクトの中に置き去りにされたままで、暗澹たる気持ちで映画を見終わりました。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フィールド・オブ・ドリームス

2023-06-19 09:21:35 | 映画

 1989年公開のアメリカ映画です。

 ウィリアム・パトリック・キンセラの「シューレス・ジョー」を原作として、ケビン・コスナー主演のファンタジー映画です。

 日本では、アメリカ以上に大ヒットして数々の賞を受賞しました。 

「それを作れば、彼が来る」という神のお告げにより、主人公は自分のトウモロコシ畑をつぶして、野球場(ナイター設備も観客席もある立派なもの)を作ります。

 そこには、シューレス・ジョー(八百長試合の容疑で永久追放された往年の名選手)をはじめとした今は亡き大リーグの選手たちが訪れ、練習したり試合をしたりします。

 その姿は、選ばれたものしか見えず、主人公に畑を売るように迫っている義理の兄たちには見えません。

 その後も、お告げを受けた主人公は、メジャーリーグにかかわる思い出を持つ人々の所を訪れます。

 ラストで、野球に安らぎを求める多くの人たちの車の列が、暮れなずむ主人公の野球場を訪れるシーンの遠景は大きな感動を呼びます。

 原作は長大なので、かなり駆け足になっていますが、ほぼ原作通りに作られています。

 ただ、原作に登場するサリンジャー(関連する記事を参照してください)は、本人の了解が得られなかったのか、黒人作家のテレンス・マンに置き換えてあります。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノーカントリー

2023-06-15 17:25:25 | 映画

 2007年公開のアメリカ映画です。

 麻薬密売でのトラブルによって殺し合った現場を偶然訪れた男は、そこに残されていた大金を手に入れます。

 しかし、そのために冷酷無比な殺人鬼のような殺し屋に追われることになります。

 男と殺し屋の息詰まるような攻防戦に、二人を追いかける老保安官の視点を加味して、物語がすすめられます。

 そのため、残酷なシーンの連続の中に、人生の深みのようなものが付け加えられて、作品に奥行きを与えています。

 アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞(殺し屋役のハビエル・バルデム、圧倒的な存在感があります)を受賞しています。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グッバイ、レーニン!

2023-06-08 09:59:38 | 映画

 2003年公開のドイツ映画です。

 1989年のベルリンの壁崩壊の前後の東ドイツの混乱を、ある家族の姿を通してコメディ・タッチで描いています。

 主人公の母親は、心臓発作によって八か月の間意識を失い、ベルリンの壁崩壊や社会主義国家としての東ドイツの終焉を知らずに過ごしてしまいます。

 生粋の社会主義者の母親がそのことを知って、ショックを受けてまた発作を起こすことを恐れた主人公は、退院して部屋で過ごす母親に社会主義体制はそのままだと伝えます。

 そのために、周囲の家族や友人たちに嘘の演技を頼んだり、手に入りにくくなった東ドイツ食品や製品(安価で性能の良い西側の食品や製品にあっさり駆逐されてしまっています)を手に入れたり、映像マニアの友人に嘘のニュースのビデオを作らせてテレビで流したりします。

 最後は、東西ドイツが平和に合併したことを嘘のニュースで伝えて、東西ドイツ統一前後に母が亡くなるまで、嘘の芝居をやり通します。

 その間に、西ドイツマルクと東ドイツマルクの交換騒ぎや、ドイツ(実際には西ドイツ)のワールドカップサッカー優勝や、かつて西ドイツに亡命して生き別れになった父親と母親との再会や、ソ連から来た看護師見習の女性と主人公とのロマンスなどを散りばめて、一級のエンターテインメントに仕立てています。

 母国ドイツでは、大ヒット(それまでの興行記録を塗り替えました)したり、ドイツ内外の映画賞を受賞したりしました。

 日本人の目で眺めると、かなり設定に無理があって、こんなにうまくいくとは思えないのですが、ドイツ国民(特に旧東ドイツの人々)にとっては共感できるところがたくさんあるのでしょう。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

100日間のシンプルライフ

2023-06-04 17:25:11 | 映画

 2018年公開のドイツ映画です。

 世界的企業にアプリの売り込みに成功して、億万長者になった(実際はなりそうだった)幼なじみの二人が、調子に乗って、裸から初めて、一日に一個だけ物を獲得できる生活を100日間続ける賭けをします。

 その過程で、物よりも大事なものは何かを考えていくお話です。

 ドイツ人らしく理屈っぽいのは難ですが、それぞれの場面はひねりが効いていて、けっこうオシャレです。

 買い物依存症の女性が、話に絡んできて、いよいよ物欲に対する批判的な視線が強くなります。

 最後には、いかにもって感じの結末に行き着くのですが、見た感触は悪くありませんでした。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする