この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝130」
ミミカブ
砂地に好んで繁殖する海草の一種である。
海底から上に出ている部分は10cm程度までにしかならず、
大量に繁殖している海底は、
さながら緑の絨毯が敷き詰められたように見えるのである。
この海草の特徴は、
草体全体から分泌される大量の粘り成分ムチンにある。
ムチンはオクラや納豆やウナギ等にも見られる、
一般的な粘性物質だが、
このミミカブから分泌される物は周辺の物質を吸着する力が、
他のものよりも大変強いのである。
この強い吸着力と保水力を武器として、
水中の養分をまとめて肥料として利用しているため、
繁殖力がその他の海草とは比べ物にはならないのである。
また、
この強い吸着力のため、
水中の汚染物質をまとめて沈殿させる目的も、
近年注目を浴びている利用法のひとつである。
汚染物質が沈殿した後、
水中のバクテリアの餌となり分解されるため、
周辺の水質が劇的に改善されるという研究結果が出ている。
この効果が特に顕著に現れるのは、
河口から流れ込む水質を改善する事による、
赤潮の予防策としての活用である。
人間の生活排水による、
海水の富栄養化によって起こる赤潮にたいしては、
非常に効果的な予防策として利用が進められているのである。
この海草の名前の由来は、
食用にした時のその食感にあるのである。
まるで異性の耳たぶを甘噛みしているような、
柔らかでありながら芯が硬いような、
微妙で官能的な歯ざわりをしているのである。
しかし味らしい特徴的な味はなく、
今述べたとおりの食感のみを楽しむ海草である。
生の物を食べるとほんのりと塩味がして、
海の香りを堪能する事が出来る。
乾物としても売られており、
海に近い所でなくとも容易に手に入れる事は出来るのである。
噛むと最初は気持ちのいい食感を楽しんだ後、
すぐにムチンのぬるぬるがやってきて、
口の中全体がヌルヌルにつつまれるのである。
食用にされる物はほぼ全て養殖ものである、
先に述べたように海中の汚染物質を吸着しているので、
天然物は取り除きようの無い臭みを伴うのである。
海辺で浄水装置でろ過された海水を使い、
洗浄された砂を敷いたプールでの養殖が盛んに行われており、
市場に出回るのはこちらである。
ろ過された海水に、
成長に必要とされる養分を溶かし込んでおけば、
後は気をつけるのは水温のみである。
水温変化にも比較的強く、
5℃位まで下がらなければ枯れてしまう事はなく、
大変養殖しやすい海草である。
肝心の食べ方としては、
好みの調味料を加えて味を調えて食べるだけである。
ポピュラーな調味料としては、
三杯酢やバルサミコなど、
酸味の利いたあわせ調味料との相性がいいようである。
ミミカブ自体の味が淡白なために、
どの様な料理の具にしたとしても味を損なう事はないが、
食感がぬるぬるしてしまうため、
用途は限られてくる。
単体で食べるのではないのであれば、
スープの具材にするのが一般的である。
また、
時間をかけて煮込んでペースト状にすれば、
パンにジャムのように塗って食べる事もできるのである。
ちなみに私はわさび醤油で食べてみたのだが、
コリコリとした歯ざわりとヌルリとした舌ざわりが気持ちよく、
思わずご飯がすすんでしまったのである。
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝130」
ミミカブ
砂地に好んで繁殖する海草の一種である。
海底から上に出ている部分は10cm程度までにしかならず、
大量に繁殖している海底は、
さながら緑の絨毯が敷き詰められたように見えるのである。
この海草の特徴は、
草体全体から分泌される大量の粘り成分ムチンにある。
ムチンはオクラや納豆やウナギ等にも見られる、
一般的な粘性物質だが、
このミミカブから分泌される物は周辺の物質を吸着する力が、
他のものよりも大変強いのである。
この強い吸着力と保水力を武器として、
水中の養分をまとめて肥料として利用しているため、
繁殖力がその他の海草とは比べ物にはならないのである。
また、
この強い吸着力のため、
水中の汚染物質をまとめて沈殿させる目的も、
近年注目を浴びている利用法のひとつである。
汚染物質が沈殿した後、
水中のバクテリアの餌となり分解されるため、
周辺の水質が劇的に改善されるという研究結果が出ている。
この効果が特に顕著に現れるのは、
河口から流れ込む水質を改善する事による、
赤潮の予防策としての活用である。
人間の生活排水による、
海水の富栄養化によって起こる赤潮にたいしては、
非常に効果的な予防策として利用が進められているのである。
この海草の名前の由来は、
食用にした時のその食感にあるのである。
まるで異性の耳たぶを甘噛みしているような、
柔らかでありながら芯が硬いような、
微妙で官能的な歯ざわりをしているのである。
しかし味らしい特徴的な味はなく、
今述べたとおりの食感のみを楽しむ海草である。
生の物を食べるとほんのりと塩味がして、
海の香りを堪能する事が出来る。
乾物としても売られており、
海に近い所でなくとも容易に手に入れる事は出来るのである。
噛むと最初は気持ちのいい食感を楽しんだ後、
すぐにムチンのぬるぬるがやってきて、
口の中全体がヌルヌルにつつまれるのである。
食用にされる物はほぼ全て養殖ものである、
先に述べたように海中の汚染物質を吸着しているので、
天然物は取り除きようの無い臭みを伴うのである。
海辺で浄水装置でろ過された海水を使い、
洗浄された砂を敷いたプールでの養殖が盛んに行われており、
市場に出回るのはこちらである。
ろ過された海水に、
成長に必要とされる養分を溶かし込んでおけば、
後は気をつけるのは水温のみである。
水温変化にも比較的強く、
5℃位まで下がらなければ枯れてしまう事はなく、
大変養殖しやすい海草である。
肝心の食べ方としては、
好みの調味料を加えて味を調えて食べるだけである。
ポピュラーな調味料としては、
三杯酢やバルサミコなど、
酸味の利いたあわせ調味料との相性がいいようである。
ミミカブ自体の味が淡白なために、
どの様な料理の具にしたとしても味を損なう事はないが、
食感がぬるぬるしてしまうため、
用途は限られてくる。
単体で食べるのではないのであれば、
スープの具材にするのが一般的である。
また、
時間をかけて煮込んでペースト状にすれば、
パンにジャムのように塗って食べる事もできるのである。
ちなみに私はわさび醤油で食べてみたのだが、
コリコリとした歯ざわりとヌルリとした舌ざわりが気持ちよく、
思わずご飯がすすんでしまったのである。
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