いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

ORKの口伝133

2010-10-30 | フィクション
この文章は全てフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝133」

カンシュウミカン

非常に厳しい寒さの中にこそ生育する、
柑橘類の一種である。
他の柑橘類とは樹形からして違っており、
手入れをしなければ円錐形に生長していくため、
柑橘類として分類していいのかどうか議論が活発に行われている、
植物学会注目の植物である。
この名前は和名であり、
商用に輸出するために名づけられた物である。
原産地では「リョート・リモーン」と呼ばれているのである。

この種の特徴は先に述べた樹形・樹冠の形のほかに、
寒冷地に適応した葉の形にあるのである。
その葉は寒さと積雪による枝折れを緩和するために、
針葉樹のように細く鋭くなっており、
この点でも分類学的に見て紛糾の種である。
また樹高に比べて根の入り込む深さが大変深く、
地上部が寒さの限界で枯死してしまったとしても、
地下の根から再び芽を出すのである。
この時新しい芽は、
枯死した幹の中を通り地上の幹を割って生えてくるのである。

他にも寒さに強い理由があり、
それは樹皮のコルク質層の厚みと樹液の濃度にあるのである。
幹の直径が10cmとすると、
大体コルク質層は1.5倍の15cmほどにもなり、
外気の進入を寄せ付けない。
そして氷点-16度の樹液によって厳しい寒さをしのぎ、
現在まで生き残ってきたのである。

昨今、
地球温暖化が世界で叫ばれているが、
多くの温暖化に悩む地域と正反対に、
寒冷化が進行している地域があることは、
あまり知られていない事実である。
海流と気流の吹き溜まりのようなごく限られた局地で、
この様な現象が起きているようである。
この様な非常に稀な地域でこの植物が発見されていると言う、
調査報告が研究機関に寄せられているのである。

さて、
この様な厳しい気候に特化した植物だが、
人間が利用している歴史は非常に古いようである。
原産地では古くから、
この植物の果汁を体表にワックスのように塗りつけて、
厳しい冬場を乗り越えてきたそうである。
科学的にこの果汁の成分を分析した結果、
この果汁にのみ含まれる保温・保湿成分が新たに発見された。
成分にはホカポカミンという名がつけられ、
天然の保湿・保温成分として自然派の方たちには人気があり、
これを含むボディワックスが重宝されているようである。
ハンドクリームのように使用しても、
冷え性やしもやけに対する予防策として、
非常に使い勝手のいい成分である。
この成分を含むクリームを塗ると、
体表の水分と反応して発熱し、
4から6度ほど表面温度を上昇させる。
このため、
常温の中で使用すると反対に、
熱中症の危険性が伴うので注意が必要である。

果実と言えば食べる物と思っている私なので、
もちろん食べてみようと思って味を調べてみたが、
食用とされた歴史がほとんど無いそうである。
数少ない証言を聞いてみて、
自分でも少しかじってみたところ、
味はひどい物であった。
苦辛いとでも表現すればいいのであろうか、
強い苦味を感じた後に舌をさすようなピリピリした刺激があり、
すぐに吐き出してしまった。
この様に食用にはまったく向かないが、
現地では黒焼きにして、
苦味による気付け薬としての民間療法があるそうである。
私は目が覚めるどころか、
その日は後口のために眠れなかったのである。

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オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132

2010-10-17 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132」

バンディット・ビーンズ

マメ目マメ科のツル性植物の一種である。
原種が発見されたのは30年位前といわれており、
南米大陸の最奥地で旅行者によって発見されたそうである。
しかしこの発見に関しては、
最初の発見者の名を学名に入れようとする関係で、
現在係争中である。
発見者として名乗りを上げている人たちは様々で、
上記の旅行者の他、
植物学者や一儲けをたくらむやから達がわんさか名乗りをあげて、
まだまだ事態に収拾がつく様子は無いそうである。

そんな人間の争いとはまったく無関係に、
このマメはいつの間にか世界の比較的温暖な地域に、
生息域を広げているようである。
うかつにもこの豆を持ち帰った人たちが、
ためしに自分の畑に植えたのがきっかけと思われる。
この様な自体が世界で同時多発的に起こっており、
どこが最初の原因かはわからなくなってしまっているのである。

一応食用となるこの豆であるが、
その蔓の性質によって近隣の物には手当たりしだい巻き付き、
巻きつくものは自然物人工物をまったく問わない。
この豆の厄介な所は、
その蔓の量の多さにあるのである。
普通植物は一番頂点の芽が生長力が最も強く、
どんどん伸びていく物だが、
この豆は頂芽と同等の生長力をもつ芽が10本同時に発生し、
いっせいに伸びていくのである。
こうして生長した蔓は巻きついたものを覆い隠し、
耐久力のない物はその重みで押しつぶしてしまうのである。
巻きついたものが植物なら重みに耐えたとしても、
日光をさえぎり根元の養分を横取りし、
脇芽から吸収根をだして巻き付いた植物体から直接、
水分を奪うようになるのである。
名前の由来はこのあたりから来ているようである。

この様に繁殖力・成長力共に旺盛な植物だが、
一定の大きさになると、
自らの蔓の重みと圧力・影のせいで自滅してしまうのである。
巻き付く相手がおおよそ5m位の高さの植物なら、
相手を枯らしてしまっても、
蔓同士が巻き付き合って木のようになってしばらくは生きるが、
生長せずにはいられないので、
いずれは自滅するのである。

一応食用になると言ったが、
食用栽培に向かないわけはその実の小ささと、
収穫量の少なさが顕著であるためである。
収穫作業の効率から2m程度までしか草丈を伸ばす事は出来ず、
そこまで大きくして収量の確保を試みても、
10本の蔓から取れる豆の量は、
1kg程度である。
今後栽培法が改良・確立されれば収量が増える可能性はあるが、
その前に侵略的特定外来生物に指定される可能性のほうが、
非常に高いと思われる。

さて、
そうなって手に入らなくなる前に、
食べておこうと思い探してみたが、
一般にはまったく流通していない様子であった。
先に述べた情報は、
20年位前の南米の農業技術研究所の試験発表からのもので、
現在はどこにも売っていないようである。
そこで仕方がないので、
現地に直接食べに行ったのである。

食味としては食感はどこにでもある豆類のそれであったが、
特有の青臭みがあり、
それが加熱しても抜けない所が特徴である。
あくまでたとえであるが、
生のグリーンピースの味が茹でても残るような感じであった。
好き嫌いをいうのは好きではないが、
いまいちであった。
とほほである。

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ORKの口伝131「ミチゴメ」

2010-10-09 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝131」

ミチゴメ

インディカ種の古代米の一種である。
比較的乾燥に強く、
陸稲的な性質をもっているため、
インド周辺の乾燥地帯で古くから栽培されてきたのである。

この種の特徴は、
日本の古代米「黒米」「赤米」同様に、
色のついた種子を実らせる事にあるのである。
種子の色は赤色から青色の間で変化するのであるが、
酸性で赤色の種子が、
アルカリ性で青色の種子が実るのである。
しかし、
もともと酸性土壌を大変好む植物であるから、
収穫される物はほとんど赤色になってしまい、
青色の種子は非常に希少価値が高くなるのである。
土壌改良材などを施して必死に土作りをしたとしても、
アルカリ土壌ではほとんど育たないのである。
アルカリ土壌での安定した栽培技術の確立が、
この種の主な研究テーマとされている。

もうひとつの特徴として、
乾燥調整して籾殻を取り除いた玄米状のものは、
蓄光性を持ち夜間は蛍光色の光を放つのである。
光の色のベースはうす黄緑蛍光色であるが、
そこにもとの米の色が混ざりえもいわれぬ不思議な色合いとなる。
この様な特徴的な米が古代から栽培されてきたのは、
夜間外出時の帰り道を示す道標として利用されてきた、
という学説が今現在は主流となっているのである。
しかし、
この学説を裏付けるための実証試験が行われているが、
2cmの幅に0.5cmの厚みで道しるべとしておき続けても、
大体3時間以内に野生生物に食べつくされてしまい、
まったく道しるべとしては役に立たないそうである。
このため動物をよける物質をミチゴメに加えて、
道に撒いていたと推測されている。
古代に存在した野生動物が忌避する物質の特定が、
この学説が定説となるための壁のようである。

さて、
穀物として人間にとっての関心ごとは、
なんといっても収量と食味だと思われるのだが、
この種はそのどちらもいまいちである。
そのため栽培されてきた地域での人気もいまひとつで、
植物学者の研究対象として依頼されない限り、
農家もあまり作りたがらない代物であった。
この様に農家が進んで作りたがらなかったこの種は、
種自体が希少になっていたのであるが、
先に述べたとおり蓄光性を持っている事が幸いしたのである。
蓄光塗料の原料としての生き残りが模索されており、
徐々に栽培面積が回復しているようである。

いまいちと言われている食味のほうだが、
私も一応食べてみたのである。
まずは普通に炊いて食べてみたのであるが、
インディカ種の古代米だけあって、
粘りが少なくパラリとした炊き上がりとなった。
セオリーどおりにチャーハンに仕上げてみたが、
非常に美味しい仕上がりであった。
次はカレーと合わせて食べてみたが、
こちらもまったく不味であると言う事は無く、
美味しくいただく事が出来たのである。
現地とさほど変わらない調理法で食べたのに、
食味の評価にこの様に差が出るのは不思議な事である。

私が推測するに、
水との相性の問題なのではないかと思われる。
現地の水で炊飯するとその水の成分が原因となり、
不味に炊き上がってしまうのではないであろうか?
今回調理したのは私の自宅であるが、
たまたま相性が良かったと思われる。
後日現地に向かい、
水質調査をした上で同じ調理法をつかい、
食味審査をする必要がある。
水の相性が原因であるならば、
その後相性の良い水質を特定しさえすれば、
よい商業作物となるのではないかと思われるのである。

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ORKの口伝130

2010-10-04 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝130」

ミミカブ

砂地に好んで繁殖する海草の一種である。
海底から上に出ている部分は10cm程度までにしかならず、
大量に繁殖している海底は、
さながら緑の絨毯が敷き詰められたように見えるのである。

この海草の特徴は、
草体全体から分泌される大量の粘り成分ムチンにある。
ムチンはオクラや納豆やウナギ等にも見られる、
一般的な粘性物質だが、
このミミカブから分泌される物は周辺の物質を吸着する力が、
他のものよりも大変強いのである。
この強い吸着力と保水力を武器として、
水中の養分をまとめて肥料として利用しているため、
繁殖力がその他の海草とは比べ物にはならないのである。

また、
この強い吸着力のため、
水中の汚染物質をまとめて沈殿させる目的も、
近年注目を浴びている利用法のひとつである。
汚染物質が沈殿した後、
水中のバクテリアの餌となり分解されるため、
周辺の水質が劇的に改善されるという研究結果が出ている。
この効果が特に顕著に現れるのは、
河口から流れ込む水質を改善する事による、
赤潮の予防策としての活用である。
人間の生活排水による、
海水の富栄養化によって起こる赤潮にたいしては、
非常に効果的な予防策として利用が進められているのである。

この海草の名前の由来は、
食用にした時のその食感にあるのである。
まるで異性の耳たぶを甘噛みしているような、
柔らかでありながら芯が硬いような、
微妙で官能的な歯ざわりをしているのである。
しかし味らしい特徴的な味はなく、
今述べたとおりの食感のみを楽しむ海草である。
生の物を食べるとほんのりと塩味がして、
海の香りを堪能する事が出来る。
乾物としても売られており、
海に近い所でなくとも容易に手に入れる事は出来るのである。
噛むと最初は気持ちのいい食感を楽しんだ後、
すぐにムチンのぬるぬるがやってきて、
口の中全体がヌルヌルにつつまれるのである。

食用にされる物はほぼ全て養殖ものである、
先に述べたように海中の汚染物質を吸着しているので、
天然物は取り除きようの無い臭みを伴うのである。
海辺で浄水装置でろ過された海水を使い、
洗浄された砂を敷いたプールでの養殖が盛んに行われており、
市場に出回るのはこちらである。
ろ過された海水に、
成長に必要とされる養分を溶かし込んでおけば、
後は気をつけるのは水温のみである。
水温変化にも比較的強く、
5℃位まで下がらなければ枯れてしまう事はなく、
大変養殖しやすい海草である。

肝心の食べ方としては、
好みの調味料を加えて味を調えて食べるだけである。
ポピュラーな調味料としては、
三杯酢やバルサミコなど、
酸味の利いたあわせ調味料との相性がいいようである。
ミミカブ自体の味が淡白なために、
どの様な料理の具にしたとしても味を損なう事はないが、
食感がぬるぬるしてしまうため、
用途は限られてくる。
単体で食べるのではないのであれば、
スープの具材にするのが一般的である。
また、
時間をかけて煮込んでペースト状にすれば、
パンにジャムのように塗って食べる事もできるのである。

ちなみに私はわさび醤油で食べてみたのだが、
コリコリとした歯ざわりとヌルリとした舌ざわりが気持ちよく、
思わずご飯がすすんでしまったのである。

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