いつまでもぼちぼち

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実在する全てと無関係です

読書録「ホーンテッド・キャンパスこの子のななつのお祝いに」ほか

2021-12-27 | Weblog
読書録「ホーンテッド・キャンパスこの子の
ななつのお祝いに」4

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p261より引用
“「ハイヌウェレ型神話は、インドネシアの
セラム島に伝わる伝承だ。ココヤシの花から
生まれた少女ハイヌウェレは、尻からさまざ
まな宝物を生むことができたという。村人た
ちはそんな彼女を気味悪がり、殺してしまっ
た。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体
を切り刻んであちこちに埋めた。すると、彼
女の死体からは芋が生えてきて、人々の飢え
を満たしたそうだ」”

目次より抜粋引用
“ここはどこの細道じゃ
 天神さまの細道じゃ
 ちいっと通してくだしゃんせ
 御用のない者通しゃせぬ
 御札を納めに参ります”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリの長編作。シリーズ第八弾。
 副部長・三田村藍の卒業旅行を理由にして、
部員全員で温泉旅行へ出かけた雪大オカルト
研究会。色々なトラブルに見舞われた挙句、
とうとう吹雪で立ち往生までしてしまい…。

 上記の引用は、昔話の瓜子姫と世界の神話
についての部長の台詞。
距離も時代も離れた世界で、同じような神話
や昔話のエピソードが語られるのは、人が生
きることはどんな所でも同じような物という
ことなのかもしれませんね。
 シリーズ初の長編。終わりに向けて怖さや
気持ち悪さが積み重なり、濃密になっていく
のが、ここまでのシリーズとは少し違った味
わいです。ホラー度は長編の方が、高く描き
やすいのかもしれませんね。
 どんなことでも、執着が過ぎると人は狂っ
てしまうものなのか、と思わせる話でした。

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読書録「ホーンテッド・キャンパス春でおぼ
ろで桜月」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p237より引用
“「……なんでこの一角だけ、こんなきれい
な女がようさん集まってくるんですか。しか
もなんでおれに気さくに話しかけてくるんで
すか。これは高い絵とか買わされる流れです
か。それとも保険の勧誘か、宗教か」”

目次より抜粋引用
“意気地なしの死神
 金の帯 銀の帯
 月のもとにて
 籠の中の鳥は”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第九弾。
 暦とは違って冬の気配がまだまだ残る雪大
周辺、日の長さだけが春めいている夕方に、
SNSのオフ会に臨む女子学生がいた…。

 上記の引用は、オカルト研究会の花見に参
加した新入部員の台詞。
まあ現実ならば、これらの例えか詐欺を疑う
のが妥当でしょうね。自分のことを普段から
しっかりと鏡で確認しておいて、身に釣り合
う誘いかどうか吟味して臨みたいものです。
 副部長も卒業し、新入部員勧誘エピソード
が描かれています。色々となんやかんやあっ
てなんとか増えた部員は、なかなかにキャラ
の濃いメンバーです。
 主人公とその想い人の仲が、いよいよ一歩
前に進むのか?ラブコメとしても続きが気にな
る巻です。

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読書録「ホーンテッド・キャンパスきみと惑
いと菜の花と」

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p119より引用
“ 初対面の際には「インドをはじめとする
各国で、宗教的修練としておこなわれている
火渡りについて」を、にこにこ笑いを浮かべ
たまま、ノンストップで四十五分間語られた。
さらに先日は、「呪いとまじないの違いにつ
いて」をえんえん講釈された。どちらも森司
がトイレ休憩を訴えるまで、資料を一冊たり
とも見ずにの大演説であった。”

目次より抜粋引用
“目かくし鬼
 よけいもの、ひとつ
 いちめんの菜の花”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第十弾。
 二人目を身ごもっている姉の家事を手伝い
に来ている女子大生・三崎架子、義兄とのこ
とを話しかけたことへの姉の返事の中に、何
か憂いを感じたが…。

 上記の引用は、主人公・八神森司が入部し
てすぐの頃に部長に感じた怖さについて書か
れた一節。
好きこそものの上手なれなんでしょうけれど、
ここまで出来るのは天才のそれではないでしょ
うか。
 二話目は主人公・森司の能力がオカルト研
究会の皆に知れ渡るエピソードとなっており、
より登場人物像に奥行きを出すものとなって
います。部長の従妹で部員の泉水の身体の描
写もありますが、巻頭のイラストは少し差が
大きいのではないでしょうか。もう少ししっ
かりと筋肉を描いてほしいところです。
 主人公と想い人・こよみのデートシーンに
は、身悶えしそうになります。こういうのを、
砂糖吐きそうな気分というのでしょうか。

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読書録「ホーンテッド・キャンパス恋する終末論者」ほか

2021-12-16 | Weblog
読書録「ホーンテッド・キャンパス恋する終
末論者」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p165より引用
“ 甘いものをすすんで食べる習慣がない森
司でも一目でわかる。これはおそらく他人か
らもらわない限り、一生口にすることはない
たぐいの菓子だ。個人的嗜好にかかわらずあ
りがたがって食わねばならない、庶民とは別
世界の食い物である。”

目次より抜粋引用
“告げ口心臓
 啼く女
 まよい道 まどい道
 姥捨山奇譚”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第五弾。
 人の良さにほだされて甘く接した恋敵から
の誘いに呼び出され、飲み会に参加した主人
公・八神森司。あまり見知った顔が無い会の
中、目の前にいたのは懐かしい人物だった…。

 上記の引用は、頼みごとを解決してきた人
たちの、卒業旅行のお土産が集まってきたシー
ンでの一節。
旅行先でありがたいような品物を買うとなる
と、かなりのお値打ち物になるでしょうね。
オカルト研究会のしてきたことは、それだけ
のことなのでしょう。情けは人の為ならずで
すね。
 大学祭の話である三話目は、ここまでの登場人物の多くが出演していて、総集編のような雰囲気を醸し出しています。まさにお祭りの盛り上がりを見せる話です。

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読書録「ホーンテッド・キャンパス雨のち雪
月夜」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p154より引用
“ 蘊蓄語りが終盤に入る頃には、藍はなぜ
かこの男がなんとなく好きになっていた。も
ちろん恋愛云々の感情ではなく、純粋な"好意"
というやつである。まごうことなき変人だが、
すくなくとも害のある男ではなさそうだ。”

目次より抜粋引用
“旅籠に降る雨
 白のマージナル
 よくない家
 異形の礎”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第六弾。
 江戸時代からあるといういわれの温泉街、
そこでも老舗の旅館が一度苦境に陥った。し
かしテレビで取り上げられる程の復活劇を経
て、次年までの予約が埋まる好況を取り戻し
たところ…。

 上記の引用は、オカルト研究会の部長と副
部長が出会ったばかりの頃の一節。
変人が変なままで人に好かれるというのは、
人徳のなせる業なのでしょう。オカルト研究
会発足のいきさつを描いた話の中の文章です
が、この作品の初めからずっと、部長はいい
とこの子なのに嫌味のないキャラクターです。
 主人公・八神森司と想い人・灘こよみの関
係は、良い感じであります。将来を見据えて
の行動も起こしている様子を、森司の成長物
語として読んでも、面白くなってきているの
ではないでしょうか。

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読書録「ホーンテッド・キャンパスなくせな
い鍵」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p229より引用
“ 世の人びとはみな「自分とかかわりない
ところにある悲劇」が好きだ。そして、それ
にまつわる美談が好きだ。”

目次より抜粋引用
“嗤うモナリザ
 仄白い街灯の下で
 薄暮
 夜に這うもの”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第七弾。
 年の瀬が迫る中、それぞれの正月の過ごし
方を語り合う雪大オカルト研究会の面々。一
通り話を聞いてみたところ、特に楽しく正月
を過ごしているわけではないようで…。

 上記の引用は、過去の出来事からくる周囲
の決めつけにうんざりしている人物の心理描
写。ミステリやサスペンスを読んでいながら
なんですが、嫌な趣味です。表に出しては言
うことはなくても、多くの人がこういう気持
ちを抱いているから、ドラマや小説が生み出
され続けるのでしょうけれど。
 主人公・八神森司がいまいち自信のない人
物のように描かれますが、イラストの外見か
ら見れば、少し無理があるように思われます。

ーーーーー

読書録「承認勇者は異世界を牛耳る!」3

原作 十一屋翠
漫画 相模映
キャラクター原案 又市マタロー
出版 マッグガーデン

p18より引用
“種を植えて数日で育つなんて
まるで魔法だな”

 異世界に召喚された青年を主人公とした、
異世界異能力漫画。
 ロクでもな待遇で働いて、独立開業資金を
遂に貯め切った主人公・秋那昭二。しかし目
標達成のための無理がたたり、気絶してしま
い…。

 上記の引用は、異世界に来て手にした、主
人公の特殊能力についての主人公・昭二の台
詞。いわゆるチート能力というやつでしょう。
この能力で食糧問題は解決されそうですが、
生産量が増えたらまた人口も増えるでしょう
から、多分一時的な解決にしかならなさそう
です。
 いつからか創作界隈に溢れるようになって
いた、異世界物の一つ。異世界転移・転生を
扱った物語は、大昔からあるようですが、文
字通り本屋に氾濫するほど増えたのは最近の
ことでしょう。何でもありで好きなように出
来るから、書き手の方には扱いやすいのかも
しれません。
主人公が直接戦闘をするタイプの話ではない
ので、好みの分かれるところではないでしょ
うか。今後の展開でどうなるかはわかりませ
んが。

ーーーーー



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読書録「ホーンテッド・キャンパス桜の宵の満開の下」ほか

2021-12-08 | Weblog
読書録「ホーンテッド・キャンパス桜の宵の
満開の下」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p155より引用
“ 場所とりくらいなんということはない、
と昨日までは彼も思っていた。しかし五時起
きした上、早朝の寒さに凍えながら四時間も
五時間も待つというのは、いざやってみると
苦行以外のなにものでもなかった。”

目次より抜粋引用
“月の夜がたり
 覗く眼
 泣きぼくろのひと
 白丁花の庭
 水辺の恋人たち”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第三弾。
 大学の長い春休みも終わりが近づく三月下
旬、他のサークルが新入生の勧誘に策を練る
この時期でも、主人公・八神森司が所属する
オカルト研究会はいたってマイペースで…。

 上記の引用は、春の定番行事のお花見の場
所取りについての一節。
担当しているのは主人公ですが、会社などで
は新入りか若手の仕事だそうですね。ここ最
近は大勢で騒ぐことのできない状況ですが、
こういう面倒くさい些事をぼやきながらしな
ければならないくらいが、幸せな世の中なの
かもしれません。
 恋のライバルが良い奴っぽいため、甘い顔
をしてしまった主人公・八神森司の恋のその
後はどうなるのやら…。
 ホラーとラブコメが混在している作品です
が、ホラーや人間ドラマの部分が思っている
以上に人間臭く、生臭い内容です。アニメよ
りも二時間ドラマやジャパニーズホラーが好
きな方に合う作品ではないでしょうか。

ーーーーー

読書録「ホーンテッド・キャンパス死者の花
嫁」4

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p69より引用
“「もちろん、すべて一次審査落ちでした。
小柳は『既定の賞なんかではおれの才能は推
しはかれない』と主張し、各出版社の編集者
宛に抜き打ちで送りつけたようですが、当然
返事が来るわけもなく」”

目次より抜粋引用
“さいなむ記憶
 追想へつづく川のほとり
 ファイアワークス
 うつろな来訪者
 死者の花嫁”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリ。シリーズ第四弾。
 部室もカビる梅雨の長雨、いきなり大声を
出したオカルト研究会部員・三田村藍。大学
生活最後の夏を楽しむために、海での合宿を
提案するのだった…。

 上記の引用は、困ったちゃんな義理の弟を
持つ文芸サークル部長の台詞。
ネットの発達していなかった時代は、編集者
の目にかなわなければ、日の目を見ることが
出来ない作品が沢山あったのでしょうね。
そう思うと、読者やファンがいなくても、作
品を手軽に発表することだけはしやすい世の
中になっています。ただ読む側としては、自
分に合う作品や良い作品に出会うまでの苦行
は増えているのかもしれません。
 主人公・森司と意中の相手との仲も少しず
つ進展し、良い感じになりつつあります。
部長と従妹の過去話や、主人公の想い人の少
しずれている理由など、登場人物の人間像に
深みを持たせるエピソードのある巻となって
います。

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読書録「ホーンテッド・キャンパス幽霊たちとチョコレート」

2021-12-06 | Weblog
読書録「ホーンテッド・キャンパス幽霊たち
とチョコレート」3

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p108より引用
“ 赤い布張りのボックスソファはほぼ満席
で、カウンターの奥に立つマスターは十年以
上前から「今にも死にそう」と学生たちに評
されつづけている老爺である。”

目次より抜粋引用
“シネマジェニック
 彼女の彼
 幽霊の多い居酒屋
 鏡の中
 人形花嫁”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作オカルトミステリ。
シリーズ第二弾。
 冬衛の入り口に立つ主人公・八神森司が通
う大学近辺、天気の具合から大勢が傘を持っ
て歩く中でも、特定の人物の傘だけはすぐに
見分けられるのだった…。

 上記の引用は、主人公たちの大学の学生御
用達の喫茶店についての一文。
こういう行きつけのお店というのは、何時ま
でも変わらないであって欲しいものの一つで
すね。
 幽霊、生霊などなど、オカルトが受け入れ
られている物語ですので、オカルト否定の傾
向が強い方は、読むのがつらいかもしれませ
ん。特に、オカルト現象が起こる原理に説明
を求めるような方には、向かなさそうです。
 充実した大学生活を送った人は懐かしく思
いながら、そうでなかった人はそんな風であ
りたかったと思いながら、読み進むことにな
る作品ではないでしょうか。

ーーーーー


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