いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

「厳しい人たち」

2015-01-15 | フィクション
このお話はフィクションです
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世間むかしいまし物語
「厳しい人たち」

 むかしなのかいまなのか
よくわからない時の物語

 あるところに物事に非常に厳しい人たちが
住んでいました
その人たちは買い物をすると
何かにつけてものの不備を見つけるのが上手で
した

 服を買っては
「縫い方が甘い」
 靴を買っては
「すぐに擦り切れた」
 食べ物を買っては
「この前のものより味が悪い」
「何か変なものが入っていた」
などなど
 特に食べ物には厳しくて
「食べ物には、たとえ自然のものであっても
その食べ物以外のものが入っていてはいけな
い」
といった徹底ぶりでした

 その厳しい人たちは面白い話をするのがとて
も上手でした
面白い話をみんなに聞かせ
それによって得たお金で生活していました
面白い話をするからでしょうか
物事の細かいことまでよく見えるのかもしれま
せん
 その面白い話はとても儲かって
物事に厳しい人たちは裕福に生活していました
裕福であるがゆえに
厳しいのかもしれません

 ある時
世界中で恐ろしいことが起こりました
季節が変わるはずの時期になっても
ほとんど変化が訪れなかったのです
 そのため
農作物は同じ季節の物しか採れないどころか
お日様の照る時間が変わらないので
種が芽を出さない作物までありました
 そうなると
餌が出来なくなった家畜たちも
多くの数が飢えて死に
生き残った分は人の食料になりました
 あらゆる場所で混乱が起き
物が足りなくて仕方がなくなりました

 しかし人は強く
変わらない季節の中で作れる作物を作り
ほそぼそとでも生き残りました
 そんな中
物事に厳しい人たちは面白い話をし続けました

けれどももうだれも
その話を聞こうとはしませんでした
面白さよりも生きるために
必死に衣食住を整えるようになっていたからで


 物事に厳しい人たちは
物を手に入れることが出来なくなりました

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このお話はフィクションです
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