いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
アフィリエイト広告が有ります
「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

「物伝えの人々」

2015-01-22 | フィクション
この物語はフィクションです
ーーーーー

世間むかしいまし物語

 むかしむかしなのか
いまなのか
よくわからない時の物語

「物伝えの人々」

 あるところに
世の中の出来事や事件を
公共の設備を使って伝える人たちがいました

 その人たちは
公共の設備を使うため
とても多くの人に一度に世の中のことを
広く伝えることが出来ました

 そのため
その人たちが言うことは
世の中に大きな影響を与えることが多く
その人たちの所には多くの富が集まります

 ある時
世の中に不満を持ち世の中を変えたいのか
はたまた
単に目立ちたいだけなのか
よくわからない少年が
お店の売り物に木の串を刺したり
金属板を刺したりする事件が起きました

 物伝えの人々は
多くの人の注目を引くことを
できるだけ大げさに伝えることが仕事です
嬉々としてこの事件を伝えました

 もちろん世の中の人も
このようなけしからんことをする少年に
腹立たしい気持ちを持っていたので
この事件の情報が出ると
高い関心を持って見聞きしました

 物伝えの人々は
「世の中を変えたいの気持ちは分る
しかし手段が間違っている」
ふむふむ
「賢そうな主張をしているが
中身は薄っぺらい」
なるほどなるほど
「道理というものを全くわかっていない」
納得納得
 世の中の人は
情報を伝える賢い物伝えの人々は
やはりまともな意見を言うなと思い
注目して見聞きしていました

 あるとき
この事件の話の後
天然の氷の話題が持ち上がりました

 天然の氷は今が旬
それはそうでしょう
天然の氷は真冬の寒さでしか出来ません

 天然の氷を使ったかき氷が美味しい
話によると
冬場は気温が低く
かき氷が溶けにくいから
ふわっとした食感が長く楽しめる
とのことでした

 そのかき氷を食べるところを
伝えられたところ
外にいるときは上着を着ていたのに
お店に入ったら上着を脱いで
腕まくりもしていました

 ある青年は思いました
冬場にかき氷を美味しく食べようと思ったら
余分に燃料を焚かなければならないのでは?

氷の採れる場所まで行って食べるのならば
それこそ旬の味わいだろう
けれど
遠くまで持ってきて
暖房を効かせて食べるというのは
どうなんだろう

 少し前に大変な災害があったとき
毎日のように節約が謳われていました
物伝えの人々も皆
同じように節約を呼びかけていました
しかし
ほとんどの人が眠っている夜中に
物伝えの人々は燃料を使って
物伝え続けていました

 このかき氷の話に限らず
もう節約を話題にすることは少ないです
燃料がたくさん必要な季節ではない
そうかもしれませんが
今節約しておくことで
たくさん必要な時に使えるのではないか?
そんなふうに青年は思いました

 物伝えの人たちにとっては
世の中の道理というのは
その時の風の都合でどこにでもいく
塵芥のようなものなのだろうな
と青年は思い
彼らの話が聞こえないところに行きましたとさ
ーーーーー
この物語はフィクションです

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世間むかしいまし物語「山と獣」

2015-01-18 | フィクション
このお話はフィクションです
ーーーーー
世間むかしいまし物語
「山と獣」

  むかしむかしなのか
いまのことなのか
よくわからない時のお話

 あるところに山がありました
山と言ってもそれ程高くなく
どちらかといえば丘といった方がいいくらい
なだらかで穏やかな山でしか

 山の上には沢山の実のなる木があって
沢山の獣たちの食べ物になっていました

 山は自分の上で
木に実がたくさんなって
それを食べて獣たちが生きているのを
とても嬉しく思っていました

 ある時突然
山は削られ始めました
山の上に生えていた木はどんどん切り倒され
あっという間に丸坊主になってしまいました

 隠れる場所を奪われ
食べるものを奪われ
獣たちは四方に離れて行きました

 丸坊主にされ削られ
平らに均された山の上には
どんどんと家が建って人が住み始めました
山は何も言うことが出来ないので
ただただ静かにそれらを受け入れました

 やがて家が立ち並び
大勢の人が住み始めると
とても賑やかになりました
しかし山は感じていました
木があって獣がいた時とは
賑やかさの質がちがうなぁ

木があって獣がいた時よりも
聞こえる音はずっと大きいけれども
生き物の音とは違ってしっくりときません
それでも山は受け入れました
寂しく思いながらも
受け入れました



 一方
人に山を追われた獣たちは
食べるものを探して回りました
探して回ったところ
古くから人が住んでいて
人が食べるものを作っている田畑を見つけ
それらを食べて生き延びました
人が食べる物は栄養がとてもあって
獣たちはとても喜び
沢山子供を作って増えていきました

 古くから住んでいた人達は困りました
なんとか獣を近づけないように頑張り
なんとか自分達の食べるものを作りました
しかし
増えた獣たちが食べる量がとても多く
獣たちが来る前のようには
食べるものを作ることが出来なくなりました
仕方が無いので
今まで他のものと交換していた分を
自分達で食べました



 山を削って住み始めた人達は
食べものと交換する色々な物を作っていました
キラキラした飾りの付いた服
ピカピカと光る靴
賑やかな歌と踊り
等などそれはそれは面白いものでした

 しかしあるとき気が付きました
こんなに綺麗で面白いものなのに
最近欲しがる人が少なくなったなぁ
と…。



 それから何年かした時
とうとう誰も
綺麗で面白いものと食べ物を
交換してくれる人が物凄く少なくなり
いつもお腹を減らしているようになりました

 その人達はぺこぺこのお腹を抱えて
こんなに綺麗で面白いものを
どうして皆欲しがらなくなったのかなぁ…
と思い続けましたとさ

ーーーーー
このお話はフィクションです


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「厳しい人たち」

2015-01-15 | フィクション
このお話はフィクションです
ーーーーー
世間むかしいまし物語
「厳しい人たち」

 むかしなのかいまなのか
よくわからない時の物語

 あるところに物事に非常に厳しい人たちが
住んでいました
その人たちは買い物をすると
何かにつけてものの不備を見つけるのが上手で
した

 服を買っては
「縫い方が甘い」
 靴を買っては
「すぐに擦り切れた」
 食べ物を買っては
「この前のものより味が悪い」
「何か変なものが入っていた」
などなど
 特に食べ物には厳しくて
「食べ物には、たとえ自然のものであっても
その食べ物以外のものが入っていてはいけな
い」
といった徹底ぶりでした

 その厳しい人たちは面白い話をするのがとて
も上手でした
面白い話をみんなに聞かせ
それによって得たお金で生活していました
面白い話をするからでしょうか
物事の細かいことまでよく見えるのかもしれま
せん
 その面白い話はとても儲かって
物事に厳しい人たちは裕福に生活していました
裕福であるがゆえに
厳しいのかもしれません

 ある時
世界中で恐ろしいことが起こりました
季節が変わるはずの時期になっても
ほとんど変化が訪れなかったのです
 そのため
農作物は同じ季節の物しか採れないどころか
お日様の照る時間が変わらないので
種が芽を出さない作物までありました
 そうなると
餌が出来なくなった家畜たちも
多くの数が飢えて死に
生き残った分は人の食料になりました
 あらゆる場所で混乱が起き
物が足りなくて仕方がなくなりました

 しかし人は強く
変わらない季節の中で作れる作物を作り
ほそぼそとでも生き残りました
 そんな中
物事に厳しい人たちは面白い話をし続けました

けれどももうだれも
その話を聞こうとはしませんでした
面白さよりも生きるために
必死に衣食住を整えるようになっていたからで


 物事に厳しい人たちは
物を手に入れることが出来なくなりました

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このお話はフィクションです
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世間むかしいまし物語「兄弟げんか」

2015-01-12 | フィクション
このお話はフィクションです
ーーーーー
世間むかしいまし物語

兄弟げんか

 むかしむかしなのか
いまのことなのか
よくわからない時のお話

 あるところに兄弟がおりました
兄弟はとても賢く
村の人達も一目置いておりました

 村にはとても美しい女性がいました
兄弟たちは全員その女性が好きでした

「俺が一番彼女のことを好きだ」
「いや、俺だ」
「違う、俺のほうが好きだ」
兄弟たちは彼女への思いを言い合い
けんかをするようになりました

 最初は口で言い合っていただけでした
しかしどんどんけんかは過激になっていき
その内お互いどれだけのことが出来るか
競いあうようになりました

時には彼女のためといい
自分の身体を傷つけ
時には彼女のためと言い
他の人も傷つけました

兄弟を慕っていた人達は
それぞれの兄弟の味方をし
それぞれ傷つけ合うようになりました

兄弟や村の人達は争いあい
皆ボロボロになっていきました

そして疲れて皆一旦休む事にしたとき
美しい女性の姿は村にありませんでした

兄弟は他の村の人達と協力し
女性の行方を追いましたが
決して見つかることはありませんでしたとさ

ーーーーー
このお話はフィクションです

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20140508「終わりゆく記憶」

2014-05-08 | フィクション
20140508

「終わりゆく記憶」

 忘れてしまうまえに、ここに記す。

 第一工程
軸回転 380/分
胴回転 38/分
流量  85~90
水位  1/4
投入量 48~50
ただし体積によって重さが非常に変わるので、
プールの7から8割になるように、目視で決定
すること。
 また、中間期はフタを完全に閉めて行う。
手でこすって表面がめくれる程度を基準として、
調節する。

ーーーーー

 第二工程
    軸回転 風量 熱風温度 時間
前工程  42      9     100     15
後工程  36      4      80     15

以上は一期のもの、二期は軸回転・風量は
ひとつずつ上げ、温度は後だけ5度上げる。
時間は前後一分ずつ短くする。
 センサー設定は35度。
 取り出しのタイミングは、握って手に付かなく
なる前後を目安とする。設定の時間内にこの
程度まで進まなければ、前工程の時間を伸ばし
後工程の時間を縮める。進みすぎる場合は
反対に調整する。
ーーーーー

 第三工程
軸回転 34
風量  75パーセント
熱風  70~80になるように調節
シングルで一定

 第二工程の時間と同じようになるのがよい
が、ここで調節するのは難しい。第二工程の
取り出しタイミングを調節することで、時間が
合うようにする。
 取り出しタイミングは、表面は乾いているが
こすれば水分があるという感じの手触りの時。
ーーーーー

 第四工程
時間 15~20
負荷 一期 円錐の直上
   二期 最大
 中間期も負荷は最大。
ここでレールが水平よりも上がるようならば、
投入量が多すぎるので減らすこと。
 この後の工程の進み具合や、ここまでの工
程の具合で流れが順調でないのならば、この
工程で時間調整をかけるといい。
上記の時間くらいかけたほうがいいが、なくても
仕上がりはする。
ーーーーー

 第五工程
回転 45
風量 一期4 中間期6 二期5
熱風 45~55度
取り出しセンサー 1.8目盛り

 取り出しにかかる時間は、ここまでの工程の
具合で大きく変わるため、はっきりと決めるのは
難しい。
ここで余りにも早く出てしまうようならば、ここ
以前の工程で具合が進み過ぎ、時間がかかり
すぎるのであれば状態が進んでいないのに
取り出している。
第二工程を30分で取り出すのであるならば、
第四、第五工程合わせて30分になる程度が
良い。この時間調整を、第四工程でするのも
いいし、それ以前の取り出しタイミングを変える
かで合わせる。
 この工程の取り出しタイミングは、
握力45から50で6から7割程度の力で握って、
復元してくるぐらいの状態。次の工程に長く
時間をかけたいのであれば、復元の程度が
遅いうちに取り出す。
ーーーーー

 第六工程
釜温度 90~95
往復  48/分
負荷  引き4 戻り2

投入後、負荷の乗っている軸の直上から少し
だけ負荷をかける。よりよく仕上げるのならば、
負荷のタイミングを増やす。戻りは小振りで。
 取り出しタイミングは、釜で持てず両脇に
流れるようになってきたら。あまり長い時間を
かけすぎると、表面が白けるので程々に。
大体40~50分程度になるように、ここまでの
工程で調節する。
 ここで余りにも粉砕されているのなら、第一
工程の具合が強すぎるので、気をつける。
ーーーーー

 最終工程
時間 30分
熱風 一期 85度、 中間期・二期 90度

 仕上がりの好みによるが、保存性を高めた
ければこの程度時間をかける。
ーーーーー

 いつか、誰かの役に立つことを願う。



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20130715近況

2013-07-15 | フィクション
20130715近況

 夕食にカレーを食べる。
いつ食べても美味しい一品だった。

 今日のカレーの具材は、オーソドックスなものばかりだった。
鶏肉
じゃがいも
人参
玉ねぎ
必要十分でありシンプルイズベストと言った感じの内容、これを
ベースに色々とトッピングをすると楽しく頂けるだろうと思う。

 しかし今回は、トッピングを楽しむヒマもなくカレーが無くな
ってしまいそうな気がする。久しぶりのカレーなので、とても美
味しく頂いているので、毎回お代りをしてあっという間に無くな
ってきた。
 ちなみにまだ二日目。

 これが頻繁にカレーが続いた後だと、なかなか減らなくて困る。
確かにカレーは大好きだけれども、あまりに次までの感覚が短い
とさすがに少々辛く感じてしまう。
 早く食べ終われたらいいななどと思っていると、より一層おか
わりが進まず食べきるのに時間がかかってしまう。

 そんな時にトッピングを工夫して気分を変えるのだが、外のカ
レー屋さんみたいに色々と用意するのは簡単ではない。大体外の
カレー屋さんのトッピングは、それ一つで一回の食事のメインの
おかずになりうるようなものがあって、それを真似しようとした
ら作ってくれている家族にもう一品増やせと言うに等しいと思う。
 正直そんな恐ろしいことはいえない、やぶ蛇になってもっと稼
いでこい位の怒号が頭の上から降り注ぐことになるのが落ちだと
思われる。

 自分で作っているのではないのだから、出されたものをありが
たく美味しく頂くのが、なによりだと心から思います。
本当です。

ーーーーー





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20120117ORKの口伝141シルコバ

2012-01-17 | フィクション
20120117ORKの口伝141「シルコバ」

この文章はすべてフィクションです

ーーーーー

「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝141」

シルコバ

 熱帯性常緑低木の一種で、
現地名は「ホワワ・ムニャ・ユルネム」と呼ばれている。
鬱蒼と茂るジャングルの中でも、
ほんの少しの陽の光で生き延びることができる種で、
気温が合えば大体どこにでも生えることができるようである。

 この植物の葉からは、
精神疾患治療薬として使われる成分が抽出出来るため、
現在は世界の広い場所で計画的に栽培されている。
 特に熱帯地方のジャングルを伐採せずに、
大木の根元でも栽培できるところから、
熱帯地方の産業として注目されるところである。

 この植物から取れる成分は「ユルマッタリノール」と呼ばれ、
その効能は精神と肉体を弛緩させ、
強いリラックス状態にさせるのである。
肉体と精神が強い緊張状態に陥るタイプの疾患には、
大変顕著な効果を発する薬品であるそうだ。
 この薬を処方するときは0.1mgを一単位として、
一日の使用限度は5単位までと厳しく制限されている。
それを超えて常用すると依存症状が現れ、
そのうち弛緩作用のせいで無気力状態に陥ることもある、
諸刃の剣とも言える薬である。
 しかし大体薬というものは、
何がしかの副作用を持っているものであるため、
使い方を謝らなければ問題は無いと思われる。

 この作用と使い方によって現れる依存性から、
医療用以外の製品にリラクゼーション機能目的で入れるにも、
厳しい使用量制限が課せられる。
 しかしそのような気分を落ち着ける物があるとわかれば、
非合法なビジネスが現れるのは世の常なのであろうか、
一時期麻薬の一つとして流通し始めたこともあったようである。
だが広く普及することは出来なかった。
 何故普及しなかったのであろうか?
答えはこの薬の成分である「ユルマッタリノール」が持つ、
極めて強い芳香に原因があるのでる。
その強い香りが邪魔をして、
麻薬取締犬の嗅覚から逃げることが全く出来ず、
全て検疫や税関などの他国への侵入経路で押収されてしまい、
ビジネスとして割りに合わなかったからだそうである。
 こうして世界に広まることのなかったこの薬、
そしてその原因となった強い香りは、
日本の甘味であるお汁粉と酷似しているため、
この様な名前で呼ばれることとなったのだそうである。
その為大麻などが合法である国では、
おしることは甘味の方ではなくこの薬を指すことになる。

 さてこのシルコバだが、
葉っぱそのものではこの様な香りがすることはない。
葉っぱをムシって手のひらでポンと叩くと、
細胞が潰れて成分が染み出しほのかに甘い香りがただよい、
ささやかながらリラックス効果が期待できるのである。
 原産地では昔から狩りや労働の合間の気晴らしに使われ、
休憩時の楽しみの一つとしてありがたがられていたそうだ。
普段から使っていて依存症にならないのかと思ったが、
0.1mgを精製するのに必要な葉の量は1kgと大量で、
気晴らしに二三枚潰した所でなりようがないようである。
 体を痛める暑さと仕事の合間のリラックスには、
アルコールよりも簡単に手に入るこの葉っぱは、
大変ありがたい自然の恵みなのであろうなと思う。

 私も現地に足を運びこの葉っぱを試してみた、
大変穏やかな気持になり心地よい眠気に襲われた。
ジャングルの中でこれを試すのは危険そうだなと思い、
ガイドに聞いてみたところ、
迂闊な者はやはりそのまま眠ってしまい、
獣に襲われて命を落すことが昔からままあったそうである。
家まで帰るか複数人で交代しながら使うのが普通だそうだ。
 自然の中でリラックスするのは命がけのようで、
リラックスの考えからは程遠く思われる。

ーーーーー

この文章はすべてフィクションです

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20120115ORKの口伝140「スリーパーハウンド」

2012-01-15 | フィクション
20120115ORKの口伝140「スリーパーハウンド」

この文章はすべてフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝140」

スリーパーハウンド

 体長180cmにもなる大型犬の一種。
かつては長毛種のみであったが、
ペットとしての需要が高まるに連れて、
世界のあらゆる気候でも飼いやすいように、
複数の毛並みの種が開発され多様な国で愛されているのである。
 この犬種が開発された主な目的は狩猟犬としてであり、
特に大型の獣を狩るために育種されたため、
主人に忠実で大変勇敢な性質の持ち主である。

 狩猟における犬の役割は、
獲物の追跡・包囲・追い込み・ポイントなどであるが、
この犬種は直接戦闘が主な役割である。
相手がどれほど大型の獣であったとしても、
主人が銃を使う前に開いての動きを止めることができる、
極めて優れた能力を持つように育生された犬種である。
 その獲物の動きを止める優れた能力とは、
実は牙や爪などではない。
その他の猟犬にはない優れた能力とは、
その前足の脇の下から任意に出すことができる強烈な臭いである。
前足脇の下で獲物の顔及び鼻先を抱え込むようにして、
そこにある臭腺から臭いを放ち失神させるのである。
 その時の格好が、
脇の下で顔を締めるタイプのスリーパーホールドににているのが、
名前の由来だそうである。
 この臭いは熊ですら一撃で失神させるほどであるため、
熊より嗅覚の劣る人間であっても、
かなりの苦痛をともなう。
そのため狩猟だけでなく番犬としても実に有用な犬種である。

 この犬種の最大の特徴で武器であるこの臭いだが、
ペットとして飼うにはあまり歓迎されないようだ。
もともと愛玩用として育種されたわけではないため、
狭い室内や込み入った住宅地などには向いていないのだろう。
 狩猟を趣味とすることのできる裕福な広い家なら、
この犬専用の場所を確保することで、
臭いの問題は解決することができるだろう。
または家と家の距離が広い田舎などのほうが、
この犬にとってはありがたい環境であると思われる。
 犬を家族として大切に想うならば、
相手が馴染めない環境に迎え入れるのは、
お互いに苦しむ事になるのではないだろうか。

 忠実で勇敢な性質のこの犬種はそれでも人気があり、
最近では脇の下の臭腺を外科的に除去した者を、
ペットショップに依頼して飼い始めることもできるそうである。
 しかしこの手術を施した者は、
臭腺から体内の分泌されるホルモンが欠落しているため、
体長を崩しやすいのがかわいそうな所である。
幸い餌から取り入れることが出来るので、
その専用の餌を忘れないように気をつけることで、
体長の悪化は防げる。
 だがたとえこの様な手段で防げるにしたとしても、
相手の体をいじってまで自分のそばに置いておこうとするのは、
いかがなものかと思うのである。

ーーーーー

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20120105ORKの口伝139

2012-01-05 | フィクション
この文章はすべてフィクションです。

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝139」

スナナ

 一年生の野菜の一種である。
もともと比較的温暖な地域に自生していた植物を、
食糧として改良を重ねている途中で出来上がった突然変異種で、
原種とは違って寒冷地向けの野菜に育て上げる事ができた。

 この野菜の特徴は、
有機物の少ないやせ地でも良好な生育をすることで、
その生育の良さはほとんど雑草と変わらないくらいであり、
作るためには特に苦労を強いられることはないようである。
 しかしこの野菜には食料としては致命的な欠陥がある。
あまりにも繊維質が多く、
またその繊維の中にもナシの果実に含まれる石細胞があり、
それらが相まってまるで砂を噛んでいるような食感だそうである。

 そのまま食料とするにはあまりにも食べにくい野菜だが、
条件の悪い土地でも比較的安定した収量を得られるため、
栽培面積は決して少なくは無い。
少なくないどころか、
近年は増加傾向に向かっているそうである。
 野菜として食べるには美味しいとは言いがたいこの植物だが、
その食物繊維の豊富さとビタミン類の含有量の多さで、
栄養食品原料としての需要が高いためである。

 収穫したこの野菜から栄養分を搾り出し、
その残った絞り粕から食物繊維を取り出す。
それぞれビタミン剤や天然由来便秘薬の原料として、
いまや世界中に流通しているようである。

 とりあえず野菜として開発されたものであるから、
煮物として食べて見ることにしたのであるが・・・。
さすがにそのひどい食感のために、
調理したものを食べ切ることが出来なかったのである。
 煮物にしてあるのだから水分はたっぷりとあるはずなのに、
噛めば噛むほど口の中が乾いていくようなざらつきを覚え、
飲み込むのも一苦労であった。

ーーーーー

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20111211ORKの口伝138

2011-12-11 | フィクション
20111211口伝138「サッカロン・ポームム・アマトウ」

この文章はすべてフィクションです。

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝138」

サッカロン・ポームム・アマトウ

南米のジャングル奥深くで見つかった新種の植物である。
名前は今はまだ仮称であり、
発見者の名前とその木の実の特徴から名付けられている。
発見者はムシバモ・T・アマトウという自然保護官で、
野生動物保護活動の任務中に偶然発見したそうである。

この植物の特徴は何よりもその果実にある、
熟した果実の糖度は30とその他の果物と比べてかなりの高さ、
初めて口にしたときは砂糖水を噛んだとの感想だそうである。
発見したときにはジャングルの中の開けた、
陽だまりのようなところに数本だけ生えていたようで、
その周辺にはまるで見当たらない不思議な生え方だったそうだ。
アマトウ氏の発見の報告を受けて学者たちが調査したところ、
どうやら古代人の住居跡であることがわかった。

この植物の特徴を調べると現在の植物の中では、
柿に一番近いことがわかった。
柿はもともとアジア固有の植物で、
現在は世界で栽培されている果樹であるが、
この植物の発見により大きく学説が動く可能性が出てきた。
DNAを詳しく調査したところ、
今まで原種だと思われていたものよりも、
古い品種である可能性が出てきたためである。
そのため周辺での発掘調査が更に進み、
古代人の遺骨の化石が多数出て来ると共に、
この植物の種の化石も非常に多く出てきたのである。

その化石を更に詳しく調べると、
頭骨について残ってるはずの歯の化石の数が極めて少ない、
残っている歯の化石を更に調べると、
どうやらこの古代人たちはほとんど虫歯で歯をやられてようで、
その比率は現代人並の罹患率だったであろうと言われている。

こうして学識者たちには興味のつきないこの植物だが、
園芸家たちにかかればたちまち栽培品種に育て上げられる。
最初研究用に持ち帰られた種を植えたところ、
ほとんどの柿と同じように渋柿になってしまった。
古代人たちは数多く植えた中から、
甘柿になった木だけを残して食用にしたのだろう。
しかし現在は園芸技術の発達によって、
接木をすることで甘柿の苗木を数多く育てることができる。
こうして今現在商品化に向けて量産体制に入っているところで、
今後が楽しみな植物である。

ありとあらゆるコネを使い、
この柿を手にいれて食べることに成功した。
確かに甘みが強く砂糖水を咬んだみたいとはうまい表現だ、
甘みが強いのはいいのだか正直バランスが悪いと思う。
私が思うに、
この果物は砂糖原料として利用する方が、
これからの人口増加に備えた食料対策として、
有効なのではないであろうか。

ーーーーー

この文章はフィクションです。


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ORKの口伝137

2011-12-02 | フィクション
この文章は全てフィクションです。

ーーーーー

「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝137」

ネコユズ

古来から栽培されてきた柑橘の一種で、
その歴史は人類が集落営農を営み始めた時からと見られており、
その当時の年代の遺跡からこの種の種子の化石が出ている。

大変小型の樹木でどの様な場所にも生えていたようで、
ほんの少しの日光でも生き続けるようである。
日当たりがよければ通常80cm程度まで大きくなることは出来る、
しかし条件によって最小30cm四方の大きさでありながら、
樹齢50年の自生の物が見つかった事もあるそうである。
現在はこの日当たりの悪さへの耐性と小ささから、
室内ようの鉢植えとして市場に出回る事が多いようである。

花は薄緑色の小さく上品な花が数多く咲き、
屋外に置いておくとその爽やかな香りに寄せられて、
沢山のミツバチが寄り集まってくる。
鉢植えとして売られることが多いが、
このミツバチなど多くの虫を寄せる為に、
好みが分かれるとは園芸店店員の話である。

ミツバチの活躍で果実も良く実る、
自家受粉し結実するため一本だけ栽培していても実がなり、
その点は面倒の少ない植物である。
果実の大きさは通常一円玉程度の大きさで、
この大きさの実が鈴なりになりそれは見事なものである。
葉の深い緑色と熟した小さな果実の薄黄色が、
心地よいコントラストを演出し、
インテリアとして大変美しい。
この果実の大きさは全く摘果しなかった場合のものであり、
きちんと摘果した場合にはゴルフボール大の大きさになるそうだ。

名前の由来はこの果実の利用法からくるものであり、
この熟した実を置いておくとネズミよけになる、
げっ歯類に対して強い神経毒性を発揮する、
デスマウ酸カリウムを含んでいるためである。
この成分は果皮から揮発する香気成分で、
皮ごと実を転がしておくだけでネズミは近づく事ができない、
こうした毒性を発揮するのはげっ歯類に対してのみである。
人類の歴史上で穀物生産が行われ始めた頃から、
栽培されてきたのはこの様な利用法の為であると思われる。
種子の化石が発見されるのも、
決まってその他の穀物の中に混じった少量のものであり、
この利用に関する説の正しさは明白である。

しかし、
近年は冷蔵設備の発達などにより、
ネズミによる穀物の食害への対策も進歩した為、
この利用法目的の栽培面積は激減し、
園芸用としてなんとか品種が保存されている状況である。
その為、
多くのミツバチを寄せることが出来るこの植物であるが、
その蜂蜜は極めて希少なのである。
花自体が小さく採取できる蜜量も少ないので、
養蜂業を営む為には実に効率が悪い事も一因であろう。

このような状況を踏まえた心理的要因もあるのかもしれないが、
この蜂蜜の美味しさは格別である。
すっきりと後口が爽やかな甘みの中にユズ特有の香りがし、
その香りを鼻で息を吐く事でさらに愉しむ事が出来る。
極上のひと時である。

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20110718近況

2011-07-18 | フィクション
20110718近況

第二繁忙期終了。
今年は本当に苦しかった、
繁忙期の途中で風邪と疲労で二度のダウン。
何とか無事に終わる事が出来ました。

夕食にカレーを食べる。
今日は二日目なのでトッピングを乗せて、
少し味を変えて楽しむ。
今日のトッピングはチーズ、
鳥の胸肉を使ったあっさり目のルーにチーズのコクが乗り、
大変美味しくいただけました。

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読書録はこちらです
http://izumoissun2011.seesaa.net/


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ORKの口伝136

2010-11-22 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝136」

ローション・シンドローム

細菌感染によって引き起こされる、
一見すれば精神疾患に見える病気の一群である。
この病気の特徴は、
ひたすら同じ事柄に対して執着するところにある。
その執着の具合が粘度の高いローションのようである事から、
名前も付けられる事となった。
その執着心がネトネトグチャグチャと非常に不快であるため、
通称ネトグチャ病と巷では呼ばれているのである。

この病気を引き起こす細菌は、
その名をアンシュテ・コップフと今は呼ばれている。
今は呼ばれていると言う言い方をするのは、
現在第一発見者と名乗る人間が、
学者だけでなく一般の病院の医者の中からも現れており、
命名権についてすったもんだしているからだそうである。
先に述べた名前は、
医学関連雑誌に初めて紹介された時のもので、
その時の発見者ははっきりとはわかっていないようである。
この時はっきりとさせておけば、
後々から多くの人が名乗りを上げる事も無かった。
しかし大勢の研究者や医学博士が携わっていたため、
誰の物でもないということで、
あえて代表者の名前もださなかったそうであるが、
その善意が逆手に取られることとなったのは、
残念のきわみとしかいいようがないのである。

この細菌が感染するのは、
脳の中の記憶をつかさどる部分である海馬。
海馬の中でコロニーを形成し繁殖するのだが、
いくつものコロニーを作るのではなく、
ひたすら一箇所に集まり続けるのである。
このため良い悪いにかかわらず、
ひとつの記憶が非常に鮮明に強く想起され、
やがて肉体の行動にも影響を及ぼすようになってくるのである。

この細菌のコロニーは、
始めはどの様な検査をしても発見できないほど、
小さい物ではあるが、
ある程度の大きさになると検査画像で素人が見てもわかる位、
はっきりと映る。
しかしこの段階に達するまでに、
強迫神経症等の疑いで診療内科などを受診し、
誤診されてしまうことがほとんどである。
検査で感染が発見されるころには、
かなり激しく表立って症状が出ている事が多く危険である。

この様に専門医でも感染の発見と同定が難しい細菌だが、
判ってしまえば治療は今の所それほど難しくない。
細菌であるため抗生物質でたたく事が出来、
耐性菌に変異でもしていない限り恐れる事はないのである。
ただし、
普段から抗生物質を摂取していた場合、
体に入って耐性菌に変異してしまうと非常に厄介である。
健康と清潔を気にしすぎて薬品に頼った生活をしていると、
耐性菌に変異するリスクは非常に高くなると思われる。

今はまだこの感染症の事例は世界的に見ても非常に稀である、
普段から自分の体と向き合い心身ともに健康を維持し、
免疫力を向上させる事が何よりの予防策と思われる。

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ORKの口伝135

2010-11-18 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝135」

アンニューチェリー

果実採取品種の桜の一種で、
アンチ・ニュートン・チェリーの略称である。

この種の特徴は全ての花が重力に逆らうように咲くところにあり、
空を見上げるように咲き誇るのである。
このため下から見上げた時に、
花の裏側ばかり見ることになってしまうため、
木の下で花見をするには向いていない品種である。
果実ももちろん空を見上げるように立ち上がって実り、
どれほど大きく実っても下に垂れ下がらない。
名前の由来もここからきており、
ニュートンが発見した万有引力の法則に逆らっているようなので、
こう名づけられたのである。

この果実であるが、
受粉後果実の重みを支える為に、
果実と枝を結ぶ部分が硬化し肥大する。
この太くなった軸のために、
収穫される果実は多品種に比べて数が少なくなる傾向にある。
しかしその分、
果実一つ一つはその他の品種の平均と比べ、
おおよそ2.2倍程度になる。
この大きさはさくらんぼの中では飛びぬけて大きいため、
生食したときの迫力が違い人気のある品種である。

またこの品種は、
果実が空に向かって立ち上がり、
大きく太くなる様子から精力のシンボルとして、
子宝祈願の縁起物としての需要も多い。
これについては科学的な観点からも検証されており、
成分を分析した所、
亜鉛の含有率の高さがはっきりと証明されているのである。

こうして一部に対して非常に高い需要があるこの種だが、
その特徴に反して味はおだやかで、
その他のさくらんぼと変わりないというよりも、
少し甘みが薄い位だと思われる。
生食の人気の高さは、
丸かじりした時のさくらんぼらしからぬ迫力からのものだけで、
味わいによる物ではないそうである。
縁起物として利用される時も、
生食と加工品との比率は五分五分といったところである。
加工品で一番多く流通されているのは、
種を抜いて半割にした物のシロップ漬けの缶詰で、
缶詰の中ではかなりの高級品として扱われる。
元の甘みが薄いためシロップとの相性が抜群で、
果物好きにはたまらない一品だそうである。

私も旬には大量に買ってきて、
ジャムに加工してしばらく楽しむ。
パンやヨーグルトに付けて穏やかな甘みと、
ほんの少しの酸味と香りを季節と一緒にいただくのである。
もちろん、
いつまでも現役でいるための方策としても、
おいしくいただいているのである。

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ORKの口伝134

2010-11-16 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝134」

ダンダンムギ

近年育成され始めた小麦の一種である。
もともとはこの名はあだ名であったが、
あまりにもこの種の特徴を表しているために、
今では正式名称よりもこちらのほうで呼ばれる事が多いのである。
まぁもともとの正式名称は、
開発番号で呼ばれていただけなので、
名前が付けられただけ良かったのではないだろうか。

この品種は、
ツズシコスとケロマックという小麦の品種の交配種で、
比較的安定した収量と品質を兼ね備えていた。
製粉した時の品質等もほどほどに優れていたので、
取引市場でもそれなりの人気があったのである。
しかし人気があったのも市場に出始めた初期だけで、
その後ある理由から取引が敬遠される事となったのである。

種苗メーカーから販売されている種麦から育てると、
普通の小麦と同じように製粉した物は白色であるが、
問題は自家採種して育てたものから発生したのである。
何度か自家採種をすると、
第三世代を過ぎたあたりから徐々に、
種子が黒味を帯び始めるのである。
そして世代を重ねて第七世代を迎えるころには、
漆黒の種子を実らせる事になるのである。
畑で実っているうちからパッと見ただけでも、
その他の麦と比べて色が違い、
外皮からして黒くなるのである。

もちろん、
外皮を取り除いた裸麦の状態にしても黒く、
製粉した物はまるで活性炭の粉末のようである。
しかし、
この小麦粉の味が悪いかと言うとそんな事は無く、
その他の小麦粉と食味の点では変わる事はないのである。
このことから、
一部の変わり者好きに好まれる、
かわった品種となったのである。

さて肝心の食味のほうだが、
パンにした場合の味は、
先に述べたようにその他の小麦粉と変わりなく、
まったく口の中での違和感はないのである。
しかし口の中に入れるまでの違和感は尋常ではなく、
一口目を食べ始めるまでに大変な勇気を必要とするであろう。
まず何よりもその色合いがいかんともしがたく、
その黒さはライ麦パンの比ではなく、
まるで木炭を口に運んでいるかのような錯覚に陥るのである。

私も最初の一口をかみ締めるのに2,3分かかったのであるが、
そこを過ぎればなんのことはない、
普通のパンであった。
その後はジャムやバターとの相性を試したり、
色々と楽しんだのであるが、
真っ白なバターとのコントラストが何よりも美しかったのである。

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