いつまでもぼちぼち

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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

「物伝えの人々」

2015-01-22 | フィクション
この物語はフィクションです
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世間むかしいまし物語

 むかしむかしなのか
いまなのか
よくわからない時の物語

「物伝えの人々」

 あるところに
世の中の出来事や事件を
公共の設備を使って伝える人たちがいました

 その人たちは
公共の設備を使うため
とても多くの人に一度に世の中のことを
広く伝えることが出来ました

 そのため
その人たちが言うことは
世の中に大きな影響を与えることが多く
その人たちの所には多くの富が集まります

 ある時
世の中に不満を持ち世の中を変えたいのか
はたまた
単に目立ちたいだけなのか
よくわからない少年が
お店の売り物に木の串を刺したり
金属板を刺したりする事件が起きました

 物伝えの人々は
多くの人の注目を引くことを
できるだけ大げさに伝えることが仕事です
嬉々としてこの事件を伝えました

 もちろん世の中の人も
このようなけしからんことをする少年に
腹立たしい気持ちを持っていたので
この事件の情報が出ると
高い関心を持って見聞きしました

 物伝えの人々は
「世の中を変えたいの気持ちは分る
しかし手段が間違っている」
ふむふむ
「賢そうな主張をしているが
中身は薄っぺらい」
なるほどなるほど
「道理というものを全くわかっていない」
納得納得
 世の中の人は
情報を伝える賢い物伝えの人々は
やはりまともな意見を言うなと思い
注目して見聞きしていました

 あるとき
この事件の話の後
天然の氷の話題が持ち上がりました

 天然の氷は今が旬
それはそうでしょう
天然の氷は真冬の寒さでしか出来ません

 天然の氷を使ったかき氷が美味しい
話によると
冬場は気温が低く
かき氷が溶けにくいから
ふわっとした食感が長く楽しめる
とのことでした

 そのかき氷を食べるところを
伝えられたところ
外にいるときは上着を着ていたのに
お店に入ったら上着を脱いで
腕まくりもしていました

 ある青年は思いました
冬場にかき氷を美味しく食べようと思ったら
余分に燃料を焚かなければならないのでは?

氷の採れる場所まで行って食べるのならば
それこそ旬の味わいだろう
けれど
遠くまで持ってきて
暖房を効かせて食べるというのは
どうなんだろう

 少し前に大変な災害があったとき
毎日のように節約が謳われていました
物伝えの人々も皆
同じように節約を呼びかけていました
しかし
ほとんどの人が眠っている夜中に
物伝えの人々は燃料を使って
物伝え続けていました

 このかき氷の話に限らず
もう節約を話題にすることは少ないです
燃料がたくさん必要な季節ではない
そうかもしれませんが
今節約しておくことで
たくさん必要な時に使えるのではないか?
そんなふうに青年は思いました

 物伝えの人たちにとっては
世の中の道理というのは
その時の風の都合でどこにでもいく
塵芥のようなものなのだろうな
と青年は思い
彼らの話が聞こえないところに行きましたとさ
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この物語はフィクションです