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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

20120105ORKの口伝139

2012-01-05 | フィクション
この文章はすべてフィクションです。

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝139」

スナナ

 一年生の野菜の一種である。
もともと比較的温暖な地域に自生していた植物を、
食糧として改良を重ねている途中で出来上がった突然変異種で、
原種とは違って寒冷地向けの野菜に育て上げる事ができた。

 この野菜の特徴は、
有機物の少ないやせ地でも良好な生育をすることで、
その生育の良さはほとんど雑草と変わらないくらいであり、
作るためには特に苦労を強いられることはないようである。
 しかしこの野菜には食料としては致命的な欠陥がある。
あまりにも繊維質が多く、
またその繊維の中にもナシの果実に含まれる石細胞があり、
それらが相まってまるで砂を噛んでいるような食感だそうである。

 そのまま食料とするにはあまりにも食べにくい野菜だが、
条件の悪い土地でも比較的安定した収量を得られるため、
栽培面積は決して少なくは無い。
少なくないどころか、
近年は増加傾向に向かっているそうである。
 野菜として食べるには美味しいとは言いがたいこの植物だが、
その食物繊維の豊富さとビタミン類の含有量の多さで、
栄養食品原料としての需要が高いためである。

 収穫したこの野菜から栄養分を搾り出し、
その残った絞り粕から食物繊維を取り出す。
それぞれビタミン剤や天然由来便秘薬の原料として、
いまや世界中に流通しているようである。

 とりあえず野菜として開発されたものであるから、
煮物として食べて見ることにしたのであるが・・・。
さすがにそのひどい食感のために、
調理したものを食べ切ることが出来なかったのである。
 煮物にしてあるのだから水分はたっぷりとあるはずなのに、
噛めば噛むほど口の中が乾いていくようなざらつきを覚え、
飲み込むのも一苦労であった。

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この文章はすべてフィクションです