いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
アフィリエイト広告が有ります
「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

読書録「イモータル」ほか

2021-09-28 | Weblog
読書録「イモータル」3

著者 萩耿介
出版 中央公論新社

p20より引用
“ わからなかった。真剣に生きた人なら、
もう一度人生を求めるのではないか。前向き
な姿勢は変わらないはずだからだ。しかし、
すぐに気づいた。この世の悪意にさらされな
がらも真剣に生きた人は十分に疲れている。
長い戦いを終え、憔悴しきっている。だから
二度と人生を求めることはないのだと。”

目次より抜粋引用
“扉
 言葉
 予感
 信頼
 憧れ”

 時代を越えて伝え続けられる伝承と、それ
を後世に残すために尽力した人々を描いた長
編小説。同社刊行作「不滅の書」改題・改稿
文庫版。
 十五年以上前にインドで行方不明となった
兄の足跡を追い、インドに入国した隆。兄は
何を考え消息を絶ったのか、自身の悩み苦し
みとも混じり合った感情と共に、答えを探し
て動く…。

 上記の引用は、主人公・隆の兄が残した「智
慧の書」の中の、赤線が引いてある場所につ
いての一節。“「思慮深く誠実な人は、その
生涯の終わりに際して自分の人生をもう一度
繰り返したいとは決して望まないだろう」”
という部分に引いてあったとのこと。やり直
したい繰り返したいと、最後の時に思わずに
いられるように、精一杯日々を過ごしたいも
のです。
 主人公は一応現代人の隆なのでしょうか、
「智慧の書」を現代まで繋げてきた人たちに
ついての描写が多いので、主人公と言ってい
いかわかりません。
時間も場所もあちこちに飛ぶので、読みにく
く思われます。かといって、時系列順に並ん
でいたら、それはそれで面白くないのでしょ
うね。
 この作品を本当に楽しむには、わたしの知
識は足りていないように思います。歴史・哲
学に造詣が深い人が読まれれば、もっと評価
の高い作品ではないでしょうか。

ーーーーー

読書録「招き猫神社のテンテコ舞いな日々」
2

著者 有間カオル
出版 メディアワークス文庫

p116より引用
“ ここにある招き猫たちは、右手を上げて
いるものと左手を上げているものでは、左の
方が明らかに多い。三対一の割合ぐらい。
 右手を上げている招き猫は金を招き、左手
を上げている招き猫は人を招くご利益がある
といわれていることを、この時の俺はまだ知
らなかった。”

目次より抜粋引用
“猫の子も只では貰えぬ
 猫が肥えれば鰹節が痩せる
 猫を追うより皿を引け
 猫も跨いで通る
 猫の前の鼠”

 仕事に失敗した若い経営者を主人公とした、
長編小説。
 仕事での失敗から拠点を移すことになった、
主人公・和己。打算から引き受けた神社の管
理だったが…。

 上記の引用は、主人公が管理を引き受けた
神社の本殿奥を掃除していて見つけた招き猫
たちについての一節。
おまじないは気休め程度に当てにするくらい
にしておかないと、どんどんと深みにはまっ
てグッズが増えてしまいそうです。舞台となっ
ている神社はそういう所なので、増えるのは
歓迎なのでしょうけれど。
 いまいちわたしには合いませんでした。
現代日本でファンタジーそして猫、これらが
好きな人なら楽しめるでしょう。

ーーーーー


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読書録「遺留品」ほか

2021-09-24 | Weblog
読書録「遺留品」3

著者 P・コーンウェル
訳 相原真理子
出版 講談社文庫

p54より引用
“ 家はこけら板をはってあり、土台は自然
石で、張出し窓がついている。正面と西の翼
棟に沿ってバラの木が植えられており、モク
レンとオークの古木がその上に影を投げかけ
ている。”

 女性検屍官を主人公とした、長編ミステリ
サスペンス小説。シリーズ第三弾。
 年若いカップルが家から車で出発するのを
最後に行方不明となった、数年のうちに同様
の事件が続いており、懸命の捜査の甲斐なく、
また新しい現場へと主人公・ケイは向かうこ
ととなる…。

 上記の引用は、FBI捜査官・ベントン・ウェ
ズリーの自宅の様子を描いた一節。
まだこの後6行ほどの描写があり、物語の奥行
きを深めます。しかし、読者の想像を掻き立
てるというより、著者の作り上げた世界を楽
しむようにと言われているようにも、感じな
くもありません。論理的で詳細な説明を重ん
じるのが海外の作品なのかもしれませんが、
好みの分かれどころになるのではないでしょ
うか。
 自身の恋人との関係や、相棒ともいえる刑
事の家族関係など、生臭い人間味ある登場人
物の描かれ方も、魅力の一つです。

ーーーーー

読書録「真犯人」3

著者 p・コーンウェル
訳 相原真理子
出版 講談社文庫

p34より引用
“「くそっ。子供がやられる事件て、大っ嫌
いだ」椅子を後ろに引いて、こめかみをさす
る。「まったくいやんなるぜ。一匹つかまえ
たと思うと、また次の野郎が出てきやがる」


 女性検屍官を主人公とした、長編ミステリ
サスペンス小説。シリーズ第四弾。
 一人の死刑囚に刑が執行された、残忍な殺
人事件を起こしたその囚人はしかし、その行
為と相反する穏やかな詩を残しており…。

 上記の引用は、シリーズで何度も共に仕事
をしている刑事・マリーノの台詞。
事件が大々的に知れ渡ると、それを真似て犯
行に及ぶものが現れるらしいので、凶悪犯罪
は根絶するのは難しいのかもしれません。
人と違っていたいとか、人に認められたい欲
求は、他より目立って有利に遺伝子を残そう
とする本能に繋がっているのでしょうか?もし
そうなら厄介な事この上ないですね。
 姪が大人になりつつあったり、主人公の恋
人が亡くなっていたりと、物語の中でもしっ
かりと時間の流れに沿って変化のあるシリー
ズです。

ーーーーー

読書録「死体農場」3

著者 P・コーンウェル
訳 相原真理子
出版 講談社文庫

p350より引用
“こうした紳士たちは痛い思いなどせずに、
神に与えられた指紋のままでいるべきだった。
彼らの修正された遺留指紋はFBIの異形ファイ
ルに記録され、前より捜しやすくなったから
だ。それに容疑者になった場合、指にやけど
のあとや無数の切り傷があったりすると、い
かにもうさんくさい。”

 女性検屍官を主人公とした、長編ミステリ
サスペンス小説。シリーズ第五弾。
 訓練のための銃声が止まない施設に、時々
身を置く主人公・ケイ。わずらわしさを感じ
ることから離れるためのはずだったが、施設
に着いた彼女の前にはすでに仕事が用意され
ていた…。

 上記の引用は、犯罪者たちが行った指紋を
残さないための工夫の結末についての一節。
犯罪者として行動するにも、結構まめさが必
要なのだなと思わせる話です。酸で指先を焼
いたり、手術で取り除いたりしたそうです。
やる気や努力を行う方向性が違えば、また違っ
た人生になっていたのかもしれません。
 著者は実在する死体研究施設を取材して、
この作品を書き上げたとのこと。こういう地
道さによるリアリティが人気作品を作り出す
ものなのでしょうね。

ーーーーー


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする