いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

ORKの口伝66

2008-07-30 | フィクション
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝66」

アシターニャ・ベロデルナ

古来より痛み止めとして利用されていた
薬草でありながら
暗殺に使われてきた
大変危険な毒草である

致死量は成人で
体重1kg当たり10から13mg
致死量摂取後24時間前後で
突如麻痺症状が全身に及び
心肺停止で死亡する
また
摂取した毒が致死量に至らず
一命を取り留めたとしても
四肢に麻痺の後遺症が残るのである
この毒で死亡した死体は
必ずだらりと舌を出していたそうで
ここから名前が付けられたという説が有力である

文献によると使用法は
地上部を根元から刈り取り天日干しにし
乾燥したものを粉末にして
煎じ液を薄めて傷口に塗るというのが
痛み止めとしての使用法である
毒として使われる場合は
その粉末を色の目立たない料理に
そのまま入れて使用されたそうである

毒草の入った料理を食べて
おかしな味がしないのかと
疑問に思う人もいるかもしれないが
そこがこの毒草の厄介な所
無味無臭なのである
ただ一つの問題である色も
先ほど言ったように色の濃い料理に入れられると
まるで判らなくなるのである
使用されたのは大体夕食のようである
夕食に毒を盛り
相手が食べたのを確認してから
毒を盛った本人は24時間の余裕をもって逃走出来たそうである

また
宿根性の野草で
成人なら苦もなく登れる山の中腹に
普通に自生しており
入手も簡単な事から
余りにもこの方法による暗殺が頻発し
18世紀に入って
撲滅運動が推し進められることとなり
絶滅することとなった

しかし相手は生命力の強い野草である
世間的にはこの世から消滅したことになっているが
一体どこで生えているかなど
到底誰も把握できるものではないだろう
きっと
人の目の届かない所で生きていると
私は思うのである
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ORKの口伝65

2008-07-28 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝65」

ウラシマトマト

読んで字の如く
トマトの一品種である

実が熟すまではその他の品種と大差は無い
しかし
ある段階を過ぎた時点で
この品種の特色が如実に表れる
実の色がおおむね5割程度赤く染まると
約20から30分で完熟・落果し腐敗を始めるのである
この収穫適期の余りにも早い過ぎ去りかたから
玉手箱を開けて老人になった浦島太郎になぞらえ
この名が付けられたそうである

この様に
熟している期間が短い為
大量に栽培することが非常に困難であり
よしんば
大量生産に踏み切ったとしても
適期収穫の為には人海戦術を採らざるを得ないため
収益率が低い
このためにどうしても栽培面積が伸びず
希少品種となっているのが現状である

ならば
もう少し早い段階で収穫し
貯蔵庫で熟成させることも試みられたが
失敗
全くといっていいほど甘味が乗らず
かといって酸味があるわけでもなく
ただただ青臭いだけの代物になってしまい
困り果てたそうである
以上の理由から
商用作物としては扱い辛い品種である

だがしかし
樹勢が大変強く育て易いうえに
完熟した物は大変美味
小規模で自家用に作るには人気の品種である
プランターでも簡単に作れるので
どこででも栽培できる

また
熟し始めて
落果するまでの時間を
30秒単位で予想するギャンブルも
一部の国で行われているそうであるが
実が落果に向けて奔り始める境目が解かり難く
時間がかかるため
気の長い人しか参加できない
トマト予想券の事前販売は
すり替え防止の為行われないそうである
この様にのんびりしたギャンブルだが
結構な人気があり
休日の競技場?には千人単位で人が集まり
一つの鉢植えのトマトを囲んで
ゆったりと時間を楽しむそうである
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ORKの口伝64

2008-07-20 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝64」

キョウテンドウチ

ボウゼンジシツ目
シュウショウロウバイ科
この種ほぼ単独の分類である
温帯から亜熱帯にかけて分布する
漢字で表すと「驚天動地」である

まず
種から発芽した若木は
3m程度までその他の樹木と同じように生長する
ここからがこの種の特色で
その高さまで成長した後折り返し
今度は木の先端が地面を目指して生長するのである
こうしておおよそ5年で見事なアーチを形作る
さらにここから
一度地面に潜り幹から根を出すと
またもや
先端は空を目指し伸び始めるのである
こうして約5年単位でアーチを作り続けるのである

この木の作るアーチは
必ず時計周りに円を描き
そしてさらに必ず
8個のアーチで一周するのである
古代人はこの円の内側を
神聖な場所としていたようであり
儀式の後が遺跡より発見されている
集落もこの木の円を中心として拡がっていたようである

しかしこの木も
周辺民族の移入により
焼き畑や燃料利用され激減
今現在円を描く状態まで生き残っている物は
両手足の指の数に満たない為
自然成育種は保護対象となっているのである

ただ
決して絶滅することはないだろう
なぜならば
環境の変化に強く適応しやすく
このアーチ状に生長する特徴が
ガーデニング愛好家に大変気に入られており
庭の入口に多く利用されている
剪定さえ怠らなければ
一つのアーチの状態を維持できるそうである

しかし難点もあるそうで
一度アーチを描き始めると
大変規則正しく円を描くこの木ではあるが
最初のアーチはどの方向に向かうかは
運次第だそうである
この最初に向かう方向の決定には
太陽の方向が関係している説や
障害物の存在による説などが今のところ有力であるが
その説に従って栽培しても
今のところ思いどおりになったと言う報告は
出ていないのである
この様に少々気まぐれである為
他人の土地や公共地が隣接している所での栽培には不向きである
土地に余裕のある愛好家は
アーチに合わせてその他を整えるそうである

残念なことに
この木は食用には全く向いておらず
何処を食べても美味しくなかったのである
心から残念である
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ORKの口伝63

2008-07-19 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝63」

リュウガサボテン

漢字に直すと
龍牙仙人掌
その名の通り仙人掌の一種である

全体が太い棍棒状で
砂漠に生えるごく一般的な仙人掌に見える

その刺にこの種独特の特徴が表れる

仙人掌の棘といえば
細く鋭いものが多いが
この種の刺は円錐状である
成長の度合にもよるが
直径1.5~2.0cm
高さ4.0~5.3cmの整った円錐で非常に硬度が高く
砂岩にならば突き刺さる位である
この棘の性状から龍の牙の名が付けられたのである

また棘だけでなく
茎の硬さもそこそこ有るため
この仙人掌の生えている砂漠の民族は
切り取ったこの仙人掌に持ち手を付け
使い捨ての棍棒として使用していた様である
なぜこのようなことが解かるかというと
遺跡から出土した戦士の遺体の骨に
この仙人掌の棘のDNAが付着した穴が
無数に空いていた為である
私は博物館にてこの遺骨を見たが
頭骨にいくつもの穴が空いており
一目見ただけで痛さが伝わって来たのである

この様に
武器として使うと
殴られる方も見ている方も
痛くて痛くて仕方がないこの仙人掌であるが
食用にすると
実はなかなか乙な味である
胡瓜の味に少しの苦みが乗った感じであるが
ニガウリ程ではなく食べ易い
また
砂漠という厳しい環境に生きる植物であるため
その身に詰まった栄養価も高く
重宝されているようである
私は細切りにされたサラダでいただいた
味付けは細かく砕いた岩塩を少しかけて
食べている間は
砂漠に居ることを忘れてしまうほどであったのである
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ORKの口伝62

2008-07-16 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝62」

コソウマツ

松の一種であり
漢字で書くと「虎爪松」である

その名の由来は葉の形状から
普通の松の葉と比べ太く短く
鉤爪状に曲がっていることから名付けられた
その名の通り
先端は非常に鋭く尖っており
うっかりひっかけると
薄い布地ならばあっというまにビリビリになる

この様な葉の形状になった原因として
実の油分の高さが挙げられている
油分の多さ故
木の実を好む鳥の餌として狙われ易く
未熟な物まで食べられてしまうことを防ぐため
葉の形状を進化させたのではないかと言われている

近年
育種技術の進歩により
苗から鉢に移した位の状態で販売されており
盆栽として一部で人気を博している様である
私の友人ガァ・デ・ニングスキーも愛好している
彼が言うには
手入れをするときは必ず
厚手のゴム手袋を付けるのがコツだそうである
軍手では編目の間から
グサグサと葉の先端が刺さり
酷い目に会うそうである

私もこの松の実を食べてみたが
食料としてよりも植物油脂原料とした方が
無難であると思ったのである
余りにも松ヤニの匂いがキツク
噛めば噛むほど辛くなる
好みの差は有るだろうけれども
私は緊急時以外には
もう食べようとは思わないのである
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