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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

ORKの口伝106

2009-02-21 | フィクション
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝106」

ムギワラビ

ワラビと言えば春の山菜であるが
この品種は寒冷な時期にのみ生育する亜種である

このワラビの特徴は上で述べたとおりであって
春と夏の間を胞子の状態で休眠してやり過ごし
秋の中ごろから生長を始め
霜が降りる頃になると
芽を伸ばして胞子をまき始めるのである
この為雪深い土地では茎が大変長く伸び
雪の深さによってその長さが決まるのである
この為近年は降雪量の低下により
生育地で茎の長さが短い物ばかりになっているそうである

このワラビ
ワラビの亜種とは言うものの
似ているのは長さ以外の形だけで
春に生える普通のワラビと違い
全く食用には向かないのである
たとえ雪が積もる前に生え始めた若い芽であっても
決して食べることは出来ない

その理由の一つは
芽を出したばかりからでも芯に空洞があり
さらに繊維が固く
どの様に処理しても柔らかくはならないからである

そしてもう一つの理由が何より肝心なのだが
大変毒性が強いのである
ワラビの持つ毒成分
タキロシドの含有量が普通種のおおよそ80倍
この成分は非常に強い発がん性を持っており
食用に用いるのは危険である
さらに
もう一つの毒成分アノイリナーゼの含有量も多く
普通種の約10倍程度
こちらの成分は体内に取り込むと
一説では体内のビタミンB1を破壊すると言われている
これら毒成分の作用によって
摂取量によっては歩行困難などが起こり
重症になると心臓にも影響が出るのである
これらの事から
どうがんばっても食用にすることは出来ないし
また
どれほど空腹であっても
決して口にしてはいけないのである

普通種の場合
これら毒成分の含有量は微量で
いずれも処理さえしっかりしておけば
山菜として問題なく食べることが出来る
タキロシドは水溶性であるため
重曹などでしっかりとアク抜きをすればよいし
アノイリナーゼは十分加熱調理をすればよいのだが
この亜種は
その毒成分の含有量の多さゆえに
どうしても処理しきれないのである

まぁしかし
私も実物を見たことがあるのであるが
正直あまり美味しそうではなかった
手で触っただけでその固さが伝わってくるので
あまり食欲は沸かないだろう
それに何より
簡単に採集出来るのは
寒い地域で雪が降り始めるほんのわずかの期間である為
口に入れること自体まず無いことと思われる
寒い時に寒い思いをして美味しくない物を採りに行くのは
いかにも不毛だと思うのである
私は二度と行かないのである
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この文章は全てフィクションです
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