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オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132

2010-10-17 | フィクション
この文章は全てフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132」

バンディット・ビーンズ

マメ目マメ科のツル性植物の一種である。
原種が発見されたのは30年位前といわれており、
南米大陸の最奥地で旅行者によって発見されたそうである。
しかしこの発見に関しては、
最初の発見者の名を学名に入れようとする関係で、
現在係争中である。
発見者として名乗りを上げている人たちは様々で、
上記の旅行者の他、
植物学者や一儲けをたくらむやから達がわんさか名乗りをあげて、
まだまだ事態に収拾がつく様子は無いそうである。

そんな人間の争いとはまったく無関係に、
このマメはいつの間にか世界の比較的温暖な地域に、
生息域を広げているようである。
うかつにもこの豆を持ち帰った人たちが、
ためしに自分の畑に植えたのがきっかけと思われる。
この様な自体が世界で同時多発的に起こっており、
どこが最初の原因かはわからなくなってしまっているのである。

一応食用となるこの豆であるが、
その蔓の性質によって近隣の物には手当たりしだい巻き付き、
巻きつくものは自然物人工物をまったく問わない。
この豆の厄介な所は、
その蔓の量の多さにあるのである。
普通植物は一番頂点の芽が生長力が最も強く、
どんどん伸びていく物だが、
この豆は頂芽と同等の生長力をもつ芽が10本同時に発生し、
いっせいに伸びていくのである。
こうして生長した蔓は巻きついたものを覆い隠し、
耐久力のない物はその重みで押しつぶしてしまうのである。
巻きついたものが植物なら重みに耐えたとしても、
日光をさえぎり根元の養分を横取りし、
脇芽から吸収根をだして巻き付いた植物体から直接、
水分を奪うようになるのである。
名前の由来はこのあたりから来ているようである。

この様に繁殖力・成長力共に旺盛な植物だが、
一定の大きさになると、
自らの蔓の重みと圧力・影のせいで自滅してしまうのである。
巻き付く相手がおおよそ5m位の高さの植物なら、
相手を枯らしてしまっても、
蔓同士が巻き付き合って木のようになってしばらくは生きるが、
生長せずにはいられないので、
いずれは自滅するのである。

一応食用になると言ったが、
食用栽培に向かないわけはその実の小ささと、
収穫量の少なさが顕著であるためである。
収穫作業の効率から2m程度までしか草丈を伸ばす事は出来ず、
そこまで大きくして収量の確保を試みても、
10本の蔓から取れる豆の量は、
1kg程度である。
今後栽培法が改良・確立されれば収量が増える可能性はあるが、
その前に侵略的特定外来生物に指定される可能性のほうが、
非常に高いと思われる。

さて、
そうなって手に入らなくなる前に、
食べておこうと思い探してみたが、
一般にはまったく流通していない様子であった。
先に述べた情報は、
20年位前の南米の農業技術研究所の試験発表からのもので、
現在はどこにも売っていないようである。
そこで仕方がないので、
現地に直接食べに行ったのである。

食味としては食感はどこにでもある豆類のそれであったが、
特有の青臭みがあり、
それが加熱しても抜けない所が特徴である。
あくまでたとえであるが、
生のグリーンピースの味が茹でても残るような感じであった。
好き嫌いをいうのは好きではないが、
いまいちであった。
とほほである。

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この文章は全てフィクションです

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