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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

ORKの口伝135

2010-11-18 | フィクション
この文章は全てフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝135」

アンニューチェリー

果実採取品種の桜の一種で、
アンチ・ニュートン・チェリーの略称である。

この種の特徴は全ての花が重力に逆らうように咲くところにあり、
空を見上げるように咲き誇るのである。
このため下から見上げた時に、
花の裏側ばかり見ることになってしまうため、
木の下で花見をするには向いていない品種である。
果実ももちろん空を見上げるように立ち上がって実り、
どれほど大きく実っても下に垂れ下がらない。
名前の由来もここからきており、
ニュートンが発見した万有引力の法則に逆らっているようなので、
こう名づけられたのである。

この果実であるが、
受粉後果実の重みを支える為に、
果実と枝を結ぶ部分が硬化し肥大する。
この太くなった軸のために、
収穫される果実は多品種に比べて数が少なくなる傾向にある。
しかしその分、
果実一つ一つはその他の品種の平均と比べ、
おおよそ2.2倍程度になる。
この大きさはさくらんぼの中では飛びぬけて大きいため、
生食したときの迫力が違い人気のある品種である。

またこの品種は、
果実が空に向かって立ち上がり、
大きく太くなる様子から精力のシンボルとして、
子宝祈願の縁起物としての需要も多い。
これについては科学的な観点からも検証されており、
成分を分析した所、
亜鉛の含有率の高さがはっきりと証明されているのである。

こうして一部に対して非常に高い需要があるこの種だが、
その特徴に反して味はおだやかで、
その他のさくらんぼと変わりないというよりも、
少し甘みが薄い位だと思われる。
生食の人気の高さは、
丸かじりした時のさくらんぼらしからぬ迫力からのものだけで、
味わいによる物ではないそうである。
縁起物として利用される時も、
生食と加工品との比率は五分五分といったところである。
加工品で一番多く流通されているのは、
種を抜いて半割にした物のシロップ漬けの缶詰で、
缶詰の中ではかなりの高級品として扱われる。
元の甘みが薄いためシロップとの相性が抜群で、
果物好きにはたまらない一品だそうである。

私も旬には大量に買ってきて、
ジャムに加工してしばらく楽しむ。
パンやヨーグルトに付けて穏やかな甘みと、
ほんの少しの酸味と香りを季節と一緒にいただくのである。
もちろん、
いつまでも現役でいるための方策としても、
おいしくいただいているのである。

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この文章は全てフィクションです


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