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「難民申請急増、就労目的か?・・今年度最多3600件、法務省是正へ」
読売新聞2014・10・18
日本への「難民認定申請」の件数が急増している。
法務省によると、今年1月から9月の申請件数は約3600件で、過去最多だった昨年の3260件をすでに突破し、最終的に4000件を超える見通しだ。
2012年3月の制度改正で、正規滞在の外国人であれば、審査結果が出るまで合法で働けるようになったことから、実は就労が目的の偽装申請が横行していると見られている。
制度改正は審査期間中に経済的に行き詰る申請者への配慮が目的だった。
審査が半年以上に長引いた場合に限り、生活費をみずから稼ぐことを認めた。
また、申請時点で不法滞在の外国人には適用されない。
このため改正後に増えたのは、留学や短期滞在中の正規の在留資格を持つ外国人からの申請だ。
2010年の668件から、2013年は2404件と3倍増超えとなった。
留学ビザで来日した外国人の場合、許可を得て原則一日4時間までのアルバイトが可能だが、「難民認定申請」して半年経てば、職種を問わずフルタイムで就労できる。
同省入国管理局には、日本語学校などから「留学生が「難民認定申請」をして本格的に働き始め、学校に来なくなった」という相談が寄せられているという。
職業技術を習得してもらう目的で、外国人を「技能実習生」として受け入れている農家や製造業者などから、「実習生がいなくなった。本人に連絡をとったら、稼ぎが増えるから難民申請をした」と言われたという相談も相次いでいる。
現行の制度では、難民に指定されなくても、異議申し立てや再申請を繰り返せば、合法で就労できる立場を維持することも可能だ。
異議申し立ての件数は、2010年の859件から2013年は2408件と大幅に増えている。
制度を就労目的に利用できるという情報が、外国人滞在者の間に広がっているもようだ。
申請件数の増加により、審査期間の平均は11年度の5・25か月から、最近は7か月程度まで延びた。
本当に「難民認定」を必要とする申請者の審査が遅れるという弊害も懸念されている。
同省は事態を重く見ており、法省の私的懇談会 「入国管理政策懇談会」が対策を協議中だ。
不適切な申請をあらかじめ排除する事前審査の導入などを検討している。
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次は、いろいろと問題が多いと言われる「外国人技能実習生」の記事です。
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「外国人実習制度・・労働力確保の抜け道」読売新聞2014・10・26
介護や林業など、様々な分野での人手不足を補おうと、政府は外国人労働者の受け入れを増やす方針だ。
その柱として拡充が検討されているのが「外国人技能実習制度」。
働きながら技術を学んでもらえる仕組みだが、賃金の未払いなどトラブルが絶えない。
一体、この制度の何が問題なのだろう?
「だまされっぱなし」
「だまされっぱなしだった」。
中国人男性は苦しそうに語る。
「2年前に来日し、今夏まで関東地方の水産加工会社で働いた。
毎月同じように働いたのに、月給は10万から25万円と増減した。給料は社長のさじ加減で決まった。
社長からは何かにつけて「バカ野郎」とどなられ、頭をひっぱたかれた。
外部との接触を恐れたのか、パソコンや携帯電話の所有も禁止された。
それでも我慢したのは、母国で待つ5才の子と妻が仕送りを待つため。
就航準備のために、親戚に多額の借金もしていた。
簡単には帰れない。
未払い賃金の支払いを求めて社長に直談談判したが、「別の者に聞いてくれ」と言うばかり。
その直後、この夏クビになった。
男性は言う。
「日本ではこれが当たり前なのか?」
「ノーと言えない」
「時給300円で働かされた」「妊娠したら帰国させられる契約を結ばされた」――。
民間団体「移住民労働者と連帯する全国ネットワーク」には、実習生からこんな相談が多く寄せられ
る。
実習生といっても日本人の労働者同様、労働関係法の対象になるが、就労ではなく技術を学んでもらうことが滞在目的のため、受け入れ先が倒産などしない限り、自由に実習先は変えられない。
逃亡防止に保証金を徴収されるケースもあり、同ネットワークは「ノーと言えない労働者、まるで奴隷だ」と言う。
悪評は海外にも広がっている。
米国国務省が2014年6月にまとめた「人身取引報告書」では、パスポートを取り上げられたり、劣悪な住まいの賃料として法外な金額を要求されたりしたケースなどを、「強制労働」の事例として紹介。
保護の強化を求めている。
国も手をこまねいているわけではない。
監督指導を強化する方針だが、指導後に受け入れ先が名称を変えることもあり、摘発には限界があると明かす。
「本音と建て前」
問題が絶えないのは、技術を通した途上国への「国際貢献」という制度の目的と実態が、かい離していることが背景にある。
「外国人技能実習生問題弁護士連絡会」共同代表は、「実態は安い労働力を確保する手段で、裏口から外国人労働者を入れるまやかしの仕組みだ」と指摘。
受け入れ先は、もともと労働者の権利擁護の意識が低いところも目立ち、「そこに実習の名目で働かせているので、ますます権利が軽んじられがちになる」と見る。
国が実習の形式にこだわるのは、単純労働の分野での受け入れを認めていないためだ。
高齢者や女性の仕事をうばったり、治安に影響を及ぼしたりしかねない、というのが理由だろう。
「労働者として正面から受け入れると、移民受け入れの是非を巡る議論に発展しかねない。政治的に困難」(厚労省幹部)との事情もある。
制度創設時の関係者は、「当時、中小企業の一部は「きつい・汚い・危険」の「3K」と呼ばれるなど人手不足が深刻で、経済界から受け入れを求める声が強かった。
国の建前も維持しつつ、抜け道として考えたのが、「国際貢献」という建前。
本音は人手不足の打開だった」と振り返る。
「参考になる取組み」
本来の目的から離れたまま、なしくずし的に受け入れを進めてよいのだろうか?
慶応大学の中島教授は「そもそも人手不足は賃金上昇や付加価値の高いサービスを提供する状態に転換するチャンス。安易に外国人に頼ると問題が先送りされ、変革の妨げになる」と指摘する。
実際ある建設業界団体幹部は、「3K職場でも昔は給料が良かったが、今は待遇も悪い。
制度がなければ一部淘汰されていた。
延命策という面もある」と話す。
受け入れ方法をめぐっては、参考になる取組みもある。
韓国は2004年、「雇用許可制度」を導入した。
未熟練の分野の外国人労働者を受け入れる仕組みで、国内に求人がない場合、送り出し国との取り決めにもとづいて、一定期間外国人を受け入れるのだ。
雇用主に、不当な差別をしてはならないという義務も課している。日本総合研究所部長は「周辺国も豊かになり、「安価な労働力」という発想だけでは、近い将来日本に来てくれなくなる。
人口減社会もふまえれば、人が集まらない職種で外国人を秩序立てて受け入れる仕組みを整えるべきだ」と話している。
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技能実習生の労働環境が良くないという勧告がなされた、という記事です。
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「中国人実習生の人権を侵害・・長野の組合に日弁連が勧告」
朝日新聞2014・12・02
日本で働きながら外国人に技術を学んでもらう「技能実習生制度」をめぐり、中国人実習生の人権侵害があったとして、日本弁護士連合会は1日、国内有数のレタス産地・長野県川上村の川上村農林業振興事業協同組合に対し、労働環境を改善するよう勧告したと発表した。
勧告は11月28日づけ。同制度に関して勧告を出すのは初めてだという。
日弁連は2011年から2013年に川上村のレタス農家で働いた中国・吉林省出身の実習生4人に聞き取り調査を実施した。
その結果、
○繁忙期は休日も無く、午前2時から午後5時まで働かされた。
○給料をリーダー格の実習生が管理しており、自由に使えない。
○勤務時間外でも、一目で実習生と分かるよう、常に赤い帽子をかぶるよう強制された。
などの実態が分かったという。
日弁連は、同組合が人権侵害に実質的に関与または黙認したと認定。所管する法務省と厚生省にも実態調査と、実習生制度の廃止を勧告した。
勧告に法的な拘束力はない。
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法務省によると、今年1月から9月の申請件数は約3600件で、過去最多だった昨年の3260件をすでに突破し、最終的に4000件を超える見通しだ。
2012年3月の制度改正で、正規滞在の外国人であれば、審査結果が出るまで合法で働けるようになったことから、実は就労が目的の偽装申請が横行していると見られている。
制度改正は審査期間中に経済的に行き詰る申請者への配慮が目的だった。
審査が半年以上に長引いた場合に限り、生活費をみずから稼ぐことを認めた。
また、申請時点で不法滞在の外国人には適用されない。
このため改正後に増えたのは、留学や短期滞在中の正規の在留資格を持つ外国人からの申請だ。
2010年の668件から、2013年は2404件と3倍増超えとなった。
留学ビザで来日した外国人の場合、許可を得て原則一日4時間までのアルバイトが可能だが、「難民認定申請」して半年経てば、職種を問わずフルタイムで就労できる。
同省入国管理局には、日本語学校などから「留学生が「難民認定申請」をして本格的に働き始め、学校に来なくなった」という相談が寄せられているという。
職業技術を習得してもらう目的で、外国人を「技能実習生」として受け入れている農家や製造業者などから、「実習生がいなくなった。本人に連絡をとったら、稼ぎが増えるから難民申請をした」と言われたという相談も相次いでいる。
現行の制度では、難民に指定されなくても、異議申し立てや再申請を繰り返せば、合法で就労できる立場を維持することも可能だ。
異議申し立ての件数は、2010年の859件から2013年は2408件と大幅に増えている。
制度を就労目的に利用できるという情報が、外国人滞在者の間に広がっているもようだ。
申請件数の増加により、審査期間の平均は11年度の5・25か月から、最近は7か月程度まで延びた。
本当に「難民認定」を必要とする申請者の審査が遅れるという弊害も懸念されている。
同省は事態を重く見ており、法省の私的懇談会 「入国管理政策懇談会」が対策を協議中だ。
不適切な申請をあらかじめ排除する事前審査の導入などを検討している。
・・・・・
次は、いろいろと問題が多いと言われる「外国人技能実習生」の記事です。
・・・・・
「外国人実習制度・・労働力確保の抜け道」読売新聞2014・10・26
介護や林業など、様々な分野での人手不足を補おうと、政府は外国人労働者の受け入れを増やす方針だ。
その柱として拡充が検討されているのが「外国人技能実習制度」。
働きながら技術を学んでもらえる仕組みだが、賃金の未払いなどトラブルが絶えない。
一体、この制度の何が問題なのだろう?
「だまされっぱなし」
「だまされっぱなしだった」。
中国人男性は苦しそうに語る。
「2年前に来日し、今夏まで関東地方の水産加工会社で働いた。
毎月同じように働いたのに、月給は10万から25万円と増減した。給料は社長のさじ加減で決まった。
社長からは何かにつけて「バカ野郎」とどなられ、頭をひっぱたかれた。
外部との接触を恐れたのか、パソコンや携帯電話の所有も禁止された。
それでも我慢したのは、母国で待つ5才の子と妻が仕送りを待つため。
就航準備のために、親戚に多額の借金もしていた。
簡単には帰れない。
未払い賃金の支払いを求めて社長に直談談判したが、「別の者に聞いてくれ」と言うばかり。
その直後、この夏クビになった。
男性は言う。
「日本ではこれが当たり前なのか?」
「ノーと言えない」
「時給300円で働かされた」「妊娠したら帰国させられる契約を結ばされた」――。
民間団体「移住民労働者と連帯する全国ネットワーク」には、実習生からこんな相談が多く寄せられ
る。
実習生といっても日本人の労働者同様、労働関係法の対象になるが、就労ではなく技術を学んでもらうことが滞在目的のため、受け入れ先が倒産などしない限り、自由に実習先は変えられない。
逃亡防止に保証金を徴収されるケースもあり、同ネットワークは「ノーと言えない労働者、まるで奴隷だ」と言う。
悪評は海外にも広がっている。
米国国務省が2014年6月にまとめた「人身取引報告書」では、パスポートを取り上げられたり、劣悪な住まいの賃料として法外な金額を要求されたりしたケースなどを、「強制労働」の事例として紹介。
保護の強化を求めている。
国も手をこまねいているわけではない。
監督指導を強化する方針だが、指導後に受け入れ先が名称を変えることもあり、摘発には限界があると明かす。
「本音と建て前」
問題が絶えないのは、技術を通した途上国への「国際貢献」という制度の目的と実態が、かい離していることが背景にある。
「外国人技能実習生問題弁護士連絡会」共同代表は、「実態は安い労働力を確保する手段で、裏口から外国人労働者を入れるまやかしの仕組みだ」と指摘。
受け入れ先は、もともと労働者の権利擁護の意識が低いところも目立ち、「そこに実習の名目で働かせているので、ますます権利が軽んじられがちになる」と見る。
国が実習の形式にこだわるのは、単純労働の分野での受け入れを認めていないためだ。
高齢者や女性の仕事をうばったり、治安に影響を及ぼしたりしかねない、というのが理由だろう。
「労働者として正面から受け入れると、移民受け入れの是非を巡る議論に発展しかねない。政治的に困難」(厚労省幹部)との事情もある。
制度創設時の関係者は、「当時、中小企業の一部は「きつい・汚い・危険」の「3K」と呼ばれるなど人手不足が深刻で、経済界から受け入れを求める声が強かった。
国の建前も維持しつつ、抜け道として考えたのが、「国際貢献」という建前。
本音は人手不足の打開だった」と振り返る。
「参考になる取組み」
本来の目的から離れたまま、なしくずし的に受け入れを進めてよいのだろうか?
慶応大学の中島教授は「そもそも人手不足は賃金上昇や付加価値の高いサービスを提供する状態に転換するチャンス。安易に外国人に頼ると問題が先送りされ、変革の妨げになる」と指摘する。
実際ある建設業界団体幹部は、「3K職場でも昔は給料が良かったが、今は待遇も悪い。
制度がなければ一部淘汰されていた。
延命策という面もある」と話す。
受け入れ方法をめぐっては、参考になる取組みもある。
韓国は2004年、「雇用許可制度」を導入した。
未熟練の分野の外国人労働者を受け入れる仕組みで、国内に求人がない場合、送り出し国との取り決めにもとづいて、一定期間外国人を受け入れるのだ。
雇用主に、不当な差別をしてはならないという義務も課している。日本総合研究所部長は「周辺国も豊かになり、「安価な労働力」という発想だけでは、近い将来日本に来てくれなくなる。
人口減社会もふまえれば、人が集まらない職種で外国人を秩序立てて受け入れる仕組みを整えるべきだ」と話している。
・・・・・
技能実習生の労働環境が良くないという勧告がなされた、という記事です。
・・・・・
「中国人実習生の人権を侵害・・長野の組合に日弁連が勧告」
朝日新聞2014・12・02
日本で働きながら外国人に技術を学んでもらう「技能実習生制度」をめぐり、中国人実習生の人権侵害があったとして、日本弁護士連合会は1日、国内有数のレタス産地・長野県川上村の川上村農林業振興事業協同組合に対し、労働環境を改善するよう勧告したと発表した。
勧告は11月28日づけ。同制度に関して勧告を出すのは初めてだという。
日弁連は2011年から2013年に川上村のレタス農家で働いた中国・吉林省出身の実習生4人に聞き取り調査を実施した。
その結果、
○繁忙期は休日も無く、午前2時から午後5時まで働かされた。
○給料をリーダー格の実習生が管理しており、自由に使えない。
○勤務時間外でも、一目で実習生と分かるよう、常に赤い帽子をかぶるよう強制された。
などの実態が分かったという。
日弁連は、同組合が人権侵害に実質的に関与または黙認したと認定。所管する法務省と厚生省にも実態調査と、実習生制度の廃止を勧告した。
勧告に法的な拘束力はない。
・・・・・
ブログ内関連記事
「多文化に挑む韓国(1)・・外国人労働者」
「外国人労働者と、いかにかかわるべきか?」
「アジアと日本の外国人労働者・・日本は鎖国状態?」
「弥勒とアジア(5)・・新羅の少年たちと弥勒の化身」
「イスラム世界と中国・・増えるエジプトへの留学生」
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