ファイナルファンタジー 20thアニバーサリー アルティマニア File2:シナリオ編 (SE-MOOK) 価格:¥ 1,800(税込) 発売日:2008-04-10 |
ファイナルファンタジー20周年記念アルティマニアシリーズの第2巻。前作のキャラクター編に続き、今回はシナリオ編となる。
ファイナルファンタジーはシリーズ作品ではあるが、個々の作品間に繋がりは一切無い(XとX-2といった例外は除く)。だから、X-2を含む13作品の物語を羅列したところで、明確なまとまりのようなものは感じられない。前作のキャラクター編が、イラストを眺めるだけになってしまいがちだったのに対して、シナリオ編はバックグラウンドの物語が描かれているので作品の思い出を喚起しやすい印象ではあるが。しかし、もちろん攻略本としての用途には使えず、個々の作品に関してはそれぞれの攻略本に当たった方がより詳細なのは間違いない。所詮は思い出に浸るための本でしかないが、ゲームがただの娯楽から文化へと捉え直すならば、とても興味深い本だと思う。
総ページ数510はキャラクター編と同じ。
目次に続き、「物語のキーワード」として13作品にキーワードが付けられている。
「3つの要素から見る『FF』の物語」は、旅の目的、力の源、倒すべき脅威という3つの要素を挙げて4ページに渡って各作品の傾向を紹介している。
各作品のページは、タイトルと概要、主要登場人物(簡単な相関図)、Impressive Scenes、世界地図とロケーションガイド、用語解説、乗り物/交通手段、ストーリープレイバックから成る。
Impressive Scenesではその作品を象徴するシーン4つを、ゲーム画面とセリフで見せている。ロケーションガイドは、町やダンジョンを進行順に掲載している。ストーリープレイバックは簡単な攻略ガイドのような感じだが、シナリオのネタバレ的要素も多いのでまだプレイしてない人は見ないほうがいいだろう。
◇ファイナルファンタジー(20P)
キーワードは「時の鎖」。Impressive Scenesではあの有名なオープニングナレーションが掲載されている。ゲーム画面は基本的にオリジナル版を使用しており、当時のプレイヤーにはとても懐かしいものだ。FFシリーズは演出に力を注いだRPGだが、それはこの1作目から如実に現れている。
★背景グラフィックから見る『FF』の映像の進化(2P)
13作品のオリジナル版のフィールド、町、ダンジョンの画像を比較できる。
◇ファイナルファンタジーII(22P)
キーワードは「帝国への抵抗」。Impressive Scenesではヨーゼフやミンウの最期が取り上げられている。お約束の展開(自己犠牲など)が目立った作品だが、ファミコンというハードでこれだけの演出をしているのは流石だと言えるだろう。
★クリスタルと飛空艇の変遷(2P)
その名の通り、各作品のクリスタルと飛空艇を紹介している。クリスタルは、I、II、III、IV、V、IX、XI、XIIを解説付きで、飛空艇はパーティが自由に使えるものが紹介されている。
◇ファイナルファンタジーIII(28P)
キーワードは「光と闇」。ストーリープレイバックではDS版で追加された部分も掲載されている。プレイヤーの分身としてキャラクター性が付随されていなかったファミコン版と、キャラクター性が加わり物語を追体験するような形態へとなったDS版との違いは、時代によるRPGのトレンドの違いだろう。
★ラストダンジョン コレクション(4P)
XIを除く12作品のラストダンジョンが紹介されている。有名なIIIに関しては、道程を表で説明しているが、どうせならセーブ不可となるクリスタルタワー突入以降のマップを掲載してその過酷さを改めて思い出させて欲しかったくらいだ。
◇ファイナルファンタジーIV(30P)
キーワードは「苦悩の旅路」。地底世界や月までが舞台となる壮大なシナリオは、主人公セシルの物語として描かれている。DS版での「ゴルベーザの回想」が紹介されていて、DS版未プレイの人にとっては興味深い内容かもしれない。
★時田貴司氏に聞く『FFIV』(2P)
IVのゲームデザインを担当した時田貴司氏へのインタビュー。オリジナル版の製作秘話とDS版リメイク時の話となっている。
◇ファイナルファンタジーV(36P)
キーワードは「4つの光」。ジョブチェンジシステムによりやり込み色の強い作品だったため、シナリオはあまり覚えていない。コラムにエンディングが15通りあると書かれているが、マルチエンディングだったことは初耳かも。
★タイトルデモ ギャラリー(2P)
各作品のタイトルデモの紹介。移植版やインターナショナル版についても簡単に触れられている。
◇ファイナルファンタジーVI(34P)
キーワードは「幻獣と人間」。ラストダンジョン「ガレキの塔」のところで挫折した作品。仲間になるキャラクターが14名と数多く、やり込み要素も多種多様となり、そのせいでメインストーリーはやや散漫になってしまった印象だ。それでも個別のイベントには記憶に強く残るものも多く、魔列車やオペラ劇場などは特に懐かしく感じる。
★リメイク版で追加されたダンジョン(4P)
IのSoul of Chaos、時の迷宮、IIのSoul of Re-Birth、秘紋の迷宮、IIIの鉄巨人の洞窟、IVの試練の洞窟、月の遺跡、Vの封印の神殿、亡者の巣窟、VIの竜の巣、魂のほこらが取り上げられている。
◇ファイナルファンタジーVII(38P)
キーワードは「星の命」。Impressive Scenesではもちろんエアリスの死の場面が取り上げられている。ヒロインを死なせるというある意味禁じ手を使っているわけだが、それもあって未だファンに強く支持されている作品となっている。
★直良有祐氏に聞く「ミッドガル」(2P)
VIIなどのアートディレクターを担当した直良有祐氏へのインタビュー。VIIの世界の中心地であるミッドガルの話などが語られている。
◇ファイナルファンタジーVIII(34P)
冒険的すぎたゲームシステムもさることながら、世界観や設定もシナリオもこうして振り返ってみてもパッとしない印象が残る。キーワードは「愛と友情」……って。
★『FF』ミニゲーム&サブイベント大全集1(6P)
ここではIからVIIIまでのミニゲーム・サブイベントが取り上げられている。オリジナル版だけでなくリメイク版で追加されたものも紹介されている。
◇ファイナルファンタジーIX(42P)
キーワードは「いつか帰るところ」。原点回帰をテーマにFFらしさが随所に現れた作品だ。システムは保守的だが、シナリオは今回読んでみてまたやってみたいと思わせるものだった。もっと評価されてもいい作品だろう。
★『FF』ミニゲーム&サブイベント大全集2(8P)
IXからXIIまでの5作品からミニゲーム・サブイベントが取り上げられている。XIはコンクェスト、アサルト、ビシージ、カンパニエが除外されている。
◇ファイナルファンタジーX(38P)
キーワードは「父からの自立」。人気の高い作品だが、FFらしい演出の冴えは見られなかったと思う。
★『FF』ロケーション in Other Games(2P)
他のゲームで『FF』の舞台が登場しているものを紹介している。
◇ファイナルファンタジーX-2(26P)
キーワードは「変わるもの変わらぬもの」。Xの2年後の世界をユウナを主人公に描く。ネット上での評価が散々なことを受けて未プレイ。これを読んでも、なんだかなぁという印象だ。
★歴代『FF』あんな場面こんな場面(4P)
かつての仲間との戦い、仲間たちとの死別を乗り越えて、愛する人のために、主人公が演技に挑戦、かぎられた時間のなかでの5つのトピックに分けて紹介している。
◇ファイナルファンタジーXI(58P)
キーワードは「それぞれの絆」。サンドリア、バストゥーク、ウィンダスの三国ミッション、三国共通ミッション、ジラート、プロマシア、アトルガン、アルタナミッションを取り上げている。三国ミッションは各国6ページとかなりきちんと書かれている。三国共通ミッションは2ページ。一方、ジラート、プロマシア、アトルガン、アルタナ(過去三国連続クエスト含む)はそれぞれ見開きの2ページで、ストーリーのあらましを説明しているだけだ。ページ数の関係で仕方ないのかもしれないが非常に残念な思いだ。キャラクター編でも、FFXIオンリーのキャラクターブックが欲しいと思ったが、シナリオ編でもやはりFFXIのシナリオブックが欲しいと思った。FFXIの攻略本ではミッションなどでのシナリオのネタバレ禁止らしいので特にそういう思いが残る。
★歴代『FF』あんな場所こんな場所(2P)
変わったメッセージが見られる場所、謎のオブジェがある場所、図書館や資料室がある場所のトピックに分けて紹介してある。番外編として、歴代『FF』エッチなものがある場所も。
◇ファイナルファンタジーXII(48P)
キーワードは「自由を求める旅」。しかし、ヴァン、アーシェ、バルフレアら物語の軸となるキャラクターとこのキーワードが噛み合わなかった印象が残ってしまう。XIIのシナリオは嫌いじゃないが、もっと面白くできたのにと思ってしまうのは否めない。
★野島一成インタビュー(4P)
VII、VIII、X、X-2のシナリオを担当した野島一成氏のインタビュー。未プレイのX-2を除く3作品をそんなに評価していないので、特に関心ある内容ではなかった。
最終巻にあたるFile 3: Battle/Extra編は6月発売予定。バトルシステムの変遷、魔法の歴史、モンスターFILEなどが取り上げられるようだ。
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