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アニメ感想:『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』

2012年07月02日 20時01分11秒 | アニメ・コミック・ゲーム
『咲-Saki-』は麻雀をベースとして、「スポ根」+「異能バトル」を取り入れたコミックだ(もちろん、キャラ萌えもだけど)。
その本編が出場するインターハイを別角度から描いた作品が本作となる。

原作もアニメもほぼ同じだが、その大きな特徴は「省略」にある。
物語の動機付けとなる過去の部分はそれなりに描いてはいるが、メンバー集めや強化、そして地区大会さえ駆け足で通り過ぎた。キャラクターを描くための枝葉をばっさりと切り捨て、「異能」の面を以てキャラクターの特徴とする感じだ。

しかし、本編の進行に従い、本来の主人公である阿知賀の面々よりも脇役である千里山女子の方が主人公的になっていくという本末転倒が起きた。
特に、準決勝先鋒戦は、一貫して千里山女子の園城寺怜メインで描かれ、阿知賀女子の松実玄は取ってつけたような役割となってしまっている。

主人公たちの勝利への動機付けよりも、千里山女子の戦い振りの方に見る側の共感が集まることは、ストーリー展開における重荷と化す可能性を秘めており、最終回に結末を描かずに終えるという荒業で凌いだ感じだが、今後をどう描くかは相当難しいと思う。

ストーリー的に順当であれば、白糸台と阿知賀女子が準決勝を突破して決勝で清澄と当たるのだろうが、ここまで描いた千里山女子を負けさせられるのかと。「省略」したことのツケがここに出た。

ただ逆に言えば、予想外の展開とも言えるわけで、ある種のライブ感覚で楽しめる作品にもなった。このまま予定調和で良しとするのか、それとも波乱が起こるのか。いつかどこかでこの展開の先が描かれるのを楽しみに待つとしよう。