奇想庵@goo

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そろそろトリノオリンピックの昔話をはじめようか(違

2006年03月01日 22時33分35秒 | トリノ五輪
タイトルはネタです。

トリノ五輪も閉幕し、祭りの後の寂しさもあるような、ないような。五輪モードにどっぷり浸っていた2週間あまりだったので、虚脱感も感じますが、気持ちを切り替える前に、トリノの思い出を語ってみようかと。

○アイスホッケー
トリノのベストゲーム。それは女子準決勝のアメリカ対スウェーデンの一戦。試合内容もさることながら、歴史的な意味合いを持つ結果となった。女子の試合が国際的に行われるようになって以来、アメリカとカナダの2強の壁は揺るぎないものだった。その一角が今回崩れたことで、今後は群雄割拠の時代が来ることを期待したい。そんな思いを抱かせる試合だった。

○フィギュアスケート
最も印象深かったのはペア・フリー。個性的なペアが質の高い演技を見せたことが素晴らしかったが、やはり張丹・張昊ペアの負傷をおしての演技はトリノの語り草となるだろう。スローに失敗して張丹が立てなかった時は棄権すると信じて疑わなかったが、そこからよくあれだけ滑り切ったと思う。

○アルペンスキー
ヤニカ・コステリッチやアニヤ・パーションも印象的だったが、それ以上に男子複合が面白かった。ボーデ・ミラー、ベンヤミン・ライヒ、そして、テッド・リゲティ。特にリゲティの恐ろしいまでの攻めるスキーは非常にインパクトがあった。

○カーリング
TV中継されたほとんどの試合が女子だったわけだが、男子の試合は迫力が違った。特にカナダ対フィンランドの決勝戦、カナダのサード、マーク・ニコルズの冴え渡ったショットはこの競技の醍醐味を味合わせてくれるものだった。

○クロスカントリー
マススタート(一斉スタート)の種目は見応えがあって非常に面白かった。男子30kmパシュートなどのゴール直前のスパート合戦は迫力満載だった。しかし、この競技でいちばんの見せ場だったのはリレー第1走福田修子の激走だろう。リレーの第1走とはいえトップで2走に引き継ぐとは想像を越えた快挙だと思う。

○スピードスケート
男子1500mエンリコ・ファブリスの優勝は、単に地元選手の活躍というだけでなく、レース展開の凄まじさにおいて記憶に残るものとなった。今大会短距離を除く種目で日本勢はレースになってないと酷評されたが、それはほとんどの選手が前半から飛ばして後半著しくタイムを落とすというレース展開を行ったことを指している。確かにそれは一見全力を出し切った滑りのようにも見えるが、実際には無謀な特攻、玉砕に他ならない。まさにそれと対照となったのがファブリスの滑りであり、地元の期待を背負いながら、決して冷静さを失わず、自分の力を出し切るために前半を抑えて後半にタイムを上げてくるという緻密な計算が金メダルに導いた。見事なレースだった。

○スキージャンプ
今大会は19歳のトーマス・モルゲンシュテルンのための大会だったと言い切っても間違いないだろう。ノーマルヒルでは2回目に失敗したが、それを教訓としてラージヒルに優勝。そして最も重圧のかかる団体で、まったく重圧を感じさせないもの凄いジャンプ。怖さを知らないからできる気もするが、それにしてもとんでもない19歳だ。

○スケルトン
男子の試合はNHKのラジオの生放送を聞いていたが、さすがにラジオでは伝わってこない。日本では冬季競技自体ほとんどがマイナーで、その中でもスケルトンは特にマイナーな中で、越和宏の存在は貴重なのだが、できることならTVで生中継して欲しかった。

○ショートトラック
韓国勢の強さばかりが目に付いたのは事実。スタートが弱点なので500mこそ勝てなかったが、他はきっちりと金メダルを集めた。対抗する中国、アメリカは世代交代が遅れ気味。大楊揚やアポロ・アントン・オーノら見知った顔を見ると嬉しいが、次代のエースが出てこないと厳しそうだ。むしろカナダ勢が力を付け、バンクーバーでは韓国といい勝負をしそうな勢いを感じた。

◎ブログ
競技そのものの楽しみとは別に、ブログに速報を載せるというテーマで多数の記事を書き、トラックバックやコメントを頂くことができて励みにもなり、何よりそれが楽しかった。他の方の記事を数多く拝見し、非常に興味深い記事をいくつも読ませてもらった。ただコメントを書き込んだりする余裕がなかったのが残念だった。

最後に。
2月27日付読売新聞朝刊より、アルベルト・トンバのコラム「冬の詩」から引用。

「競争相手には、常に尊敬の念を忘れないこと。相手も、勝ちたい気持ちは、君と同じなんだよ」

最近、国際舞台での試合で対戦相手に敬意を払ったり、日本を破った相手を讃えたりする場面を見ることが少ない気がする。昔あのドーハで日本が韓国を破ったとき、韓国代表の盧延潤選手が日本の報道陣に対して日本の勝利を讃える言葉を贈ってくれたことを印象深く覚えている。今大会でも、ショートトラックの男子リレーが終わった後、アメリカのオーノは勝利した韓国チームの一人一人に握手しに回った。前回大会での因縁を乗り越え、スポーツマンらしいその姿に感動した。
勝ち負けは大切だ。勝利のために日々努力してきた成果を発揮する選手たち、それを応援する人々がいる。ただ試合が終われば、勝者に拍手を贈り、敗者の健闘を称える。こうした当たり前のことが当たり前に行われて欲しいのだけど。