奇想庵@goo

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NHK及びテレビの話

2005年01月26日 01時05分08秒 | ニュース
NHK海老沢会長が辞任を発表した。

NHK海老沢会長 辞任

遅すぎた、というのが一般的な意見だし、私も同感だ。ただムードに踊らされている気配がないわけでもない。最近は、海老沢会長を極悪人のように揶揄する表現も目立つが、今回の辞任は一連の職員の不祥事の責任問題に端を発している。元プロデューサーによる制作費の横領など金にまつわるモラルの低下が続けざまに表面化し、国民からの受信料で成り立つNHKへの信頼低下を招き、その責任を海老沢会長が取らなかったことが更に事態を深刻化した。
更に国会参考人招致の際に生放送をせず、それを編集権の問題としたことで世論の反感を買った。12月に放送された検証番組でも、結果的には火に油を注ぐような内容となってしまった。

金に関する不祥事はNHKに限ったことではない。民放でも時々表沙汰になることもあるし、世間一般でそう珍しいことではない。ただ受信料の存在がより問題視されることとなった。例えば民放でもその金はスポンサー料として企業から出ているし、企業は広告料として製品の価格に転嫁している。よって、辿っていけば人々の懐から出たお金になるのだが、こっそり取られたお金より目に見えて支払わされているお金の使われ方のほうが、よりシビアに見てしまうものだ。
昨年、不祥事が続いたことでNHKへの信頼が低下した時に、社内の改革と責任の明示をアピールしていればこのような流れには至らなかっただろう。本来、長のつく役職の者は、責任を取るために存在しているのだが、実際には、その席にしがみついて見苦しく足掻いてしまう。高い地位にいればいるほど、世間との距離が開いて、人々の声が届かなくなってしまうのも一因だろう。参考人招致における姑息な手法は、自身のおかれた状況が読めていないせいとも言える。

ただ問題の軽重を考えると、明らかに民放各局がNHKを叩いて世間を煽ったのは間違いない。海老沢会長が責任を取るべきなのは確かだが、金の問題などがNHKよりクリーンと胸を張っていえるのか?海老沢会長の件はあくまでも道義的な問題だ。もっと重要な問題は他にいくらでもありそうな気がするが、連日大きく取り上げた。
NHKが信用できないからといって、民放が信用できるというわけではない。放送界全体がもっと真摯に改革に取り組む必要があると思うが、なかなか厳しいと感じざるを得ない。


ここからは少し違う話。
個人的に、地上波に関して、NHKと民放、どちらかしか見れないとしたら、NHKを見る。もちろんどちらにもいい番組はあるし、つまらない番組も多い。ただ平均すると民放全体よりNHKの方がすぐれた番組が多い。また私の好きなスポーツ中継においては、民放はひどい内容が多すぎて評価の対象にすらならない。正直、民放が全部つぶれても困らない。しかし、NHKがつぶれて民放だけになると少し困る。
よく、ゲームの悪影響だとか、ネットの悪影響だとか、そういった番組をテレビでやっていたりするけれども、この数十年の日本で最も国民に悪い影響を与えているのは間違いなくテレビだ。単に低俗・俗悪が問題なのでなく、視聴率が取れればなんでもOKといった精神や、何をやってもシャレで済ませられるといった感覚を撒き散らしている。他の媒体があくまで能動的なものなのに対し、テレビは電源をつければずっと見てなくても受動的に垂れ流された放送を受け入れてしまう部分がある。特に民放番組がかもし出すムードは、ちゃんと見なくてもテレビをつけているだけで伝わってきてしまう。
犯罪事件報道で時折特定のジャンルの影響を取り上げたりするが、テレビがこれまで与え続けてきた悪影響に対して科学的な視点から検証されたことはほとんどない。あって当たり前となっているテレビという媒体が、どれほどの力を持ち、どれほどの影響を及ぼし、どれほど人の心の奥底まで良くも悪くも届いてしまっているか、それを調査し、悪影響があるならば、現在の番組の何がいけないのかを調べ尽くさねばならないだろう。そして、それはテレビ自身が行うべきことだったはずだ。