たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

終末期現場と異常行動 <大口病院中毒死 「終末期現場つらかった」容疑者が供述>などを読みながら

2018-07-10 | 医療・介護・後見

180710 終末期現場と異常行動 <大口病院中毒死 「終末期現場つらかった」容疑者が供述>などを読みながら

 

いつの間にか7時半を回っています。今日もまたブログを書く元気がない中、ウェブ情報では、西日本豪雨(正式名称はたしか平成307月豪雨でしたか)の死者行方不明者が増えているというか明らかになる一方で、流木による河川流下の阻害で降水量ゼロの中で氾濫被害も発生しています。土砂災害も含めてまだ油断ならない状況ですし、復旧活動もなかなか進んでいないとのことで、災害列島日本は厳しい状況ですね。

 

そんなときは明るい話題でも提供できればいいのですが、なかなかうまくいかないもので、毎日記事の<大口病院中毒死「終末期現場つらかった」容疑者が供述>はできたら、避けたいニュースですが、気になりますので、取り上げました。

 

記事によると<横浜市の旧大口病院で2016年9月、入院患者2人が中毒死した事件で、西川惣蔵さん(当時88歳)を殺害したとして逮捕された元看護師、久保木愛弓容疑者(31)が「人が次々と亡くなる終末期医療の現場と仕事がつらかった」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。神奈川県警は詳しい動機の解明を進めている。>

 

終末期医療を専門とする病院だったのでしょうか、全体像が見えてこないので、なんともいえませんが、この元看護師の供述は、亡くなられたご本人やご遺族の方にとってはあまりにひどい内容ですね。多くの人も看護師がなんてことを言うのだと思うのは当然でしょう。

 

この捜査機関への取材で判明したというのは、たしかにそうでしょうけど、記者発表というより個別の捜査官のリーク情報なんでしょうか。

 

むろん事実に反するリークといったうがった見方をしているわけではありません。おそらくこの元看護師は、そのような供述を実際しているのだと思います。しかし、それが元看護師のさまざまな供述の断片でしょうから、事件の背景や元看護師の当時の心境や心理状態の核心をつくものかはまだこれから捜査が進展しないと解明されないように思うのです。

 

事件は<界面活性剤を含む消毒液ヂアミトールを投与されて中毒死したのは、西川さんと八巻信雄さん(同88歳)。久保木容疑者は西川さんに高濃度のヂアミトールを投与し、殺害したとして逮捕された。久保木容疑者は容疑を認め、八巻さんの殺害についても認めているとされる。>ということで、二人の入院患者に対し、界面活性剤を含む消毒液ヂアミトールを投与し、死亡させたという、殺人容疑ですね。元看護師は殺害事態も認めているということですが、本当に殺人の故意が認められるかはまだはっきりしていないと思います。

 

動機自体が、元看護師の上記発言だけで、殺人の故意を裏付けるとすると希薄ではないでしょうか。むろんヂアミトールが有毒性が強いと行っても、どの程度の量で死亡するか、過去の事例がないようですから、元看護師が投与した量が死亡を結果するほどのものであったかはより科学的な裏付けが必要でしょう。死亡とヂアミトールの有毒性との因果関係の立証が簡単ではないと思われます。

 

ところで、<久保木容疑者は終末期患者向けのフロアだった4階で看護を担当しており、西川さんと八巻さんも4階の病室に入院していた。4階では16年7~9月に患者48人が亡くなっている。>ということで、この2人だけでない可能性も疑われていますが、医師の診断書で病死とされた方々で、司法解剖を経ていないので、体内に実際どの程度のヂアミトールが投与されたかも不明ですので、捜査がそこまでおよぶというのは現実的ではないように思われます。

 

で、ついつい報道で注目されている情報をただ書き連ねてしまいましたが、私がこの問題を取り上げたのは、元看護師が殺人罪に問われるかどうかということではありません。

 

元看護師が<「終末期医療の現場がつらかった」>と述べ、<「患者さんの要望に応えることが多く、仕事が嫌だった」>とか、<「自分の勤務中に患者が亡くなって家族に説明するのが面倒で苦手だった。勤務の前に消毒液を投与した」>という点に注目しているのです。

 

私自身、終末期医療の現場はわかっていません。ただ、ある老健施設の現場で起こった事件記録を読んでいて、かなり深刻な現場状況を感じました。終末期の高齢者の方が多い施設です。認知症の症状が重度の方も相当入所されているところで、それは日夜大変な状況が感じられます。私が担当している高齢者の老健や特養の施設でも似たような方が大勢いますが、私が訪れる昼間などはみなさんおとなしく、どちらかというとサイレンスの状態でしょうか。

 

ただ、それは場合によっては処方による効果かもしれません。夜間に突然、起き出したり、騒ぐ人、いろいろな行動をとる方もいらっしゃるでしょう。

 

以前は、問題行動があれば拘禁することも少なくなかったと思いますが、そのようなことが許されるはずがありませんね。他方で、患者への医療行為も、入所者への介護行為も、もしかしたらその意思をしっかり受け止めていないかもしれません。機械的に行っていることによって、余計に人間としての尊厳を奪われたということで、反発する人、あるいは抑制されてますます意識を低下する人、いるのではないかと思うのです。

 

だから終末期の医療に携わるのはいやとか、患者の要望に応えるのが耐えられないとか、死亡したとき遺族の方に説明するのが苦手とかといった、考えがうまれていいはずがありません。でもそういう意識を育てる環境が今の医療・介護の世界にないといえるか、私は注視する必要を感じています。

 

この元看護師の例はたしかに異常ですが、現在の環境条件のままでは、今後第二の例が発生しないとも限らないことを懸念します。

 

最近、医師の勤務環境の過剰さが改めて明らかにされていますが、他方で、終末期の医療・介護の現場を丁寧に見ていく必要も感じています。

 

今日はこれにておしまい。また明日。


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