白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

「沖縄の現場から」

2013-01-10 18:32:29 | EU
 以下に毎日編集委員大治朋子氏(毎日新聞編集委員)の講演内容を転載します。

 沖縄の二つの新聞の社説をブログで載せていますが、なぜ全国市には沖縄県版がないのか、それがどのような影響をもたらすのか、といったこともわかります。


「講演者: 大治朋子氏(毎日新聞編集委員)

講師プロフィール:
1989年毎日新聞社入社。東京本社社会部記者時代の02年5月、防衛庁(当時)による情報公開請求者に対する身元調査に関する報道、03年4月の防衛庁(同)による自衛官勧誘に伴う住民票等個人情報不正使用問題で02、03両年の日本新聞協会賞を連続受賞。ワシントン特派員時代に長期連載した米国の対テロ戦争を描いた「テロとの戦いと米国」と、ネット時代の米メディアの盛衰を描いた長期連載「ネット時代のメディアウォーズ」で2010年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。現在、東京本社編集委員。著書に『勝てないアメリカ―「対テロ戦争」の日常』(岩波新書)など。

 「現場に足を運んでみなければ本当のことはわからない」。大治朋子氏は、2012年1月から半年間の沖縄での取材で、そのことを改めて痛感したと語ります。本土ではほとんど報じられることのない米兵の日常的な犯罪、そして守られることのない基地運用に関する「日米合意」。なぜそんな事態になるのか、全国紙は何を伝えるべきで、何を伝えていないのか。

 伊藤塾主催の沖縄スタディツアー(2012年12月実施)の事前講座も兼ねる本講座では、大治さんの沖縄での取材をベースに、変化する日米同盟の動きの中で、沖縄がどのように位置づけられているのか、そして住民たちが何を考え訴えているのかについて報告いただきました。


■日常的な問題にアプローチする

 私は、毎日新聞と琉球新報による記者交流に参加して、沖縄に半年間行ってきました。毎日新聞と琉球新報の双方の編集委員として、どちらの新聞にも記事を書くという機会を活かし、沖縄にいることでしか伝えられないことを、多角的に伝えようと努力しました。

 「多角的」とはどういうことでしょうか? 沖縄で起きている事の多くは、沖縄の人自身にとっては、あまりに日常的なので、訴えなくなってしまった現実があります。でも本土の人間がそこに身を置くと、「ありえない」と驚くことがあるのです。福島の原発をめぐる問題でも同様な例がありますが、よそから来た人間がモノサシを変えて、そこで起きている異常性を本土の人の視点から発信していくことにしたのです。

 私が沖縄を軸に考えたときに、重要だと思う点がいくつかありました。例えば「抑止力を保つために沖縄の基地が必要」という見解を分析してみると、いろいろな矛盾が見えてきます。また、日米地位協定の現状と課題について検討することも重要です。でもそういったことは、沖縄に行かなくても、東京にいてもできることでした。私は、もっと日常的に頻繁に起きている、基地の騒音問題や米兵による犯罪など、沖縄の人々が実際に被害を受けているけれど、本土では意外と知られていない問題を報じようとしました。


◆1ヶ月間かけた騒音の調査

 沖縄取材で私が大切にしたのは、局所的な被害を見つめる「とどまる視点」から沖縄の日常を見ることで、全体の状況を伝えることです。その一つとして取り組んだのが騒音問題でした。私は1ヶ月間小学校に通い、子どもたちと一緒に授業を受けながら、騒音問題の調査を行いました。私が通ったのは、普天間基地のすぐ隣にある普天間第二小学校で、ここには頻繁に米軍機が飛来しています。

 授業中に飛行機が飛ぶと、防音窓を閉めた状態でも67デシベルの騒音が聞こえます。67デシベルというのは、地下鉄に乗っているような音です。隣の人の声も、耳をそば立てないと聞こえません。しかし、沖縄は冬でも気温が25度以上になることがあるので、普段は窓を開けています。すると100デシベルを越えてしまいます。100デシベルというのは、耳元で車のクラクションを鳴らすのと同じレベルの音です。つまり飛行機が飛んでくると、授業を中断しないといけなくなります。また、飛行していなくても基地内ではヘリコプターがホバリング(空中停止)していて、その騒音を子どもたちは常に聞かされているような状態です。
 日常的にこのような騒音にさらされている子どもたち自身は、音には「慣れた」と言っています。それはどういうことでしょうか? 医学的には、ストレスがあまり長い間続くと、体がスイッチをオフにして、感受性を麻痺させることわかっています。でも、それは感覚が鈍化しているだけで、本人の自覚がなくても、体にストレスは及んでいます。そのストレスが健康への悪影響や学習能力の低下につながるとされているのです。

 そうした1ケ月にわたる調査をまとめた特集記事にして、『授業かき乱す「戦場の音」』というタイトルで、同じ日の琉球新報と毎日新聞に掲載しました。なぜ私がこんなことをしたかと言うと、普天間第二小学校は、沖縄を訪れた政治家が必ず行く有名な小学校なのです。でも実際の騒音が何デシベルかという調査は誰もしていませんでした。

 それは、本土はもちろんですが、沖縄の行政担当者や新聞記者もきちんと見てこなかったということです。私が「うるさいですね」と言っても、沖縄では当たり前になっていて「昔からだから」と流されてしまうのです。でも子どもたちが教育を受ける権利というのは基本的な人権なのだから、それを大人が守る努力をしなくてはいけません。沖縄では、この記事が出てから防音窓がちゃんと機能しているかどうかを確認することになりました。この取材を通して、騒音のような問題を、ちゃんと数値化して誰にでも示せるように客観的に見ていくという事は大事なことだと改めて思いました。


◆沖縄報道について考える

 政治家が沖縄を訪れたというニュースは、本土の新聞でも報道されます。しかし、沖縄では米兵が起こした事件は毎月1、2回は起きています。でも、そのような事件はこれまで本土のメディアでは、ほとんど報道されてきませんでした。
 例えば、先ほど紹介した普天間第二小学校に、民主党の岡田克也さんが訪問してきました。岡田さんには東京から大勢の記者がくっついて来るんです。岡田さんは屋上に立って、校長の説明を受けながら、向こう側に見える普天間基地を5分くらい眺めて帰ります。ところが、政治家が来るのはたいてい土曜日で、その日は米軍はお休みです。その5分間に飛行機が飛ぶ確率は非常に低いので、騒音を体験することはまずありません。もちろん東京から来た記者たちも騒音のことはわからないまま帰ります。そのため、岡田さんが訪問したというニュースそのものは本土で流れるのですが、騒音による子どもたちの被害や、米兵が起こす小さな事件の話は出てきません。

 なぜこういうことが起きるのでしょうか? 全国メディアのほとんどは、沖縄県版を持っていません。なぜないかと言えば、沖縄では9割以上が琉球新報や沖縄タイムズなどの地元紙をとっているからです。それで各社は沖縄県版を作りません。新聞では沖縄のニュースを担当するのは、福岡にある西部本社になります。それで沖縄で米兵による小さな事件があっても、九州全体のニュースと紙面をどちらがとるかという競争になってしまうわけです。記事に載せるか、ボツにするかという状況で、沖縄の人口を考えると結局掲載されないというようなことになってしまっています。そうした背景があって、これまで沖縄の事件は沖縄にとどまってきました。そして、本土の人たちは「沖縄のことはよくわかりません」ということになってしまったのです。
 ところが最近、NHKが「漫画喫茶で米兵が裸になっていた」という事件のニュースを流しました。沖縄ではこれまでもよく起きてきたたぐいの事件ですが、NHKなど本土メディアではほとんど報道されることはありませんでした。それは、オスプレイが飛び始めたことと関係しています。オスプレイは、沖縄だけではなく全国を飛びます。だから米軍の事件は全国で流すニュース価値がアップしたということになってきたわけです。

 ちなみにオスプレイに関して言えば、それが本当に安全なのかどうかという議論が行われていますが、本土の人間も理解しないといけないのは「安全だからいいでしょう」ということではないということです。上空を飛ぶことそのものが問題であることを多くの沖縄の人が語っています。「飛んでいるな、落ちるんじゃないかな」と思って日常を過ごすこと自体が大きな精神的負担になっていることを知ることが重要です。これまでも、日米合意では病院や学校の上はできるだけ飛ばないということが決められているのですが、お話ししたように、実際にはほぼ真上を低空で毎日飛んでいるような状況です。

 難しいと思うのは、実は沖縄でも那覇に住んでいる人は基地が遠いため、基地による被害を実感していない人が意外と多いのです。沖縄出身の記者であっても、基地に行ったのは新聞社に勤めてから、という人にも結構会いました。問題は局所的で、排他的な形で起きているわけです。それが全体に伝えられない構造になってしまっています。そうした現状を踏まえて、今まで報道されなかったことをもっと「とどまる視点」から見ていかないといけないと思います。


◆日米同盟の行方

 日本は極東の米軍最大の拠点になっています。米軍にとってはそこがきっちり保てるかどうかが、中国などに対する抑止力に関わってくるという論理でやっています。中国は現在、海軍力を高めていて、米軍の空母を陸上から攻撃できる能力も備えつつあります。そのような状況で、中国にも朝鮮半島にも近い位置にある沖縄の基地がなくなったり、縮小することは、アメリカとしては避けたいと考えています。

 日本側にも米軍にいてほしいという思惑があって、思いやり予算を出し続けています。米軍は財政が厳しいですから、日本政府がお金を出して、どうぞいてくださいと言っているわけですから、できるだけそれを維持しようという動きになるのは当然です。しかし、沖縄が何十年間も、我々が知らないような負担をし続けていることを本土の人が考えないといけません。

 そのような状況の沖縄で、最近よく語られているのが琉球独立論です。こういった独立や自治権の拡大といった話はこれまでも話されてきたのですが、ついこの間までは、本気で語られていたというより居酒屋での議論のようなものでした。しかし、最近まじめに語られるようになったと言う人が増えています。そうした意味でも、私は沖縄の状況が、過渡期に来ていると考えています。

 私はアメリカにもいましたし、アフガニスタンの米軍にも取材しているので、アメリカのオペレーションの仕方をある程度は理解をしています。米軍は日本の官僚よりも柔軟なところがあります。また米軍は沖縄の世論を非常に気にしていて、今の状況に危機感を持っています。そのため、日本政府の側からもう少し沖縄の負担を変えていくという方向で働きかけていけば、変わる可能性はあるのです。ところが、動かないのが日本政府です。米軍が基地を他の場所に移しても良いと言っているような場合でも、日本政府が拒否しているような現実もあります。私が沖縄で感じたことは、この状況が続けば、日米安保が根底から崩れていくことになるのではないかということでした。日米安保が大事であれば、政府はもっと沖縄の被害をなくすために行動するべきだと思っています。

(構成・写真/高橋真樹)」

http://www.magazine9.jp/ashita/130109/

このような意見も-日中お互いに普段から相手に関心を

2013-01-10 18:13:00 | アジア
「【世界の街から】

北京 無関心なくせば光が

2013年1月9日

 「みんな優しくしてくれて。長野で素晴らしい経験をしました…」。最後は涙で言葉にならなかった。仕事や食べ物、人との触れ合いを語るうちに、当時の場面を思い出したのだろう。

 長野県庁で就業体験をした北京聯合大の女子学生が、昨年末、同大を訪れた県知事にあいさつした時のひとこまだ。思わず目頭を熱くした学長は「学生がこんなに感動する交流を、途絶えさせてはいけない」と語った。

 政治的思惑が詰まった尖閣諸島問題で日中がいがみあい、民間交流まで停滞している。国交正常化四十周年の昨年行う予定だった約六百の活動も、年後半は尖閣国有化に反発する中国側によって次々と取り消された。

 これほど濃密に民間が交流する二国は世界的にもまれという。戦争をした隣国民の気持ちを改善するための知恵だ。何があっても若者の交流は続けるべきだという声は根強い。

 やはり年末に北京であった中国人学生の日本語作文コンクールで、ある男子学生はこう書いた。「何か事件があると反感と憎悪感を燃え上がらせるのに、普段の日本、中国、良いニュースに無関心な両国民。もっと善意と笑顔が広がるよう、自分たちの中の無関心ウイルスをなくそう」

 いやなニュースばかりで、気がめいっていた私に希望をくれた言葉だった。 (渡部圭)」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/worldtown/CK2013010902000248.html

安倍政権に関するもう一つの見方/WSJより

2013-01-10 18:09:22 |  北米
「新
【オピニオン】アジアの行く末を左右する強大な国

By RICHARD FONTAINE, DAN TWINING

 復活したアジアの国がタカ派のナショナリストを権力の頂点に据えた。近隣諸国との領有権争いは世界的に重要な貿易航路に近い海域での軍事衝突のリスクを高めている。同国が偉大だったころの記憶は、地域の覇権争いに加わるんだという政府高官たち決意の源になっている。同国の再浮上により、アジアの地政学的地図は塗り替えられることになるかもしれない。

 いや、中国のことではない。世界を驚かし、この地域を大きく変えようとしているのは日本である。多くの人がその影響力を見限る原因にもなった経済的衰退からの逆転を果たせればの話だが。

 昨年12月26日に総理大臣に就任した安倍晋三氏が、これまでの首相とは比較できないほどの難題に直面していることは事実である。日本の人口は世界最速で高齢化しており、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の影響は今も色濃く残っている。政治は行き詰ってばかりで、自信にあふれた中国からの増大しつつある挑戦にもさらされている。

 米国人の中には中国をアジアの未来、日本はアジアの過去と見なし、変貌を遂げた世界では日本との同盟は時代錯誤、あるいは厄介なものとさえ考える向きもある。しかし、日本を単なる友好国と軽視するのは誤りである。米国にとって日本は今もアジアにおける最も強固な同盟国であり、世界の勢力バランスにおいても重要な役割を果たすだけの世界屈指の能力を備えている。

 日本政府は、アジア地域の勢力図を塗り替え得る新たな戦略的関係を築こうと特異な発想で取り組んできた。国家意識をめぐる議論の高まりにより、アジアにおいて平和主義的だった同国の態度はより断固としたものへと変化していくだろう。

 驚くかもしれないが、日本の回復力の根底にあるのは経済だ。日本は最初のアジアの虎であり、その数十年にわたる成長は今日の中国のペースに匹敵した。国内総生産(GDP)で中国が日本を追い越せたのは、13億の国民の生産力を活用したからだが、人口がその10分の1以下の日本が同水準の生産力を示したことも忘れてはならない。多くの経済的問題を抱えているのは確かだが、日本は将来の成長の原動力となり得る卓越した技術を保持し続けてもいるのだ。

 日本政府はそうした経済力を外交活動に反映させてきた。世界有数の対外援助国である日本は、イラクの復興支援のために約4350億円を、アフガニスタンにも米国に次ぐ支援額となる約6100億円の拠出を約束している。数十年に及ぶ軍事政権下で放置され、ずたずたになっていたミャンマーのインフラや人材の再建においても主導的役割を果たしている。また東アジアの安全保障の要である5万人近い駐留米軍には基地と巨額の受入国支援を提供している。

 日本は自国の軍事力も増強してきた。あまり知られていないが、同国には幅広い作戦任務で米国軍と緊密に連携できるほど高度な技術を持った軍隊がある。日本の軍事支出は世界第6位で、その海軍の能力は米国の同盟国の中で最も高く、高度なミサイル防衛技術も持っている。また軍事能力の質も高く、いくつかの分野では中国軍をしのいでいる。

 積年の自制的態度を改めた日本は、その軍事力の行使をますます拡大している。この10年間に日本は、アフガン戦争支援を目的としたインド洋における艦船への給油活動、イラクへの自衛隊派遣、津波の被害を受けたインドネシアの復旧活動への参加、ネパールへの停戦監視要員の派遣、インド・オーストラリア・韓国・米国の海軍との合同演習、国連ハイチ安定化ミッションへの参加、ソマリア沖海賊対処のための艦船派遣などを実施してきた。

 日本は国内の軍需産業への足かせとなっていた武器輸出に関する規制も緩和し、東南アジアの軍事能力強化を拡大させた。日本政府はオーストラリアやインドと軍事協定を結び、米国政府・インド政府とは三カ国間戦略的パートナーシップを形成した。

 こうした動きは、日本の政治の水面下で巻き起こっている将来の安全保障の原則に関する国内の激しい論争を反映している。そのきっかけとなったのは中国の急激な台頭と、近隣諸国への強硬な戦術である。安倍氏の総理就任と日本維新の会のような国家主義的な新組織の勢いは、中国の挑戦に直面している米国のリーダーシップにも広範に影響を与えかねない日本の政治情勢の右傾化を反映したものである。

 アジアへの戦略的リバランスに着手した米国政府にはできるだけ多くの友好国が必要となるが、日本ほど信頼できる同盟国など他にない。米国の成功は、経済を軌道に乗せ、戦略的な外交政策を練り上げ、政治の行き詰まりに収拾をつけるという日本の新政権の決意に密接に関係してくるだろう。1945年以前のアジアでは問題視されていた日本の強大な国力だが、21世紀ではそれが解決策の一部にもなり得るのである。

[リチャード・フォンテーン氏は米シンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)の所長。ダニエル・トワイニング氏は米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドのアジア担当上席研究員]」

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324828304578218642884252794.html?mod=WSJJP_opinion_LeadStory

胡春華の介入/南方週末事件の処理をめぐって

2013-01-10 17:13:13 | アジア
 習近平の10年後を担うとも言われる胡春華が、自身着任したばかりの広東省で生じた南方週末事件に決着をつけた様子。

 少しづつ少しづつ、メディアとの関係を調整しているのかもしれない。

 前任は同じく政治局員の汪洋。

 5年後には王などが常務委員することは確実とみられている。

 世代交代が国家体制の民主化・近代化につながるだろうか・・・。

「【上海・隅俊之】中国広東省の週刊紙、南方週末の新年号の記事が、メディアを管轄する同省共産党委員会宣伝部の※震(たく・しん)部長の指示で改ざんされたとされる問題で、広東省トップの胡春華(こ・しゅんか)党委書記が、抗議していた記者の処分はしないなどの調停案を示し、事態収拾に乗り出したことが分かった。南方週末の関係者が毎日新聞の取材に明らかにした。ロイター通信によると、胡氏は引責辞任を求められていた※氏の将来的な更迭も示唆したという。

【縦読みも活躍】中国:他メディアが見出しで支援…週刊紙記事改ざん問題

 この問題では、中国版ツイッター「微博」で記者らの反発が拡大。中国や香港の作家や学識者らも声明を出すなど同紙支持が広まっていた。

 メディアの扱いは共産党中央の意向が強く働くため、昨年11月に発足した習近平(しゅう・きんぺい)指導部には、一定の歩み寄りを見せ事態の幕引きを図りたい狙いがあるとみられる。

 南方週末の関係者によると、一部の記者たちは7日から抗議のストライキを実施し、党宣伝部と編集部の話し合いが続いていた。宣伝部は検閲の緩和を示唆したという。今後は通常の発行体制になる。胡春華氏は記者の大半は処分しない方針だが、ロイター通信などによると、編集部トップの黄燦(こう・さん)氏が責任をとって辞職するという。

 昨年12月に着任した胡春華氏は習近平総書記ら第5世代に続く第6世代のホープ。改革にも意欲的とされる。

 ただ、今回の措置は中国の報道を巡る環境全般が改善されることを意味しない。

 中国紙記者によると、共産党中央宣伝部は7日、「管理は揺らがない」と国内メディアに通知。体制に刃向かえば「必ず敗者となる」と警告した共産党機関紙・人民日報系の国際情報紙、環球時報の社説を転載するよう一部の新聞に要求した。

 8日付の北京紙・新京報は掲載しなかったが、同紙記者とみられるツイッターの書き込みによると、北京市共産党委員会宣伝部は編集部の解散を示唆しながら掲載を要求。新京報は9日付の朝刊で短く転載したが、同紙の社長が抗議して辞意を表明したという。

 ネット上には、編集部で悔しさから泣き崩れる記者たちの写真が流れており、この問題で中国人記者の反発が各地に飛び火すれば、指導部は新たな対応を迫られる可能性もある。

※は「席」の巾が尺」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130110-00000009-mai-cn

世界に影響を与えてきたA.グラムシの思想/ルモンド・ディプロマティークより

2013-01-10 16:59:50 | EU
 「世界に浸透するアントニオ・グラムシの思想
            byラズミグ・クシェヤン( パリ第4大学ソルボンヌ校、社会学准教授

   『アントニオ・グラムシ著作選』『機動戦と陣地戦』 La Fabrique、2012年、パリ、の編者)

 訳:木下治人

支配的イデオロギーから労働者階級を守り、権力を手にする…。彼の分析は引用されることは多いのだが、しかし、きちんと読まれることはまれで、場合によっては誤読されることも多い。1930年代初頭、ファシスト政権下で監獄に幽閉されたときに発展したグラムシの思想は、目覚しい復活を遂げている。彼の著述はヨーロッパを発祥の地としてラテンアメリカ経由でインドにまで広まり、豊かな批判的思想を作り上げている。[フランス語版編集部]
 
********
                    
なぜなのか?1917年、ロシアでは労働者の革命が実現したのに、他の国々へ波及することはなかった。じつに不思議なのは、20世紀初頭、ヨーロッパ各国の革命運動がすべて敗北したことだ。当時革命情勢にあったドイツやハンガリーでも革命は成功しなかったし、イタリアでも例外ではなかった。1919年から20年にかけ、イタリア北部では「トリーノ工場評議会」の労働者が数か月にわたって工場を占拠したが、革命に結びつかなかった。なぜなのか?

アントニオ・グラムシの有名な『獄中ノート』(1) は、このような問題意識がもとになっている。若きグラムシの革命家としてのデビューは、トリーノでの工場自主管理闘争だった。20世紀を代表する政治学の『ノート』は、革命運動の後退期を経た数年後に書かれたもので、ヨーロッパ革命の失敗や1920~30年代の労働運動の挫折を教訓に、根本的な原因を究明しようとするものであった。そして、「来るべきもうひとつの世界」を信じ、そこに行き着く道を模索することをあきらめないすべての人々に、没後75年たった今日でも訴え続けている。

『ノート』は、不思議なことに、「来るべきもうひとつの世界」を望まない人々にも影響を与えている。「たしかに、グラムシの分析は正しいと思います。『権力は思想によって勝ち取られる』のですから。それにしても、わたしのような右派といわれている者が、グラムシの闘いを評価するのは、はじめてのことですよ。」サルコジ氏は、2007年の大統領選第一回投票日の数日前に、このように発言していた (2) 。

 極右(サルコジ氏の側近の何人かはそうだと言われている ― 特にパトリック・ビュイッソン氏 ―)が『ノート』の作者を引き合いにだすやり口は、実に古い手だ。このように、グラムシは《新右翼》グループにとって重要な理論的拠り所となっていて、彼らの中心的理論家であるアラン・ド・ブヌワ氏は、自分たちの文化革命戦略を《グラムシ右派》と位置づけている (3) 。こうした右翼的逸脱もあることはあるが、それでもなおグラムシは20世紀を通じて、世界中の革命勢力による刺激に満ちた再評価を受けていることには変わりない。

 グラムシは、革命がロシアで成功し西欧で失敗した理由について、国家や「市民社会」のあり方が違うからだと主張している。帝政ロシアでは、権力の大部分は国家のもとに集中し、一方、政党・組合・会社・ジャーナリズム・協同組合などで構成される「市民社会」は、ほとんど発達していなかった。この状況下で権力を取るには、ボリシェヴィキがしたように、何よりもまず、軍隊、行政機関、警察、裁判所などの国家機関を奪わなければならなかった。「市民社会」は萌芽状態だったために、国家権力を握っている者は誰でも市民社会を従わせることができた。国家が奪取されると、次には困難な問題が立ちふさがる。内戦の勃発、農業・工業生産の再開、労働者階級と農民階級間の微妙な対立…。

 一方、西欧では「市民社会」が発達し自立している。産業革命によって、「市民社会」は次第に生産の要として自己を形成し、権力のかなりな部分を持つようになる。それゆえ、国家機関を奪取するだけでは不十分で、さらに市民社会を支配する必要がある。重要なことは、国家を征服するのと同じ方法では「市民社会」は征服できないということだ。それは、西欧の社会変革がロシアとは違うことを予想させる。当時、西欧の革命が不可能だったというわけではない。いや大いに可能だった。しかし西欧の革命は、長期間の「陣地戦」として構えなければならないということである。

ペロン主義から《サバルタン研究》へ

 グラムシは、ロシア革命に変わらぬ信頼を置いていると主張している。レーニンを賛美し、『ノート』の中で、しばしば敬意を示している。しかし、実際には、ロシア革命に忠実であるがゆえに、これとは異なったやり方を採用する必要があると考えていた。グラムシが「ヘゲモニー」論を主張する背景には、このような考えがある。彼の主張はこうだ。これからの階級闘争には、文化の領域を含めなければならない。また革命の達成にはサバルタン階級の「同意」という問題も考えなければならない。「力」と「同意」は、現代国家の二つの基礎であり、ヘゲモニーにおける二つの柱である。「同意」が成立しない場合 ― たとえば2011年のアラブ世界の民主化要求運動(アラブの春)に見られるように ― 情況は現政権の転覆へと収斂する。

 『獄中ノート』第一版は、イタリア共産党(PCI)書記長、パルミーロ・トリアッティが責任者となり、1940年代の終わりに出版される。トリアッティは、1960年代初めまで、亡き同志グラムシの著作を世に広めようと努力し続けた。『ノート』は、この時代、革命を目指す世界のすべての人々にとって、合意事項の役割を果たす。それは、10月革命への信頼をもとに、時にはロシアとは非常にかけ離れているように思える政治・社会状況に適合した革命を構想することである。この結果、グラムシ思想が世界に広まり、世界の隅々にグラムシ学の潮流が起きている。こうしたことから、『ノート』は、世界的規模に広まった第一級の批判理論のひとつだと言える。

グラムシの思想は、まったくばらばらの三つの潮流となって広く影響を与えている。20世紀半ばには、アルゼンチンがグラムシ思想の発展地となり、その後ブラジル、メキシコあるいはチリなどの国でも『ノート』の研究が盛んになる。グラムシが、アルゼンチンの人々に、急速にしかも広く受け入れられたのは、イタリアからの移民が多いからである。また、グラムシ思想の中心概念である「ヘゲモニー」、「カエサル主義」、「受動革命」が、ペロン主義というアルゼンチン特有の政治状況を理解するのに役立っているからでもある。

 これらグラムシ思想の概念は、より一般的には、南米に登場した「進歩主義的」あるいは「開発主義的」軍事体制を分析する時に使われる。アルゼンチンのフアン・ドミンゴ・ペロン体制だけでなく、メキシコのラサロ・カルデナスやブラジルのジェトゥリオ・ヴァルガス軍事体制などである。これらの政体は、近代化路線を取り、革命や王政復古をめざす政治体制ではなく、20世紀、第三世界の国々でよく見られる。近代化は進むが、階級間の根本的な批判を受けない。

「受動革命」という概念は、グラムシが『ノート』のなかで、19世紀のイタリア国民国家の成り立ちを検討し、練り上げたものだ。まさに、こうしたタイプのどっちつかずの政治プロセスを言う。これら擬似革命は、「カエサル」的人物、つまり大衆と直接関係を結ぶカリスマ的リーダーによって統治される場合が往々にしてあるが、ラテンアメリカでは、このような例は2世紀にわたって事欠かない。

 ラテンアメリカでは、ホゼ・アリコ、フアン・カルロス・ポルタンティエーロ、カルロス・ネルソン・コーティニョあるいは、エルネスト・ラクラウのような思想家たちが登場し、『ノート』の革新的な解釈を行い、影響はラテンアメリカ以外のところに広がりを見せるまでになっている (4) 。グラムシ自身が政治闘争に参加したように、この思想家たちの後を継いだ多くの人たちが、1960年から70年代にかけてアメリカ大陸で燃え盛る革命闘争できわめて重要な役割をはたした。

圧制に苦しむ人々のための政党

 1960年代初めには、イタリア知識人グラムシの思想がラテンアメリカの対極にあるインドに到達する。グラムシは、ポストコロニアル研究の基軸となる。この研究潮流の創始者、パレスチナ人のエドワード・サイードは、オリエンタリズム批判、すなわち西洋世界で流通する「オリエント」という言葉に表象されるものに対する抗議の姿勢を表明するにあたって、グラムシを援用している(5) 。1970年代のインドでは、サイードだけでなく、エリック・ホブズボウやエドワード・パルマー・トムスンなど英国のマルクス主義歴史家たちの影響を受け、ポストコロニアル研究を専門に取り組む分野が登場する。それは、サバルタン研究(サバルタン・スタディーズ)といわれる分野である。

この学問潮流の主な研究者は、ラナジット・グーハ、パリタ・シャテルジェ (6) 、ディペシュ・チャクラバルティたちである。「サバルタン」という名はグラムシから直接拝借している呼び名で、『ノート』25の表題で実際に使われている言葉である。その正確な表題は、「歴史の周辺に生きる人々」(サバルタン社会集団の歴史)である。「歴史の周辺に生きる人々」とは、「公式の」歴史から除外されているが、しかしいったん活動を開始すれば、社会秩序を一変させることができる社会集団のことである。

 グラムシ思想は、20世紀初頭のイタリアから、1970年代のインドに波及したのだが、その理由は、両国の社会構造が類似しているからだ。特に、両国とも農民階級の人口が多い。グラムシは、投獄直前の1926年、「南部問題に関するいくつかのテーマ」という文章の中で、南北二つの階級が同盟を結ぶことを奨励している。ひとつは、数の上では少数でありながら、経済的及び政治的に力をつけてきたイタリア北部の労働者階級であり、もうひとつは、当時まだ労働者階級より数が多かったイタリア南部の農民階級である。インドの「サバルタニスト」は、イタリア同様、インドにおいても両階級が同盟を結ぶことを強く勧めることとなった。

 第三の流れは、『ノート』の概念を利用して地政学を構想するひとびとである。彼らは、《 ネオ・グラムシ 》理論を国際関係に適用する。創設者は、カナダ人のロバート・コックスである。改革的マルクス主義者であるとともに、ジュネーブの国際労働機関(ILO)で研究所幹部を務めたことがある。キース・ファン・デル・ピール、ヘンク・オバービークそしてスティーヴン・ギルもこの潮流に属する研究者だ。彼らは、ヨーロッパの経済構造を分析し、現在すすんでいるヨーロッパの経済危機を理解しようとする (7) 。その主張によると、ヨーロッパ経済危機の発生は、たとえば、欧州住民の積極的「同意」を求めようという構想が欠落していたことに一因があるからだと見る。というのも、「ヘゲモニー」が、一国あるいは一大陸全体にわたって永続的に続くためには、支配者階級は被支配者階級にたいして、支配階級のヘゲモニーが少なくとも一部分は被支配階級の利益になると説得しなければならないからだ。

さらに、20世紀初頭には、ヨーロッパとアメリカのエリートの相互浸透が進む動きがみられる。そのことは、ヨーロッパの経済構造が、多くの場合、アメリカ帝国の利益に依存していたこと、自立した政策を立てることに成功しなかったことを意味する。

 グラムシの生涯は、「圧制に苦しむ人々のための政党」を作ることに費やされた。その目的は、イタリア国民のためであると同時に、第三インターナショナルでの活動を通じて全世界の労働者の解放をめざすものであった。グラムシは「理論と実践」によって社会を変えようとしていた。しかし残念なことに、今日の批判的知識人たちは、「理論」だけにとどまっているように見えるのだが…。


(1) Antonio Gramsci, Cahiers de prison, Gallimard, coll. ≪ Bibliotheque de philosophie ≫, Paris, 1978-1992, 5 tomes.
(2) Le Figaro, Paris, 17 avril 2007.
(3) Cf. Pierre-Andre Taguieff ≪ Origines et metamorphoses de la nouvelle droite ≫, Vingtieme Siecle, n°40, Paris, 1993
(4) Cf. Rau1 Burgos, Los gramscianos argentmos, Siglo XXI, Buenos Aires, 2004.
(5) Edward Said, L'Orientalisme. L'Orient cree par l'Occident, Seuil, coll. ≪ La couleur des idees ≫, Paris, 2005 (1re ed. : 1978).
(6) Lire Partha Chatterjee, ≪ Controverses en Inde autour de l'histoire coloniale ≫, Le Monde diplomatique , fevrier 2006.
(7) Cf. par exemple Honk Overbeek et Bastiaan Van Apeldoom (sous la dir. de), Neoliberalism in Crisis, Palgrave Macmillan, Basingstoke, 2012.
(8) コラムの説明(グラムシの略歴)。

《 革命に身をささげたグラムシ 》

 アントニオ・グラムシは、1891年サルディーニャ島に生まれ、かなり貧しい家庭で育つ。1911年、奨学金を得てトリノ大学言語学科に入学する。そこで、パルミーロ・トリアッティ、アンジェロ・タスカやウンベルト・テッラチーニらと知り合いになる。初め彼らは、イタリア社会党(PSl)党員として活動した後、1919年、労働者の新聞『オルディネ・ヌオーヴォ』(新しい秩序)を創刊する。1921年、グラムシはイタリア共産党の結成に加わり中央委員会委員になり、1924年イタリア共産党書記長に選ばれる。同年4月、下院議員に選出される。グラムシが議会で小さな声で演説する時、ベニート・ムッソリーニは、この不屈の反対者の言葉をひとことも聞き逃さないよう、耳をそばだてていたという。

 グラムシは、1926年ローマで逮捕され、1928年には20年の禁固刑に処せられる。ファシストの検事に「この頭脳を、20年間機能させてはならない」とまで言わせ、このような判決が下されたのだ。当時の政府がいかにこの敵対者を怖がっているのかをよく表している。1929年、グラムシは監獄で手紙を書く権利を獲得するが、1935年になると彼の健康は次第に悪化し取返しのつかないほどになる。1937年4月27日、脳出血で死亡したが、ムッソリーニ体制化の監獄で十年間の苦難の日々を過ごした後のことであった。後に残されたのは一連のノートであり、これは20世紀後半のマルクス主義に決定的な変化をもたらした。
                         
   ラズミグ・クシェヤン」

「中国の膨張政策」・ルモンド・ディプロマティーク

2013-01-10 16:26:07 | アジア
 ディプロマティークが南シナ海の問題を取れあげている。

 御参考までに。

「 ここ何カ月来、東シナ海・南シナ海における主権争いが悪化の一途をたどるばかりだ。2012年4月、スカボロー礁付近で8隻の中国漁船がフィリピンの沿岸警備隊に拿捕された。両国の船舶による攻防は2カ月間続いた。6月には、ベトナムが南沙・西沙諸島周辺の問題水域に関する新しい海洋法を発布した。中国は反撃し、この無人の西沙諸島へ近く入植することを公表した。9月には、日本では「尖閣」、中国では「釣魚」と呼ばれる島々の周囲に緊張が走った。日本政府がこの小さな無人島を買い取ったことに対し、中国は経済制裁、大都市での反日デモ、係争水域への沿岸警備艇の派遣をもって反撃した(注1)。
中国の政策転換

 このような事態のエスカレートは、「反撃攻勢」という中国の新しい政策をよく表している。まだ小さい国境紛争の機会をとらえ、力の誇示から開始して領土の現状を中国に有利に修正していこうというものである。こうした施策は、1970年代後半に当時の指導者、小平(ダン・シャオピン)が打ち出した正常化政策の破棄を示している。彼の政策は、主権をめぐる論争を避け近隣諸国との友好関係をつくり上げることを目標とし、次のように総括していた。「わが国の主権を明確にすること、紛争を棚上げすること、共同の発展を追求すること」。2000年には中国外交部が「領土問題に永続的解決法を見出すのに時期尚早である場合、主権に関する議論は先延ばしにして紛争を避ける。これは主権の放棄を意味するものではない。単に一定期間、問題を遠ざけるということだ(注2) 」としてこの政策を強化した。胡錦濤(フー・チンタオ)現国家主席は、「論争を棚上げし、共通の発展を奨励する」という基本原則を渋々再確認することもあるが、この声明は様々な行動を通して覆されている。

 南シナ海は、漁業資源だけではなく石油や天然ガスなどの地下資源にも恵まれ、世界で最も混雑した航路が縦横に走る交差点である。そこでは中国、アメリカ、それにベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなど東南アジア諸国の利害が衝突する。

 中国側では多くの政治・経済関係者たちが、自分たちの利益になるよう領土問題から生じる緊張を利用してきたが、そのことが中国政府の硬直化に影響しないではいなかった。南シナ海沿岸のビジネスに関わる数多くの中国企業・団体は、伝説に因んで「海を荒らす九匹の竜(注3)」と見なされているが、多くの団体が伝説上の生き物以上の働きをしているのは事実であり、その中には、地元政府、海軍、農業省、国営企業、治安部隊、税関、あるいは外交部も含まれる。
政府に利用される漁船

 海南省、広西省[現在の広西チワン族自治区ーー訳注]、広東省といった沿岸地域の政府は、地元企業が製造する商品の新たな販路を開拓している。そういった企業が成功すれば、地元役人の中央政府での地位を保証することになる。中国共産党への忠誠がある限り、彼らは地域内の商取引を自由自在に行なうことができる。経済成長政策と地域当局の自治権拡大との結合によって人々に欲が出ているのだ。そのため、地域当局は漁民を促して紛争水域にどんどん侵入させる。特筆すべきは、強制的に漁船を近代化させ船に衛星ナビゲーションを設置させたことである(注4)。最大規模のトロール船への漁業権優先割り当ても、同方向への誘因となっている。

 さらに海南省政府は西沙諸島において観光業を発展させようと何度か試み、ベトナムの激しい抵抗にあっている(注5)。「まず行動し、後から考える」、これが北京政府の顔色をうかがう地元当局のスローガンらしい。地方政府は経済という戦場で自分たちの駒をできるだけ遠くまで進め、やがて中央政府が眉をひそめるようになるとようやく撤退の旗を上げる。

 また、中国で最大の権力を持つ二つの海上保安組織が対立している。一つは国家海洋局で国土資源部の所管であり、もう一つは魚政漁港監督管理局で農業部の管轄にあり、それぞれ船団増強と積極政策という形をとって紛争水域に現れた。この二つの機関は、それぞれの所属省庁から助成金と優遇措置を手に入れようと競い合い、予算増額を獲得するために自分たちの管轄の国境線を押し戻そうとしている。双方にとって、領有権を主張して踏ん張ることが、国内を満足させる戦略の一環となる。中国政府としては、非軍事機関を利用することで直接的な軍事衝突というリスクを避けている。

 しかし、たとえ警察パトロール船の被る損害が軍艦より低額だとしても、国の主権を守る手段として活動を広げて行けば、それは衝突事件の増加に手を貸すことになるだけだろう。さらに漁船もまた、中国海域の旗手としての役割を果たすことが次第に多くなり、近隣諸国の船舶との摩擦を一層危険なものとしている。

 中国海軍は、その影響力が南シナ海で高まっているにもかかわらず、これまでのところ二義的な役割しか果たしていない。事件が起きた場合は、護衛艦は後ろに控えているか、あるいは遅れて到着して現場の対処を文民当局に任せてきた。が、それでも、海軍の増強と近代化が完全に不透明な状態で行なわれ、さらなる緊張の原因をつくり上げることに変わりはない。というのは、他の国々も海軍部隊を増強せざるを得なくなるからだ。

中国の外交はどこに…?

 原則的に言って、中国外交部は指導的役割を果たす部署だとみなされているが、実際には外交部に権威はない。現役の外交部長、楊潔チ(ヤン・ジエチー)は、「国務委員(副首相級)、戴秉国(ダイ・ビングオ)ほどの権限も行使していない」と、ある北京裏事情通の記者は皮肉る。領有権問題が再燃したのは権力の本当の保持者が外交の実権を手に入れてからだ、という。通商、金融、国家公安それぞれの部長、それだけではなく国家発展改革委員会のトップが外交上の権力を握っているのだ。外交部にとって端役的な役回りは不愉快きわまるものだ。中国が振るっている経済的・地域的影響力に対して、中国外交部にそれ相応の責任を取るよう多くの声が上がっているから、いっそうのことである。

 中国政府には国民の民族感情を利用する傾向がこれまでずっとあった。しかし、この傾向は政府自体に刃向かってくる可能性がある。2012年初頭、外交部長が騒ぎを沈静化させたいと思って、「中国は南シナ海全体が自分のものだとは全く主張していない」と説明したとき(注6)、その発言が激しい不満を煽ってしまった。数十年来、政府は正反対の説明をしてきた結果がこれだ。多くのインターネット利用者が共産党執行部内で粛清を行なうよう呼びかけた。党は「人民の血と汗を搾取し」、「国益を安売りする」ような「裏切り者」や「堕落者」を擁護したとして糾弾された(注7)。幹部たちが危惧しているのは、こうした怒りが広まって国の安定を損なうような混乱に至ることである。

南シナ海の争奪戦

 権力は反撃が必要なときには躊躇はしない。2012年4月のスカボロー礁での事件はその後の事態のエスカレートのやり方をよく示している。最初の段階で、フィリピンは軍艦を派遣して中国漁船の侵入に対処した。すると中国はこの機会を捕えて礁の所有権を主張し、当該水域に保安部隊を配備し、フィリピン漁船が進入することを禁じた。フィリピン産トロピカル・フルーツの輸入には検疫を受けさせ、旅行社は営業中止に追い込まれた。中国は、スカボロー礁を支配し、フィリピン人がそこで漁をするのを妨害し、自分たちの利益に合った既成事実をつくり上げた。

 6月に北京政府が厳しく報復したのは、ベトナムが「海洋法」を採決し、南沙および西沙諸島水域に新しい航行ルールを導入したときだった。中国当局は即座に市庁所在地、すなわち三沙市の成立ばかりでなく駐留軍設置も公表した。おまけに、中国海洋石油総公司(CNOOC)は、発見された9油田の石油開発許可証を交付し始めたが、それはベトナムの排他的経済水域の中にあり、ベトナム政府がすでに《ペトロ・ベトナム》社に委託していたものと重複していた。

 ベトナムとフィリピンの努力は、2012年7月に開催された第45回ASEAN(東南アジア諸国連合)大臣級会議で水泡に帰し、中国政府を大いに満足させた。というのは、両国は領海問題に関する声明をプログラムに盛り込もうとしたのだが、会議主催国のカンボジアの反対に会い挫折したのだ。そこにどうしても見えてしまうのは、個々の出来事をそれぞれ異なったやり方で取り扱い、その一つ一つを個別に勝ち取っていくという中国側の戦略の本質である。

民族主義と欲求不満

 南シナ海における緊張がこの夏頂点に達したと思われたが、9月には別の危機が今度は東シナ海で発生した。それは尖閣/釣魚5島のうちの3島を取得した日本政府の発表とともに起きたのだが、この島嶼はその時まで裕福な日本人実業家の所有であった(注8)。日本の政府はこの買取りを、国粋主義的な東京都知事 -新党設立のため辞職したばかり- の願望を早めに刈り取る施策だとして正当化した。日本政府によると、中国の次期最高指導者、習近平(シー・ジンピン)の任命式の前にこの作戦を実践し、初登庁時に「平手打ちを食わせるようなことは避け」なければならなかったのだ、という。中国政府は激しく反発した。

 日中にはさまれたこの水域においては、南シナ海以上に民族主義が紛争を激化させている(注9)。中国では、日本の占領中に被った残虐行為を理由に、尖閣/釣魚諸島の領有権をめぐる紛争で報復感情が駆り立てられており、他のいかなる領土紛争をもはるかにしのぐものである。一方、日本に対する反発は大韓民国でも同様に非常に強烈になっている。それは竹島(日本名)あるいは独島(韓国名)の諸島をめぐる論争においてである。多くの日本人は、中国の登り「竜」の勢いに脅威を感じ、中国が自分たちの本来の主権を侵犯するのではないかと恐れている。

 中国政府は、以前は国益に合わせて上手く愛国心を操作できていたが、今日ではその支配力は衰えてしまった。情報・通信テクノロジーの発展が反日感情の捌け口に利用され、その感情は権力の座をぐらつかせるほどの力になっている。民族主義者たちの欲求不満に加えて、中国政府は日本に対して面子を保ち損ねたという印象が重なった。さらには、汚職や社会保障の欠如、さらに不動産価格の高騰などで苛立ちがつのっている。

「中国の相手はアメリカだ」

 さらに、第二次世界大戦中は日本軍と戦い、その後は平和主義を促進することを当然視するように見えた旧世代の人たちが次第にいなくなっている。外交部で実権を持つ一部の外交官が現在考えているのは、中国はもはやライバル大国に対して遠慮などすべきではない、中国は経済力では日本を凌いでおり、きわめて急速にアメリカをも凌ぐようになるだろうから…、ということである。彼らの関心は中米関係に多く向けられ、中日関係にはあまり向けられなくなっている。多くの指導者にとって日本政府はもはやワシントンの支店でしかない。日本の外交政策はアメリカのアジア戦略に左右されており、その戦略は新しい中国の威力を阻むことにある、といわれる。

 それ故に、日本政府の尖閣/釣魚諸島買い取りに対する中国政府の苛立ちはエスカレートし、経済制裁および大規模軍事演習となって現れた。演習には海軍、空軍、戦略ミサイルの発射装置が動員された。さらに当局は越境不可の境界線を設置すると公表し、事実上この諸島を中国の監視下に置くという法律文書を入念につくり上げた。明らかな併合までは行かないとしても、中国は、これまで日本の巡視船が監視してきた水域に警備艇を緊急に送る自由を得た。これによって新たな衝突の起きる可能性が再び大きくなった。

 ナショナリズムの高揚、軍拡競争、地域における統率力の欠如、政権交代の不安定な様相、こういった要因が、東シナ海における危機の悪循環を深刻化させている。紛争の拡大を抑制できるような社会の体制、構造、プロセスが、この何年かで著しく弱くなった分、この危機は一層ひどくなっている。



(1) 「危険な水域」(≪ Dangerous Waters ≫, Foreign Policy, Washington, DC, 2012年9月17日号)参照。
(2) 《Set aside dispute and pursue joint development》, ministère des affaires étrangères de la République populaire de Chine, 17 novembre 2000. Cf.《White paper on China’s peaceful development》, Information Office of the State Council, 6 septembre 2011.
(3) 「南シナ海の大騒動(I) 」(≪ Stirring up the South China Sea (I) ≫, Asia Report, n° 223, International Crisis Group, 北京, 2012年4月23日付)
「九匹の竜」は中国の伝説。竜が生んだ9匹の子が各々の性格に合った場所で各々が活躍するが、結局、親である竜にはなれなかった。[訳注]
(4) 衛星ナビゲーション・システムがあれば、紛争が起きた場合、中国軍はより迅速に干渉することができる。これはスカボロー礁の場合も同様だった。「漁業の話」(≪ Fish Story ≫, Foreign Policy, 2012年6月25日付)参照。
(5) ≪ Stirring up the South China Sea (I) ≫, op. cit.
(6) 2012年2月29日、外交部スポークスマン、洪磊(ホン・レイ) 氏の記者会見。
(7) 「中国のエリート国賊たちは南シナ海でいかに国益を大安売りしているか」(中国語) (www.china.com 2011年7月1日)参照。
「南シナ海の国賊たち、国民の敵、永久涜職罪の輩たち」(中国語) (www.nansha.org.cn 2012年5月15日)参照。
(8) クリスチャン・ケスレル「尖閣/釣魚諸島、中日紛争の根源へ」(Christian Kessler, ≪ Iles Senkaku-Diaoyu, aux origines du conflit sino-japonais ≫, Planète Asie, Les blogs du Diplo, http://blog.mondediplo.net 2012年9月25日付)参照。
(9) 「グツグツ煮え出した中日尖閣問題は沸騰の恐れあり」(The Guardian、ロンドン、2012年8月20日付)参照。
       
(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電 子版2012年10月号)
All rights reserved, 2012, Le Monde diplomatique + Emmanuel Bonavita+ Sengoku Aiko + Ishiki Takaharu」

中国による尖閣実効支配のプロセス

2013-01-10 16:23:34 | アジア
「尖閣パトロールを常態化 中国が海洋工作会議 共同支配既成事実化が狙い?

2013.1.10 14:18

 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信によると、10日から北京で始まった中国全国海洋工作会議で、2013年の活動方針として、沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の周辺海域に対する中国国家海洋局によるパトロールの常態化を継続することが決定された。

 日本政府が尖閣諸島の国有化を決定した昨年9月中旬以降、中国の公船による領海侵犯が繰り返されており、昨年12月13日に、同じく国家海洋局に所属の飛行機による領空侵犯もあった。中国は今年、こうした挑発行為を常態化させれば、同海域における緊張がさらに高まりそうだ、

 尖閣問題では、昨年12月中旬に北京で行われたシンポジウムで、習近平総書記に近い上海復旦大学の沈丁立教授は「軍事衝突を避けるため、日中双方による同諸島の巡回時間をずらす「時空交錯案」を提案したことが注目された。日本政府に圧力をかけて、中国側のパトロールを黙認させることで、「実質の尖閣諸島の日中共同支配」という既成事実を作り出したいとの狙いがあるとみられる。

 中国全国海洋工作会議は海洋権益に関わる政府各部署の責任者と地方の担当者が集まり方針を決定する。」

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130110/chn13011014190003-n1.htm

安倍のアセアン訪問計画

2013-01-10 16:21:42 | アジア
「 菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、安倍晋三首相が就任後初の外遊として、16日から19日までベトナム、タイ、インドネシアの東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国を訪問すると正式発表した。当初予定していた米国訪問も引き続き調整する。 

[時事通信社]」

http://jp.wsj.com/article/JJ12235049762963464551819349283872098278148.html

「歴史に学ばない自民党」菅直人氏のブログから転載

2013-01-10 15:44:44 | 原発
「歴史に学ばない自民党

総選挙での 民主党の惨敗をどう受け止めるか。第三極のこれからをどう見るか。多くの識者が戸惑っているように見える。

  私は、基本的には、政権交代可能な政治が定着する過程と思っている。識者の一部には民主党がそのうち消滅するとの見方もある。かつて、1997年、新進党は野党第一党でありながら消滅した。民主党がその道をたどるのか、それともカナダの進歩保守党のように何年か後に政権に返り咲くのか。当事者の努力はもとよりだが、国民が政権交代可能な二つ名政党が必要と考えるかによる。

   脱原発グループにも戸惑いが広がっている。一時的に期待を集めた「未来」の崩壊も、「戸惑い」に拍車をかけている。ドイツの緑の党のように二大政党に「脱原発」を突き付けて、実現を図るという戦略を取るのか、それとも政権をめざす政党に脱原発政策の採用を働きかけるのか。

   明らかになってきた自民党の原発政策は3.11原発事故前と全く変わらない。歴史に学ばない政党だ。」

http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11445960177.html

再稼働へ向けた動向/地球座より転載

2013-01-10 13:43:15 | 原発
「「原子力規制委員会の危険な動き・再稼働の動き」など-地震と原発事故情報

2013年 1月 9日 交流の広場 <たんぽぽ舎>

たんぽぽ舎です。【TMM:No1714】 2013年1月9日(水) 地震と原発事故情報-3つの情報をお知らせします

転送歓迎
━━━━━━━
★1.原子力規制委員会の危険な動き・再稼働の動き
原子力規制委員会2つの検討チームの会合を傍聴して
福島第一原発事故の教訓は活かされているのか?
工藤わかめ(たんぽぽ舎会員)

★2.新聞・雑誌から
◆「何としても9基再稼働を」関電社長年頭会見(1.7 東京新聞夕刊から)
◆核廃棄物の島・蘭嶼島 鎌田慧        (1.8 東京新聞から)
◆もんじゅ点検超過を陳謝 原子力機構、福井知事に
(1.8 東京新聞から抜粋)
◆「闘う政治家」って?  斉藤美奈子     (1.9 東京新聞から)


★3.たんぽぽ舎へ来た年賀状から その1
━━━━━━━
★1/10(木)「お話会」にご参加を!
【金曜官邸前抗議行動 よもやま話・第2回】 お話:原田裕史さん
日時:1月10日(木) 18:30 開場 19:00 開会  参加費 800円
会場:「スペースたんぽぽ」 TEL 03-3238-9035
━━━━━━━

┏┓
┗■1.原子力規制委員会の危険な動き・再稼働の動き
|  原子力規制委員会2つの検討チームの会合を傍聴して
|  福島第一原発事故の教訓は活かされているのか?
└────   工藤わかめ(たんぽぽ舎会員)

(1)原子力災害事前対策等に関する検討チーム 第5回会合

12月27日(木)、議長は中村佳代子委員。主な議題は緊急事態区分・防護
措置基準に基づく各主体の行動イメージ。

資料にあった避難区域は30kmだった。この避難区域はどのような根拠で出
されたものか、疑問に思った。福島第一原発で問題となったのは予想以上に広
範囲に広がった放射能汚染であり、飯館村の位置は福島第一原発より40~5
0kほど離れていた。また放射能は同心円上には広がらず、山脈などの地形や
風向きの影響を受けながら広がっていき、北は岩手県南部、南は群馬県、東京
北部までに及んだことは多くの人が知っている。また設定された緊急防護準備
区域の線量率の毎時500μSV/h(実効線量50mSv/ 週)も高い。子
ども、特に妊婦や乳幼児の場合もっと低いレベルでの避難も考えなくてならな
いのではないか。この基準値については出席した関係者からも、もっと議論す
べきという意見が出された。

自治体の代表からは、事業者の情報提供の要請と避難の判断の主体はどこなの
かということが、繰り返された。判断の主体は市町村の長、国や県は避難を促
すのが役割というのがその回答。情報は国に集まり、市町村へはなかなか来な
い。だから市町村での判断は難しいということのようだ。福島第一原発の事故
では自治体への情報は遅れに遅れた。自治体が国に不信感を持つのも当然と思
う。またその国にしても東電から情報は完全ではなかった。こうした現実を規
制委員会はどう見ているのか。


(2)東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関す
る検討チーム 第4回会合~内容が余りにも片寄ったもの。福島県医師会副会
長が抗議
12月28日(金)、議長は中村佳代子委員。

初めに中村委員からこれまでの議論を踏まえた整理案の説明があった。資料1
に示された整理案では「・・・確定的影響のしきい線量を超える被ばく線量は
認められていない。・・・・他の要因による発がんリスクの明らかな増加を証
明するほどの被ばく線量は確認されていない。」等、非常に断定的であり、こ
れで議論は終わったような印象だ。また、「東京電力福島第一原子力発電所事
故による住民」としながら、健康管理が福島県に限られていた。

福島県医師会副会長 木田医師からは福島県の医療のスタッフ不足の問題、放
射能は隣県にも流れているので国が健康管理の実施をすべき、国の責任ついて
言及してほしい、また整理案の文章が断定的あり、その根拠となるデータを出
してほしい等の要望が出された。これに対して中村委員が、木田医師からの要
望は意見としてお聞きするが、ホームページ上には載せないと話したため、傍
聴者から、抗議の声があがり、木田医師からの抗議もあって、記録には載るこ
ととなった。


傍聴者は少なかったが、内容があまりにも偏ったものであり、なんども抗議の
声があがった。会合の後も、傍聴者と委員との意見の衝突が続いた。


新しくできた規制委員会の傍聴をわずか2回しただけだったが、形をつくって
おこうという性急な姿勢を強く感じた。防災にしろ、健康管理の問題にしろ、
人の命、あるいはその後の生活に関わる重要な問題のはずである。

福島の事故ではあまりにも原子力発電の事故時の防災対策がいい加減で、混乱
を招いたため、多くの人がしなくて済んだはずの被ばくをしてしまった。その
反省がこの委員会で活かされているのでろうか。

また、今回傍聴した2つの委員会で、「主体」ということばが気になった。
「主体」とは責任をとるところがどこかということであり、その部分が非常に
曖昧だった。はっきりさせようとすると、政策的なことには立ち入らないと逃
げてしまう。一体、何のために作った委員会なのか。今後ともこの委員会を注
視し続ける必要があると思う。


┏┓
┗■2.新聞・雑誌から
└────

◆「何としても9基再稼働を」 関電社長年頭会見 (1.7 東京新聞夕刊から)

関西電力の八木誠社長は七日、福井県庁で行った年頭の記者会見で、大飯原発
3.4号機(同県おおい町)を除き停止中の県内の原発九基について「安全対策
をやり、国民の理解を得た上で、なんとしても再稼働を果たしたい」と意欲を示
した。
運転年数が四十年を超えた美浜原発1、2号機(同県美浜町)に関しては「今
後、原子力規制委員会が定める基準に対応したい。基準をクリアすれば運転を延
長できると理解している」と述べ、廃炉を前提にしない考えを明らかにした。
四月に予定する電気料金値上げについては「電力事業は危機的な状況。電力供
給と収支の安定のため」と理解を求めた。政府に対しても、中長期のエネルギー
政策をぶれることなく進めてほしいと注文を付けた。

◆核廃棄物の島・蘭嶼島 鎌田慧(ルポライター)
(1.8 東京新聞 本音のコラムから)

台湾東南にある台東市に正月明けの三日間滞在した。そこからさらに九十キロ
南東、フィリピン・ルソン島に近い、蘭嶼島を目指したのだが、強風に影響され、
小型飛行機はついに飛べなかった。
蘭嶼島は海洋民族タオ族の島だが、台湾電力の原発「低レベル核廃棄物最終処
分場」として知られている。魚の缶詰工場を建設する、という触れこみで土地が
買収され、三十年前の一九八二年から十万本にもおよぶドラム缶が搬入された。
政府と台湾電力は、補助金や電力無償化、奨学金支給などの利益誘導で住民の
抵抗を抑えてきた。ところがドラム缶の腐食破損がすすんで、放射能漏れが発生、
三割ほどが再装されたが、地域の汚染と子どもの障害などが指摘されている。
村のたたずまいや施設の状況を、日本の核廃棄場・六ヶ所村と比べて見てみた
かった。それで空港ロビーで粘っていたのだが、島の強風はやむことなく、残念
ながら断念でざるをえなかった。
台湾の核廃棄物が、交通が遮断されがちな絶海の孤島に捨てられ、米国の核実
験が先住民の地で行われ、日本の核廃棄物がエミンの地の開拓村に押し付けられ
る。危険な核政策の差別性をもろに考えさせられた空港ロビーに国の「経済部」
と台湾電力の「低レベル核廃棄物は地方を興し、共存共栄」の巨大は看板があっ
た。

◆もんじゅ点検超過を陳謝 原子力機構、福井知事に
(1.8 東京新聞から抜粋)
日本原子力研究開発機構の鈴木篤之理事長は七日、年頭のあいさつで福井県庁
を訪れ、高速増殖炉もんじゅ(同県敦賀市)で九千以上の機器が点検時期を超過
していた問題で「私どものやり方に不十分なところがあった」と西川一誠知事に
陳謝した。
鈴木理事長は「担当理事を常駐させ、原子力規制委員会に(調査結果を)報告
する」と説明。西川知事は「(核燃料サイクルで)基本的な施設であることをよ
くよく自覚し、取り組むことが重要だ」と述べた。
(-中略-)

◆「闘う政治家」って?  斉藤美奈子   (1.9 東京新聞から)

「美しい国へ」(文春新書)を読み直した。安倍晋三首相がまだ小泉内閣の官房
長官だった。2006年の本である。
そうだった。思い出したよ、この巻頭言。政治家には2種類ある。<それは
「闘う政治家」と「闘わない政治家」である><わたしは常に「闘う政治家」であ
りたいと願っている>
そいつはちょいとズレてません?「闘う政治家」は権力に抗う野党政治家に相応
しいキャッチフレーズで、権力の中枢にいるあなたがいうのは変でしょ。当時の
私はそう思ったが、その後の彼はたしかに戦闘モードだった。首相就任わずか3
ケ後には戦闘モードで教育基本法の改定を強行し、戦闘モードで防衛庁を省に昇
格させた。
「わたしの原点」と題して彼は祖父・岸信介の家がデモ隊に囲まれた60年安保
当時のことを書いている。晋三少年、時に6歳。長じて彼は確信する。<まちが
っているのは安保に反対するかれらのほうではないか>
民衆の運動が「敵」に見える環境で育った方である。脱原発デモも当然「敵」に
見えるよね。7年たっても戦闘モード全開で、原発や教育や歴史認識について語
る首相。いったい誰と闘う気なのか、相変わらずズレている気がしてならない。

┏┓
┗■3.たんぽぽ舎へ来た年賀状から その1
└────

○ Aさん(多摩市・男性)「原発なくして安心な生活を」。第2の原発惨事は
絶対に起こさせてはなりませんね。頑張って下さい。
○ Bさん(東京・女性)忘れっぽく反省もせず、差別の好きな多数派の国。仕
方なく長生きをしてフンバル事にします。
○ Cさん(愛知県・男性)自民党政権が復活し、脱原発の道も又々きびしくな
りそうですね。息の長いみなさんの活動を心から応援しております。
○ Dさん(東京・3多摩 女性)超タカ派の政権が誕生して、日本の行く末が
心配ですね。小選挙区制のせいだとしても、今後、原発の再稼働どころか、
計画中の原発も起き上ってきそうで、参院選に向けて、本物の脱原発派が結
束して闘わないとー。
○ Eさん(埼玉県・男性)宝島社の本にたんぽぽ舎の鈴木千津子さんがご活躍
なさっている姿を拝見いたしました。豆乳ヨーグルトで皆とがんばって下さ
い。」

http://chikyuza.net/n/archives/29902

日本を評価する/マンチェスター・ガーディアン

2013-01-10 13:36:02 | 経済
 リベラルな論調で知られるマンチェスター・ガーディアンが日本の経済を表する論評を載せた。

 経済は国民のためにある。

 日本とドイツはそれをやの遂げ、アメリカはできていない。

 日本はなぜ諸国の教科書にされないのか。

 やや過大な評価もあるが、その通りではないだろうか。自己満足に陥ってはならないが、小泉・竹中流の―アメリカ受け売りの-経済自由主義では、国民が見捨てられることは明白。

 TPPの問題もそこにある。

「2010年8月11日、英紙ガーディアンは日本経済に関するコラムを掲載。いわゆる「失われた10年」は経済的な失敗ではなく、米国とは異なる発展モデルを選んだ結果だと分析した。13日付で環球時報が伝えた。以下はその抄訳。

経済学者たちは長年にわたり、日本経済に不当な評価を与えてきた。考えてみよう。世界経済が後退する中、米国の失業率は10%に迫っている。格差と貧困は激化し、4700万人が医療保険に加入しておらず、中産階級の年金は脅かされている。欧州もまたさまざまな問題を抱えており、急成長を続ける中国もバブルが懸念されている。

では日本はどうだろうか?失業率は5%程度。格差も他国ほど鮮明ではない。全国民が医療保険を享受し、今なお世界の主要輸出国としての地位を保っている。平均寿命は世界トップクラス。乳児死亡率も低い。教育水準は高く、犯罪、精神疾患、薬物乱用はいずれも低レベルにとどまっている。炭素排出量も低水準ときわめてエコ。あらゆる面で日本は米国より優位に立っているではないか。なぜ日本が米国やその他苦境に立たされている国の教科書とならないのだろうか。

米国の著名経済学者クルーグマン氏を筆頭に、経済学者たちは日本経済をたたき続けてきた。「日本シンドローム」という言葉まで作られたほど。しかし経済とは何のためにあるのか、もう一度考えてみるべきだ。人々に繁栄と安全を与えるためか、それとも経済学者の理論とモデルに従うためにあるのか。

今の時代に与えられた重要な教訓は2つある。バブルは必ず崩壊する。制限のない成長は環境を破壊する。つまりもはや経済成長ばかりを求める時代ではなく、持続可能な発展を、お金を使わずに多くを成し遂げることを摸索しなければならない。先進国が異なる成長モデルに切り替えることはたやすいことではない。しかし日本、そしてドイツはそれを成し遂げた。米国もまた両国にならうべきであろうし、現在の浪費型経済を改めれば、あるいは現在ほど多くの財政出動と成長計画を必要としなくなるかもしれない。(翻訳・編集/KT)」

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=44567

手抜き除染を招いた環境省の怠慢(グル?)

2013-01-10 13:15:39 | EU
 改めて手抜き除染問題を明るみにした朝日の記事を載せます。

 読売や産経もこういう記事を書いてみなさい。

「手抜き除染、反応鈍い環境省 「聞いてない」解明及び腰


手抜き除染をめぐる経緯

 手抜き除染の情報に、環境省の動きは鈍かった。巨額予算の国家プロジェクトを担う行政組織として機能しているのだろうか。


■12月25日「確認する」

 【鬼原民幸】ヘルメットに現場責任者の印であるピンクのラインが入った作業員が落ち葉を川の中へ次々に蹴り出していく――。その写真が朝日新聞1面に掲載されてから5日後の9日、井上信治環境副大臣が福島県田村市の同じ現場に入った。足元に積もっていた落ち葉は消え失せ、地面はむき出しだ。落ち葉はその後の作業で回収されたのか、それとも川へ流れていったのか。視察だけでは分からない。

 除染現場のほとんどは昨年12月28日に年内の作業を終える。新年から下請け業者や作業員が入れ替わることが多く、手抜きの実態を解明するには年内に調べるのが有効なはずだった。

 取材班は12月11~18日に13カ所で手抜き現場を目撃し、25日に環境省に詳細な情報を伝えている。だが環境省は調査に及び腰で、すぐに動かなかった。

 25日に環境省福島環境再生事務所(福島市)で取材班に対応したのは、事前に面会を求めた大村卓所長ではなく、除染担当の課長だった。13カ所の手抜き現場や日時を詳しく説明したが、課長はメモをとろうとしない。正確に記録して調べるよう求めた後にメモ用紙を手にしたが、自治体名と日付を走り書きしただけだった。「時間は書かなくていいのですか」と問うと、「どうぞ(続けて)」と取り合わなかった。

 課長は最後に「悪質というより、想像以上に除染して回りきらなくなって(投棄を)やったという感じがする」と答え、業者をかばった。調査するかどうか重ねて聞くと、ようやく「事実を確認する」と話した。
 取材班は25日、環境省本省の担当課長にも13カ所の一覧を渡した。水・大気環境局の小林正明局長は「事実関係がわからないとなんとも。福島の事務所に確認する」と応じている。

 26日、取材班は再び福島事務所を訪ねた。大村所長に田村市で現場責任者が落ち葉を川に蹴り出す写真を見せると、「事実であれば由々しきこと。直ちに担当者と相談する」と答えた。

 ところが大村所長が本省と協議したのは2日後、仕事納めの28日だった。その時すでに、福島事務所にはゼネコン2社から手抜きの可能性があるとの報告も入っていたが、本省の小林局長は28日夕の取材に「現場(の事務所)から話をまだ聞いていないのでわからない」と答えるだけだった。

 その前後から本省の担当者に取材したくても連絡がつかない状態が続く。組閣に重なったとはいえ、取材班が接した環境省の幹部たちが手抜き情報を深刻に受け止めて直ちに対応した形跡はない。ある職員は「うちの省は記事を書かれないと動かない体質だ」とこぼす。

 正月明けの4日、朝日新聞の報道を受けて地元自治体の首長から怒りの声があがると、大村所長は自ら電話をして「ご心配をおかけした」と謝罪した。本省では奥主喜美・大臣官房審議官が報道対応したが、「事実かどうか確認する」と繰り返すばかりだった。


■1月6日、環境相らが対応協議

 【青木美希】官僚機構が動かないのなら、それを動かすのが政治の役割だ。だが、12月26日に就任した石原伸晃環境相がこの間、どう取り組んだのかは見えてこない。

 官庁仕事始めの4日、朝日新聞が朝刊で手抜き除染の横行を報じたが、石原氏は登庁しなかった。

 取材班は環境省広報室を通じて石原氏に4日の行動について質問した。「副大臣に対応を指示し、事実関係の確認とその結果を踏まえた厳正な対応をとるべく取り組んでいる」と書面で回答がきた。石原氏に8日夜、自宅前で4日の行動について尋ねると、「覚えていない」と述べた。井上副大臣は「4日朝、職員に対して大臣に記事が出ていることを伝えるように指示した」と取材に語った。

 石原氏の新年初登庁は6日。環境省幹部が手抜き除染への対応で初めて集まった。業務全般を石原氏らに説明するため、昨年中に設定されていた場だった。この席で、除染適正化推進本部の設置が決まった。

 だが、実態解明は順調とはいえない。井上副大臣らの9日の現場視察では一行が道に迷う場面もあった。

 環境省は11日までにゼネコンに事実関係の報告を求め、18日に再発防止策をまとめる方針だ。しかし、ゼネコンがこれまでの聴取で認めた「手抜き」は2件だけ。環境省はそれでも「(ゼネコンからの)報告を見ないと判断材料が乏しい」(石原氏)としてゼネコンの自主調査を待つ姿勢で、末端の作業員から直接聞き取る動きはない。

 予算6500億円以上の除染事業は環境省にとって異例の巨大事業で、ゼネコン任せで進めてきた。手抜きは発注時の契約違反だけではなく、汚染廃棄物の扱いを定めた特別措置法に触れる可能性もある。悪質事例が確認されれば、除染事業から排除する処分などを迫られる。市町村ごとに一括発注する今の枠組みではゼネコン以外に担い手はなく、事態を大きくしたくないのが環境省の本音だ。

 地元自治体は不信を強めている。環境省が10日に予定していた廃棄物の中間貯蔵施設の説明会は「手抜き除染問題の解決が先」という楢葉町の反発で延期となった。徹底した調査で地元の信頼を回復しなければ、全体の工程に支障が出かねない。」

http://digital.asahi.com/articles/TKY201301090537.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201301090537

日本の軍拡を伝えるBBC

2013-01-10 13:09:47 | アジア
"Japan seeks to boost military spending

Officials said part of the increase in military funds would be spent on missile interceptors

Japan's defence ministry says it is seeking more funds for military spending, a day after news the government would boost the defence budget for the first time in 10 years.

The ministry is asking for 180.5bn yen ($2.1bn, £1.3bn), some of which an official said would be spent on missile interceptors and fighter jets.

The move comes with Japan embroiled in a territorial row with China.

It also follows North Korea's recent successful long-range rocket launch.

"We will request 180.5bn yen to be allocated to military spending from a stimulus package," a defence ministry spokesman told Agence-France Presse news agency.

He said that part of it would fund the purchase of PAC-3 surface-to-air anti-ballistic missile systems and modernise four F-15 fighter jets.

The defence ministry spokesman said the funds were needed "to prepare for the changing security environment surrounding Japan".

The finance ministry has to approve the request before it can be added to the government stimulus package expected later this month.

The request for funds is in addition to news on Tuesday that the new government, which won elections in December, would increase the defence budget request by more than 100bn yen.

Officials say the increase would be used for research into a new radar system and maintenance costs for military aircraft.

The mooted increase is not large - the defence budget for the year ending in March 2012 stood at 4.65 trillion yen - but it represents a change.

For 10 years, Japan's defence budget has been gradually declining. But in the last few months the country has been shaken from two sides, says the BBC's Rupert Wingfield-Hayes in Tokyo.

In December, North Korea successfully launched a long-range rocket that flew over southern Japan. Much more worrying for Tokyo is China's push to claim disputed East China Sea islands, our correspondent adds.

The dispute over the islands, called Senkaku in Japanese and Diaoyu in Chinese, has rumbled for years.

Japan controls the islands but its purchase of three of them from their private Japanese owner in September sparked a renewed row.

Since then Chinese ships have been sailing in and out of what Japan says are its territorial waters around the islands, prompting warnings from Tokyo.

New Prime Minister Shinzo Abe, who is known as a conservative, has pledged a strong stance on the territorial issue while also calling for dialogue with China."

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-20955042

オスプレイ配備反対/沖縄タイムス

2013-01-10 13:05:26 | 軍事
「【嘉手納】米政府が空軍嘉手納基地に特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイを配備する計画を日本政府へ伝達していたとの報道を受け、當山宏嘉手納町長は9日、「もし配備が強行されたら、嘉手納基地の存在そのものを脅かす事態になりかねない。嘉手納は危険な基地の掃きだめではない」と厳しく指摘し、計画撤回を求める住民大会の開催に向け関係機関と調整を進める意向を明らかにした。また、嘉手納町議会も同日、基地対策特別委員会を開き、11日に臨時会を開き、配備に反対する抗議決議と意見書を提案することを決めた。

 當山町長は9日、沖縄防衛局の武田博史局長と、外務省沖縄事務所の松田賢一副所長を相次いで訪ね、CV22オスプレイの配備計画撤回を米側へ申し入れるよう要求した。當山町長は要請後、「住民大会を開く方向で考える」と述べ、町を挙げて配備計画に対する反対行動を展開する考えを示した。

 要請で武田局長と松田副所長がそれぞれ、「政府として承知していない」と応じたのに対し、當山町長は「通報がないなら、政府が積極的に事実関係を確認して、米側へ配備計画の撤回を要求すべきだ」と強く求めた。

 當山町長は20日投開票の同町議会選挙後には、昨年11月にあった普天間飛行場への配備撤回を求める町民大会の実行委員会構成メンバーへ住民大会の開催を呼び掛けるほか、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)を構成する沖縄市と北谷町との連携も視野に調整する考え。

 同日の町基地対策特別委員会では、委員から「昨年6月にも嘉手納配備の報道があったにも関わらず、日本政府は聞いていないと覆い隠している。これ以上の負担は絶対に許せない。徹底的に抗議したい」「CV22はMV22より事故率がはるかに高い。ただでさえ嘉手納基地は危険な状況で、配備は耐えられない」などと、反発の声が噴出した。

 議会は11日の臨時会後、沖縄防衛局と米軍嘉手納基地第18航空団へ抗議行動する方向で調整している。」

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-01-10_43752

オスプレイゴリ押しはあまりにも非倫理的であり不合理だ/琉球新報から

2013-01-10 12:55:41 | 軍事
 沖縄の意見はなかなか伝わってこない。

 そこで沖縄の新聞の社説を定期的に転載していきます。

 今回はオスプレイの問題。

 鳩山氏の努力は正しかった。

 それを押しつぶしたアメリカと、その走狗である安倍政権。

 今回の選挙でも普天間とオスプレイを争点の中心に据えるべきだった。

 なぜそれさえできないのか?

 安部晋三は自国の市民の人命を差し出して、中国との対立激化に狂奔しているように見える。

 まともな判断といえるだろうか。

「オスプレイ/犯罪的な「犠牲」強要 日米中は戦略的対話を
2013年1月10日
 米政府が2年後をめどに、米空軍嘉手納基地に垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備を始める方針を固めた。同基地所属の特殊部隊向けに、10機程度の配備を完了させる計画とみられる。
 嘉手納基地周辺では米軍機の爆音が受忍限度を超え、裁判でも過去に2度「騒音」が違法と認定された。嘉手納基地へのオスプレイ配備は、住民の基本的人権、平穏な暮らしを脅かす愚行以外の何物でもない。普天間配備への県民の異議申し立てをも無視する暴挙であり、到底容認できない。日米両政府に、両基地へのオスプレイ配備の撤回を強く求めたい。

■恐怖からの自由

 「沖縄は先の戦争で捨て石になり、戦後は本土が嫌がる負担を背負わされ、ずっと沖縄だけで国を守らされてきた。これ以上の負担は『差別』という言葉すら柔らかい。これで事故が起きれば『犯罪』だ」。沖縄市青年団協議会の喜友名秀樹会長(31)の指摘だ。

 日米安全保障体制とは何なのか。沖縄に過重な基地負担を押し付けることの「犯罪性」についてどう考えるのか。安倍晋三首相、オバマ米大統領は答えてほしい。

 普天間、嘉手納両基地への配備計画が完全実施されれば、計30機以上が沖縄の空を入れ替わり立ち替わり、飛び交うことになる。

 オスプレイは墜落事故が絶えず、米メディアも「空飛ぶ恥」「未亡人製造機」と揶揄(やゆ)する。民主国家であれば、県民には事故の恐怖と騒音の苦痛を拒む権利、自由があるはずだ。それを保障できない政府なら民主主義を語る資格はない。

 このままでは沖縄はアジア太平洋地域で最大のオスプレイ拠点となる。全機が日本本土での低空飛行訓練の対象となり影響は全国に拡散する。「欠陥機」が常駐する沖縄で、日本全国で、外国軍機の事故の危険におびえる。そんな主権国家が世界のどこにあるのか。

 政治家や官僚、専門家を自任する人々が、沖縄の基地機能強化を当然視するのであればすぐにでも米軍基地の「応分の負担」を引き受けてもらいたい。自らは安全な場に身を置きながら日米同盟の大義を振りかざすことがいかに人の道に反するか、自覚すべきだ。

 為政者も国民も思い起こしてほしい。日本の美しい自然、ふるさとが日本国民のものであるように、沖縄の美しい海、空、土地は140万県民のものだ。日米地位協定によって特権的地位を保障された米軍が傍若無人な振る舞いを繰り返しているが、戦勝国と敗戦国の関係の延長線上にある不平等な協定とこれに基づく諸権利のありようは本来、決して正常ではない。

■戦わずして守る

 沖縄は米軍の事件・事故、米兵犯罪の掃きだめではない。これ以上、日米両国国民の安全と繁栄のための踏み台になるのは耐えられない。

 オバマ政権は軍備増強を進める中国をにらみ、アジア太平洋地域重視の国防戦略を進める。防衛省がもくろむ与那国島への自衛隊配備計画や下地島の軍事拠点化も、米戦略と連動している。中国へのけん制や朝鮮半島有事などを想定した米戦略は、軍の論理が突出している。民主国家の為政者は「軍の虜(とりこ)」になってはならない。

 外務省OBで元防衛大教授の孫崎享氏は「米国は財政難で軍事費の削減を迫られる中、中国との経済的な関係を重視し協調路線を選択していく。対中国ではこれまでの前方展開から後方配備に切り替え、抑止と防衛の負担を同盟国である日本側に肩代わりさせる『オフショア・バランシング』の戦略を進めていくだろう」と指摘する。

 世界1位、2位の経済大国である米中が協調路線を進み、そのはざまで日本は経済・軍事で中国と対立する。それが「平和国家日本」の持続的発展と国民の安全にかなう選択だとは到底思えない。

 米中両国との戦略的互恵関係の在り方を根本から見直し、戦わずして安全を確保する安保政策の新しい地平を切り開く。この点にこそ、この国の英知を集めるべきだ。


http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-201193-storytopic-11.html