白夜の炎

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医療と教育は社会発展の基礎-M.ムーア「シッコ」の感想

2015-07-02 14:16:48 |  北米
 ずいぶん前の映画だが、ムーアのシッコに触れておきたい。簡単に言うと、西欧の福祉国家が行っている医療と教育の無料化は、それぞれの社会の発展の基盤になっているということだ。

 病にかかった人間を捨て置けば路上で死ぬことになる。たとえ若者でもだ。映画で登場するフランスの青年は、アメリカで長く過ごし、病気になってやむなくフランスに帰る(保険がなかったためアメリカでは実際問題として医療を受けられない)。しかしフランスで、国が医療を負担して回復させ、国と企業が分担してゆったり3ヶ月の有給を与えると、本人は生まれ変わって、社会の担い手、企業の担い手として活躍できるのだ。

 保育や子育てにしてもそうだ。国が新米ママに子育て要員を派遣し、洗濯や食事作りを変わりに実行する。保育の質は高く安心できてしかも低廉。なるほどフランスの合計特種出生率が上がる訳だ。

 日本に金がない訳ではない。問題はそれをくだらないことに使い、それが社会に構造化されてしまっていることだ。それを転換しなければならない。教育、子育て、医療、老後、これにお金をかける。道路や地下を通す例の浮き上がる列車の話はなしにしよう。

 まず人材である。人を国という装置を使ってみんなで育てるという社会のあり方こそ、支え合う思いやりのある社会、国のあり方ではないだろうか。


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