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20世紀から21世紀への移行期にあたって、社会科学系の学者や研究者は「パラダイム(思考の枠組み)の転換」という言葉を好んで用います。
しかし、日本の政治や社会に大きな影響力を持つ社会科学系の学者の考え方の枠組みには、「資源・エネルギー・環境問題に関する十分な概念」が埋め込まれていないため、パラダイムの転換については、「20世紀型経済成長」の延長線上の議論に終始しています。このことは、小渕恵三内閣のときに組織された「経済戦略会議の提言の背景にある歴史的認識」にもあらわれています。
この会議のメンバーであった慶應義塾大学総合政策学部教授(当時)の竹中平蔵さんは、1999年の著書で、「経済戦略会議の歴史的認識」をつぎのように書いています。
この部分は、日本の21世紀社会がめざすべき方向を、経済戦略会議が示唆していると考えられる重要なメッセージです。
ここでとりあげた「経済戦略会議の歴史的認識」は、社会科学系の学者や研究者には説得力のある意見と映るかもしれません。しかし、「経済の持続的拡大」の延長上にある、古い考えではないでしょうか。ここに示された歴史的認識は大問題です。
経済活動の本質は「資源とエネルギーの利用の拡大であり、経済活動の拡大の結果必然的に生ずるのが環境問題である」と理解する私の環境論では、「環境問題は21世紀の市場システム経済(資本主義経済)を揺るがす人類共通の最大の問題」と位置づけられるのですが、日本の経済学者やエコノミストの多くには、そのような認識はほとんどありません。
彼らの環境問題に対する現状認識は、きわめて乏しく、彼らの21世紀前半を意識した経済論議は、いつもGDPに示された数値の拡大議論に終始している感があります。評論家や銀行系研究所のエコノミストの多くは、「金の流れ」だけで社会の動きを一面的に見ているので、20世紀型経済の議論の枠組みから抜け出ていないのです。
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