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4月10日から始めた「原発を考える」のシリーズも今日で10回目を迎えることになりました。原発の本質的な問題を考えるために、私はあえて、原発事故には触れませんでした。そして、4月10日のブログの最後に、次のように書きました。
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ここに掲げた論点は、原発の問題点として、電力会社の不祥事の問題は一切取り上げていません。私がここで議論したいことは原発の本質を議論するために、「原発が正常に稼働しており、原発に対する安全性向上に向けたさまざまな技術開発が常に着実に行われており、電力会社も真剣に対応している。情報公開は完全に確保され、電力会社の不祥事は一切ない。」という前提での議論です。
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★「原発」に対する私の結論
そして、原発に対する私の結論は、
たとえ上記のような条件が整っていたとしても、3月11日のブログ「新しい経済発展の道をめざして」と昨日のブログ「原発と持続可能な社会-その2」の最後に書きましたように、
火力発電と原発の増大は、ますます「持続可能な社会への軟着陸を難しくすることになる」ということです。
★原発トラブル
2007年3月30日に電力各社が経済産業省原子力安全・保安院に提出した報告書から、70年代から2001年にかけてさまざまな不祥事を繰り返していたことがわかります。
ですから、これまで検証してきた原発の本質に加えて、上の図表のような不祥事や事故の現状を考えると、原発は21世紀の持続可能な社会の電源としてふさわしくないことは明らかだと思います。
★「持続可能な社会」のエネルギー体系とは
それでは、「持続可能な社会」のエネルギー体系としては、どのようなエネルギー体系が望ましいのでしょうか。私は次のように考えます。
21世紀前半の社会を支える技術体系は、そのエネルギー体系に左右されます。20世紀に頂点を極めた近代工業の高い経済性は、「すぐれた技術力にある」と考えがちですが、これらの技術はすぐれた一次エネルギーである「石油」「石炭」「天然ガス」などの化石燃料や電力に支えられたもので、化石燃料が入手しにくくなれば、現在の高度な技術は役に立たなくなり、現在のような高い経済性は期待できないことを理解しなければなりません。
21世紀初頭のエネルギー政策で最優先すべき政策課題は、最終エネルギー消費を抑制する「省エネ政策」でなければなりません。ここで注意しなければならないのは、3月16日のブログ「環境効率性、そして、効率化と省エネの混同」と3月17日のブログ「日本はほんとうに省エネ国家なのか、評価基準の見直しを!」
で指摘しましたように、日本の省エネの概念が「効率化や原単位」をベースに考えていることです。この考えを改め、省エネの概念を 「最終エネルギー消費の削減」に変えなければなりません。
その上で、21世紀前半にめざすべき日本のエネルギー体系の構築にはつぎのような視点が必要です。
①現行のエネルギー体系のもとでは、投入したエネルギーのうち有効利用されているエネ
ルギーは3分の1で、残りの3分の2は廃熱として損失となっている。このエネルギー
体系そのものの改善なしに、需要に応じてエネルギー供給を増大させることは、環境へ
の人為的負荷をさらに高めることになる。したがって、まず現行のエネルギー体系を改
善し、省エネルギー化に努めて最終エネルギー消費を抑制する。
②そのうえで、既存の化石燃料や原発の利用を現状に凍結し、「新しいエネルギー利用技術
(燃料電池、コジェネレーション、ヒートポンプ、クリーン・エネルギー自動車など)」
や「自然エネルギー」で既存の化石燃料と原発を段階的に代替して(置き換えて)いく。
③めざすべき目標は、ただ「自然エネルギー(再生可能なエネルギー)の導入促進」することではなく、21世紀の望ましい社会である「持続可能な社会」を支える、さらに進んで「再生可能なエネルギーによる新しいエネルギー体系の構築」である。
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