べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

ときにはぼくのことを

2007年01月05日 22時49分45秒 | 慕情

ときにはぼくのことを思い出しておくれ
ぼくがきみを想うほどでなくていいから
なにかの拍子にふと
思い出してくれるだけでいいんだよ
幼いころ口ずさんだ歌をふいに思い出すように
冬の陽だまりでお陽さまの暖かさを懐かしむように
なにげない日々の暮らしの中で
ふとぼくのことを思い出してほしいんだ

春にはうす紫に色づくレンゲ畑に目をほそめながら
またある夏の日は
青空に浮かぶちぎれ雲のゆくえに想いを馳せながら
きみの中からぼくが
きれいさっぱり消え失せてしまわないように
ときにはぼくのことを思い出してほしいんだ

たとえば風にふるえる色あせた木の葉に
そこはかとない哀愁を感じるように
たとえば初霜の降りた朝
冷たくかじかんだ手に白い息を吹きかけるように
静かに思い出してくれるだけでいいんだよ

ほんのわずかな時でいい
どうか少しは
ぼくのことを思い出してほしいんだ
きみの中でぼくが
小さな記憶のかけらとして在りつづけるために




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