べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

白いページ

2007年01月12日 21時38分33秒 | 慕情

ひきだしの奥で眠りつづけた一冊のノート
あなたのことを書きはじめ
あなたのことを書きつくせないまま
日々の記憶はその年の秋で途絶えています
静かにはじまった物語りは
やがてひそやかに終幕を迎えたのでした
そうして残されたページは白いまま
人知れずいくつもの季節を息づいてきたのです

色あせたノートを手にすると
遠く過ぎ去った日々が
まるできのうのことのように想い出されます
あふれるものを書きつくせないもどかしさ
書きたいことはたくさんあったはずなのに
あなたへの想いを綴るには
言葉はあまりにもむなしいものでした

あれからぼくの目の前を
どれくらいの年月がむなしく通り過ぎていったことでしょう
それでもぼくは
いまだ終止符を打つことができないでいるのです
残された白いページが
いまもひっそりと息づいているのを知っているから




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