べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

あなたとふたりこうしていると

2007年02月03日 13時06分03秒 | 慕情

青い青い空の下
ひろいひろい草原の真ん中に
ふたり肩をならべて腰をおろしていると
遥か ずっとずっと昔から
ここにこうしていたような気がします

もう ずいぶんと長い間
ぼくたちは深い沈黙を共有し
やすらかな静寂の中に身をおいています
いま
遠くに見えるあのなだらかな丘の上を
真っ白なちぎれ雲がひとつ
ゆっくりと
ゆるやかに流されていきます

きっとあなたの視線の先にも
あのちぎれ雲があるのでしょうね
ぼくにはわかります
あなたの横顔を見なくとも
なんとなく 
そのことがわかるのです
こうして並んで腰をおろしているだけで

知っていますか
あの空の
深い深い底の底では
いまも無数の星たちが
ささやき瞬いているのですよ
あまりにお陽さまがまぶしすぎて
ただぼくたちに
見えていないだけなんです

どこからか
小鳥たちのさえずりが聴こえてきますね
ときおり地上にも風が吹いて
草原は静かに波うつ海のようです
沈黙がそっと大気にとけこんで
あなたの胸の美しい鼓動が
すぐ耳もとで時を刻んでいます

やすらかな静寂と
あなたの胸の清らかな鼓動
いまこのとき
ぼくはたしかに
あなたのすべてを感じています
ここにただこうしているだけで

時が流れていくということは寂しいものですね
生きていくということはせつないものですね
それでも世界は思いのほか
やさしくできているということを
ぼくは深い沈黙の中で知ることができました

ひろいひろい草原の
遠くに見えるあのなだらかな丘の上を
真っ白なちぎれ雲がひとつ
ゆっくりと
ゆるやかに流されていきました

きっと
あの丘の上の
あの空のあたりに
風のとおり道があるのでしょうね
ひっそりと ひそやかに







☆絵:フレディック・バレイ☆
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