べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

静かな夜は舟を浮かべて

2007年01月23日 21時38分16秒 | 慰め種

いつにない静寂が
あたりを満たすこんな夜は
湖水に舟を浮かべてでかけましょう
今宵はつごもり
あいにく夜空にお月さまの姿は見あたらないけど
でも、安心おし
そのかわりまるで宝石を砕いて散りばめたような
満天の星空がぼくらを迎えてくれるから

いまはもう
きみの髪をやさしく梳かす風もやんで
じっと息をひそめているよ
湖面はまるで鏡のようになめらかに澄んで
毎夜おとぎ話を語りあう
小さな波さえ安らかな眠りについたようだね
水面(みなも)がきらきら輝いて見えるのは
夜空から降りそそぐ数限りない光の粒が
きらびやかな銀河の舞に興じているから

ほら、そっと耳をすましてごらん
聴こえてくるでしょう
星たちの奏でる夜想曲が
夜の闇のなんと慈愛に満ちていることか
花や樹や小鳥や虫や獣たちでさえも
おだやかな深い眠りにいざなわれるのだから

知っているかい
夜露は涙のしずくだってことを
だれもがみな
よろこびや哀しみを抱え
多くの想い出を身にまとって生きているから
清らかな眠りの中で
ひとりでに涙があふれてくるんだよ
そうして頬を濡らした涙のしずくは
透きとおった真珠のような夜露となって
夢の泉にこぼれ落ちてゆくんだね

あたりが深い静寂に満ちたこんな夜は
湖水に舟を浮かべてでかけましょう
あいにくお月さまの姿は見あたらないけど
でも、安心おし
星たちの奏でる音楽と夜のとばりが
ぼくらをやさしく包んでくれるから





☆絵:カイコ・モティ☆
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2 コメント

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この絵は (kaiko)
2008-12-10 10:43:34
通りすがりの者ですが、この絵の画家はカイコ・モティではありません。ギャルリー江夏の都合でカイコ・モティの頁に一時的に格納されていただけです。
返信する
ご指摘どーもです (べそかきアルルカン)
2008-12-12 19:24:40
ご指摘ありがとうございます。
アートにお詳しいんですネ。
では、いったいこの絵の作者は誰なんでしょー?
サインはあるよーなんですが。。。
返信する

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