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べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

きみの睫毛が濡れているのは

2009年09月20日 11時07分40秒 | 哀愁

季節の移ろいが
ぎこちなさを増したのは

愛することを知ったから
それとも
愛することをあきらめたから

何も信じられないと云いながら
それでもなお祈らずにはいられない

やわらかな微笑みの中に息づく
密やかな悲哀

ほんとうに美しいのは
言葉にできなかった想いなのに



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Sentimental

2009年09月13日 09時36分24秒 | 哀愁

空の青さと静けさが
淡い記憶を呼びさます

空の広さと寂しさが
閉ざした心に沁みてくる

空の深さと優しさが
虚ろな瞳を潤ませる

夏の終わりはなぜかしら
そこはかとなくうら哀しくて
秋のはじめはひとしおに
とりとめもなくせつないものです

せめてきみだけはいまも
しなやかな笑みを
絶やさないでいてくれればいいのだけれど




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背徳の祈り

2009年08月15日 09時12分54秒 | 哀愁

もしも
可哀想だと思うなら
うすく閉じたまぶたに唇づけて
そっとやさしく しなやかに

どこまでも
堕ちてみたいと思うなら
ふるえる爪先に唇づけて
甘く もっと淫らに

寄る辺ない二人の影をひとつに重ね
たおやかに 狂おしく 
恍惚のうねりに身悶えながら
凍えたふたつの魂がとけあうように 
ゆるやかに 深く さらに遠くへ
わたしを沈めて




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ゆうべあなたは気づかなかった

2009年07月18日 16時22分55秒 | 哀愁

ゆうべあなたは気づかなかった
夜空の片隅から一粒の星が
ひっそり零れ落ちていったのを

それはほんのささやかなことだけど
何かにとっては
かけがえのないたいせつな出来事

ゆうべあなたは気づかなかった
夜の静寂の中で
わたしの孤独がふるえていたのを





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たとえばそれは

2009年01月20日 22時44分43秒 | 哀愁

たとえばそれは
風に揺らめくオーロラの儚さ
たとえばそれは
深海の闇に灯るキャンドルのあかりの心もとなさ
たとえばそれは
泡となって弾けて消えた人魚のため息

やっとみつけた安らぎは
なんてもろく壊れやすいものなのでしょう

ガラスでできた心には
言葉はまるでさらさらと
指のすき間からこぼれ落ちてく砂のよう
ですからどうぞ
ほんの少しばかりの優しさと
心地よい沈黙をわたしにください

たとえばそれは
季節の狭間を舞い遊ぶ蝶々の翅の軽やかさのような






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失われた時

2008年12月07日 15時08分31秒 | 哀愁

錆びついて
動かなくなった短い針

歪んで
あらぬところを指し示す長い針

速くなったり遅くなったり
あるいはふと停まってしまったり

まるで速度のさだまらない感情の起伏
西陽にあたって色あせてしまった夢の断片

時の輪郭がぼやけてゆく

ふたりの恋の行方など
知りたくはないの




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どうしてこんなに

2008年12月04日 22時05分57秒 | 哀愁

澄みわたった空の明るさが
どうしてこんなに寂しいのでしょう

冷たい星の瞬きが
どうしてこんなに悲しいのでしょう

きょうまで歩んできた道を
ため息まじりに振り返ってみれば
まるで 淡く途切れがちな夢を
見ていたような気がします

ぽっかりあいた胸の空洞を
透明な風が吹き抜けることは
もうありません





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夜の雨にはmellowな曲を

2008年11月24日 19時48分41秒 | 哀愁

陽が落ちて
いつのころからか雨が降りはじめたようです
閉ざされた部屋の中にいても
それは微かな気配でわかるのです

わたしは夜の雨が好き

屋根や地面を激しく打ちつける
そんなどしゃ降りの雨じゃなくて
まるで忍び泣きでもするような静かな雨が
そう ちょうど今宵の雨のように

カーテンを少し開いてみると
無数の雫がか細い銀の糸をひいて
冷たい夜の底に降りそそいでいます

窓の硝子をつたい落ちる雨粒たちは
くっついたり離れたりしながら
いったいなにを囁きあっているのでしょう
ためしにそっと耳をかたむけてみても
もちろんなにも聴こえはしない

こんな優しい雨の夜は
灯りを落としたほの暗い部屋の中を
きれいな音楽で満たしてあげたくなるのです
雨粒たちの機嫌をそこねぬよう
あるいはそっとなぐさめるように 

ゆったりとしてやわらかくまろやかな
それでいて甘やかな
なんだかせつなくなるような
しっとりと美しく 
深く胸に沁み入るように心地よい
寂しい雨音にお似合いの
とってもとてもmellowな曲を



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さしたるわけもないのだけれど

2008年11月01日 13時42分23秒 | 哀愁

いつもの通いなれた道
朽ちかけた 
空き家の庭の隅の木に
だいだい色の実がなった
まるでそこだけ
ぽっとあかりが灯ったよう

ふと見上げれば
いつの間にか空はうんと高くなっていて
空気はひんやり冷たくなっておりました
とくにさしたる理由もないのだけれど
そのときわたしはなぜかしら
辺りのあまりの静けさに
小さな戸惑いをおぼえたのです




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霧雨の夜を漂いながら

2008年10月25日 20時15分51秒 | 哀愁

ひっそりと静まりかえった夜更けの街
砕け散ったビーズのような霧雨は
ゆくあてもなくさまよい歩くわたしの肌に
ひっそりまとわりついてくる
傘をさすほどのことはないけれど
まるで炭酸水の泡粒の飛沫の中にいるみたい

人影の絶えた通り
ぼんやりと闇に滲んだ街灯の薄あかり
濡れて艶めくアスファルト
凍えて立ちつくす街路樹
吹きだまりの枯葉と打ち捨てられた時間
モノクロームの戸惑い

繰り返し脳裏をよぎる不透明な旋律
覚醒する睡魔
色あせた唇に 蒼ざめた微笑 
すり切れた想い 繕いきれないほころび
剥がれ落ちそうな感情
あきらめと憔悴
甘やかな絶望 ゆがんだ陶酔 
麗しい傷痕と 芳しい静寂
こめかみに貼りついたほつれ毛

めまい

夜更けの街を漂いながら
探し求めてていたのは
わたしの居場所

そんなもの
どこにもありもしないのに







★絵:西岡千晶★    ↓ポチッっとね
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せめてきみの見る夢が

2008年10月11日 11時17分25秒 | 哀愁

頬を濡らして眠る
きみのそのしなやかな黒髪を
こうしてずっと慈しんでいたい
そうすればきみは夢を見るかもしれない
ゆらゆらと水底にゆらめく夢を
あるいはふわふわと軽やかに
深い霧の中を漂う夢を

なにもかも忘れさせてあげたいけれど
ぼくは成す術もなく
涙をためたきみのやわらかなまぶたに
ただそっと唇づけてみるしかないのです
せめてきみの見る夢が
おだやかな優しいものでありますようにと






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Bonnie&Clydeのように

2008年08月10日 17時02分48秒 | 哀愁

どこまでも落ちてゆこう
生きることも
死ぬことさえも叶わぬのなら

朽ち果ててしまったささやかな夢
声にならない孤独な叫び
明日を見失った寄る辺なき魂

どこまでも落ちてゆこう
愛することも
憎むことさえ許されないなら

この世のつまらぬしがらみを
すべて残らず断ち切って
美しく汚れた底なしの沼に
からみあうように身を沈めよう
深く深くひそやかに

ふるえる嗚咽
哀しい抱擁
かりそめの愛

月の満ち欠けにうねり狂う波のように
激しく静かに身もだえながら
凍えるような唇づけを
幾たびも 幾たびもかさねよう
永遠に醒めることのない香しい眠りが
ふたりを別つその日まで






★絵:レスリー・ゼレブ★↓ポチッっとね
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