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べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

奇跡から軌跡へ

2008年07月19日 22時12分12秒 | 哀愁

ややもすると
こうして出逢うことすら
なかったかもしれないのに
得てして
こんなものかもしれませんね
なにかが終わるときなんて

数十億年もの時を経て
ようやく出逢えたというのに
幾千光年もかかって
やっと地上にたどりついた星の光を
いまは語りかける言葉もみつからず
ただじっと
見つめ続けているだけなのですから





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サラ

2008年07月05日 15時26分07秒 | 哀愁

サラ
きみはきみの
やるせない生い立ちをなげいていたね

そしてサラ
きみはきみの身にまとわりつく不運を
ことのほか悲しんでいたよね

けれどサラ
きみは深い苦悩に満たされたやさしさで
やわらかな笑みを浮べていたっけ

そしてサラ
きみはその微笑みでもって
ぼくの胸に小さなあかりを灯してくれた

だからサラ
せめてぼくはぼくの祈りを
風にのせてきみに贈ろう

サラ サラ
ひっそり野に揺れる
花のような サラ






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そこにあるもの

2008年07月01日 21時15分04秒 | 哀愁

どうして背中を丸めているの
どうしてそんなにふし目がちなの
どうしてため息ばかりついてるの
あなたのその
哀しみのもとを深く辿ってごらんなさい
するとほら
きっとあなたも気づくはず
胸の奥底 暗がりに
小さな小さな愛の種がひとつ
ぽつんと落ちているということに







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そのあまりのあっけなさに

2008年06月25日 22時03分45秒 | 哀愁

幕が上がることもなく
物語は終演を迎えた
それは
どうにもならないことだったから

まだなにも始まっていないのに
なにもかもが終わってしまった
それは
許されることではなかったから

そのあまりのあっけなさに
まるで眠ってもいないのに
夢から醒めてしまったような心持がして
ぼくの中が虚ろになった







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喪失

2008年05月28日 21時33分39秒 | 哀愁

ここではないどこか遠くへ
行ってしまいたいと思いながら
どこへも行けないことには気づいていた
とにかく歩みを進めなければと考えながら
ゆく手になにもないことは知っていた
かといって立ちどまることも
後戻りすることも許されなかった
いっそこのままなにもかも
消えてなくなればいいのにと
心秘かにつぶやいてはみたものの
何も変わらないのはわかっていた
いつかどこかで
とてもたいせつな何かを
失くしてしまったような気がするけれど
それが何だったのかということさえ
いまとなっては思い出せない







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いつわりのことば

2008年05月18日 13時17分45秒 | 哀愁

どうせなら
もっと上手な作り話を聴かせてください
嘘をつくのに
あなたはなんて悲しい顔するの
わたしはいつも微笑んでいられる
自分のために流す涙は
とうのむかしに枯れ果ててしまったから
やさしい言葉もなぐさめも
そんなものは必要ありません
とるにたりない戯言なのだと知っているから
わたしのことならだいじょうぶ
傷つくことには慣れっこなのです
だからどうか
そんな見え透いた嘘で終わらせないで
わたしのことならご心配には及びません
おそらくきっとこれまで通り
生きていけると思うから







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だから なおさら

2008年05月07日 22時22分28秒 | 哀愁

とにもかくにも
なにもかにもが
曖昧模糊としているの
どんなにじっと見つめあっても
どれほど深く想っていても
あなたにわたしのすべてがわかるはずもなく
わたしもあなたを
理解しつくしてあげられはしない
やるせなく 
せつないことではあるけれど
とどのつまり
そういうことではないかしら
ひとはみな寄る辺なきもの
だから なおさら
なので なおさら









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小さなスプーン一杯分の

2008年04月20日 22時10分36秒 | 哀愁

そんな小さなスプーンじゃ
わたしの心はすくえない
静かに頬をつたい落ちる悲しみのひと雫を
ひっそりすくい取ることさへできません
あえなく散った想いのひとひらを
そっと受けとめることすら儘ならないのです
けれど あぁ どうか
わたしに情けをかけてください
ほんの少しでいいんです
その小さなスプーン一杯分の
ささやかな憐れみでよいのですから




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je t'aime

2008年04月02日 22時35分56秒 | 哀愁

蜜より甘いささやき
それは
いつわり? たわむれ? 勘ちがい?
それともただ
ぬぐい去れない寂しさを
まぎらわしかっただけなのかしら?
もちろん
永遠なんて信じちゃいなかったけど

倦怠 喪失 孤独
そんなことにはもう慣れっこ
けれど惰性は・・・・
ただ流されて生きていくのだけはいや
人生は儚いものだと知っている
だからせめて
美しく流されたい

je t'aime  je t'aime  je t'aime
蜜より甘いささやきの中に
真実なんてどこにもない






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あの胸の痛くなるような美しい奇跡の夜が

2008年02月20日 21時22分52秒 | 哀愁

あまく香る寝息
まつげに宿る淡い星影

あの夜
かたわらで眠る
きみのしなやかな黒髪は
月のしずくで濡れていた

額の描くたおやかな曲線
まだあどけなさの残るおだやかな
それでいてどこかしら悲哀をおびた
美しい横顔

愛おしさのあまり
ぼくはそっと口唇を押しあてた
薄くとじられたきみのまぶたに

うす暗がりの中に浮かんだ
やわらかな微笑みは夢みごこち

きみはぼくに寄り添ったまま
小さくなにかつぶやいた
けれどぼくはただ
きみの頬の温もりを
しっとり胸に感じていただけ

押し寄せる波
しなやかなうねり
ぼくらの輪郭はしだいに闇にほどけて
やがてひとつの影になった

はかなげな吐息
途切れがちな睦言

出逢ったばかりのぼくらは
互いの耳もとで
その日はじめて知った名前を
何度も何度も囁きかわした

つい先ほどまで
見知らぬどうしだったふたりにとって
言葉はなんの意味ももたなかった

戸惑い うるおい
そして やすらぎ
まるで
奇跡のように美しい夜の出来事

ひとときの逢瀬
瞬く間の夢
一夜かぎりの愛

けれどたしかにあの刹那
ぼくらの魂はとけあった
いつわりのない真心で
ぼくらは一瞬の愛をかさねあわせた

互いの寂しさを確かめあうように
傷ついた心にわだかまる
哀しみをわかちあうように

ゆきずりのふたりがささげあい 
静かに求めあった
かりそめの夜

なのに いまもときおり
乾いたぼくの口唇から
ため息まじりにふと
きみの名がこぼれ落ちてしまうことがある

いたたまれなくなるほど狂おしく
心がむせび泣くほどやるせないのは
もう二度とふたたび
きみに逢えないとわかっているから

あの胸の痛くなるような美しい奇跡の夜が
二度とふたたび訪れないと知っているから







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あのささやかなひとときを

2008年02月11日 17時28分17秒 | 哀愁

その愛らしい耳もとで
ふっともらしたぼくの言葉に
きみは小さく微笑んだ
まるで
春の訪れを待ちわびて
ほんのり色づいた蕾のように
きみの唇がほころんだ

ぼくの冷たい指先が
はじめてその黒髪にふれたとき
きみはぼくを見つめてた
まるで
すべてをふうわり包みこむ
陽だまりのようなまなざしで
やさしくぼくを見つめてた

あのおだやかで心安らぐひとときを
ふたりでそっと
積み重ねていければよかったのに
あのささやかな幸せのときを
ふたりでずっと
過ごしていければよかったのにね

いまはもう
きみの鼓動が聴こえない
いまはもう
ぼくの心の叫びがとどかない







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匂い袋

2008年01月13日 10時25分15秒 | 哀愁

抽き出しをあけると
ほのかに香りたつのは
お土産にもらった匂い袋
それはまだあのひとが
優しかった頃の想い出の品

雅で愛らしい
その小さな袋を
そっと手のひらにのせてみる
するとほら
わたしの胸がキュンと鳴く







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さだめ

2007年11月03日 20時18分08秒 | 哀愁

ひとは
孤独にたえきれなくなって
虚ろな愛にすがってしまうのでしょうか

ひとは
寂しさに押しつぶされそうになって
凍えるような温もりを求めてしまうのでしょうか

泣き叫びながらこの世に生まれて
孤独を噛みしめながら消え去っていくのが
ひとの運命(さだめ)であるはずなのに








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だから、ねぇ、もう少しだけ

2007年10月17日 22時11分13秒 | 哀愁

だから、ねぇ、もう少しだけ
このまま手をつないでいよう
きょうまでふたり歩んできた道も
季節がかさなればいつの日か
落ち葉にかくれて見えなくなってしまうから
だから、ねぇ、もう少しの間だけ
こうして手をつないだまま
ふたり並んで時を過ごそう

ぼくらの時間が永遠だなんて思わないで
そんなの哀しい幻想にすぎないのだから
いまはただ
こうしてからめた指先で
きみを感じていたいんだ
だから、ねぇ、もう少しの間だけ
手をつないだままでいよう
もう少しだけ もう少しの間だけ

きょうまでふたり築いた想い出も
幾度も季節がくり返すうちに
いつか消え去ってしまうから
だから、ねぇ、もう少しの間だけ
このまま手をつないでいよう
悲しいことはできるだけ先のばしにして
だから、ねぇ、もう少しだけ
もう少しの間だけ 手をつないでいよう

涙の流しかたを思い出すまで







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