脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

アルウィンという祝祭空間

2009年12月08日 | 脚で語る地域リーグ
 目の前に広がるガンズグリーン。そしてそれに埋め尽くされる素晴らしいスタジアム。松本は熱狂し、マイチームの輝かしい歴史の一幕に酔いしれた。

 

 これまで上高地や美ヶ原温泉など何度も足を運びながら、3年ぶりに松本の地を訪れた。こんなにサッカーに燃えている街になっているとは思わなかった。初めて訪れたアルウィンは松本山雅を愛する人々の祝祭空間。そこには老若男女がサッカーを通じて一つになっている光景が広がる。
 朝早くからアルウィンの開門を心待ちにする列の先頭の子供たち。首にはガンズのタオルマフラー。いざ門が開けば、無料試合でチケットもないのに一目散に行列が走り出す。夜になれば、街で人々は酒を飲み交わしながら愛するガンズの話題で盛り上がる。昇格が決まれば、即座に配布される地元新聞の号外。優勝した瞬間に「昇格」の二文字が「優勝」に改められて再び号外配布が始まる。昇格が決まった翌日に地元の百貨店は昇格記念セールを始めたそうだ。しかし、ここはまだJリーグクラブのある街ではない。まだようやく3部への切符を手にしたばかりなのだ。

 

 プロスポーツとは無縁であった人口22万のこの街にようやく人々が熱狂できる存在が生まれた。スタジアムに駆けつける誰もが松本山雅のことを話し出したら止まらない。松本のアイデンティティを表象するターミガンズはすっかり人々の心そのもの。まさにOne Soul。

 
 
 これからチームはもっと強く、逞しくなるのだろう。これだけのサポーターが付いているのだ。来年またもっと強く、逞しくなった松本山雅が見られることを楽しみにしている。現地でお会いした松本の皆さんにまた会えることも楽しみにしながら。