脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

鳥取、Jへの挑戦は続く

2009年12月01日 | 脚で語るJFL
 JFLは今季の全日程が終了。SAGAWA SHIGA FCが王者に返り咲き、ニューウェーブ北九州(来季よりギラヴァンツ北九州に改称)が4位以内に食い込んでJ参入内定を勝ち取った。そして、この日曜の最終節はやはりガイナーレ鳥取がJ参入条件の4位以内でフィニッシュできるか否かに大きな注目が集まった。

  
  8月2日後期第5節VS SAGAWA SHIGA FCにて

 ちょうど関西学生リーグの最終節を観戦しながら、東山で行われている鳥取の試合経過を気になってしょうがなかった。相手はV・ファーレン長崎、試合は前半の時点で長崎がリードする展開。裏で4位・ソニー仙台が同じく同時刻で試合を行っているため、そこでソニー仙台が勝利すれば鳥取は勝利してもJ参入条件の4位以内を確保できないことになる。結局、鳥取は逆転で長崎を下したものの、ソニー仙台がジェフリザーブズに勝利したため、来季のJ参入は夢に終わってしまった。試合に勝利したとはいえ、決して喜ぶこともままならないスタジアムの雰囲気を考えると、何とも言えない気持ちになる。現地を取材されていた宇都宮徹壱氏のツイッターに試合終了後の主将・吉野による挨拶の動画がアップされていたが、サポーターに声にならない声を絞り出す姿とその言葉を静かに聞くサポーターのやりとりが印象的だった。

 かなり以前のSC鳥取時代から地元の日本海新聞などが積極的にチームのJFLでの戦いぶりを取り上げていた。仕事で山陰地方に行った際にたまに見かけていたものである。そういえば、昨年に鳥取でタクシーを利用した際も運転手がしっかりチームの存在を知っており、「とりぎんバードじゃ米子みたいに人が集まらない」と東西に広い鳥取県ならではの苦悩がうかがえる話も聞いたものだ。Jリーグ参入挑戦を公言して足かけ5年。今季は序盤戦で首位を独走しながら、中盤戦の3ヵ月11試合で4連敗を含む7敗を喫してしまったことが急ブレーキに。リーグ最多得点の攻撃陣を擁し、もうあと少しまで迫ったJリーグへの道だったが、再びスタートラインに引き戻されることになってしまった。

  

 今季、鳥取にお目にかかれたのは佐川守山での1試合だけだったが、思えば1点差で負けていながら最後の最後で得たPKのチャンスをハメドが外してしまった非常に残念な試合であった。この目で観ているだけにあそこであのPKが決まっていれば、また違う流れになったのかもしれないと、この結果を知った際にふと思い出してしまった。

 なかなか大都市圏からのアクセスも不便である山陰地方からJリーグクラブを生み出す。このチャレンジだけでもどれだけ困難が伴うことか。おそらく最も熱くなっていた地元の人々にとっては忘れられない本当に悔しい試合になってしまったはずだ。しかし、ラストチャンスという訳ではないはず。昨年あたりから問題視されている債務超過の運営面もしっかり建て直して、再び県民を熱くさせる戦いを続けて欲しい。これからもずっと、鳥取の戦いは他の地域クラブの大きな励みになっていくはずである。