脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

サッカーが与えてくれる希望と力

2008年12月21日 | 脚で語るJリーグ
 昨日行われた天皇杯準々決勝にて、J2勢で勝ち残っていた鳥栖が横浜FMに完敗。広島も柏に惜敗を喫し、これでベスト4はJ1勢で占められることになった(25日に未消化のG大阪VS名古屋が行われる)。

 昨季はJ2降格が決まった広島が意地を見せて準優勝を遂げた。今季は、大分と神戸を撃破した鳥栖がどこまで躍進するか個人的に注目していたが、現実は厳しかった。ホームベストアメニティスタジアムの大声援を背中に受け、横浜FM相手に天皇杯で絶好調のFW廣瀬が先制点を挙げるも、1-3と力尽きた。前半と後半の終了直後に失点を重ねたのが大きかったが、鳥栖は健闘したといえるだろう。こんなチャンスはそんなにあるわけではない。格上の相手に挑戦する場所がホームだったことは地元の人々にとっても非常に有意義だったはずだ。

 彼らと同じカテゴリーに属する湘南を破った北信越リーグの松本山雅、その松本山雅を粉砕した神戸に圧勝した鳥栖。カテゴリーこそ違えど、非常に印象的だったのは地域クラブの奮闘。今こそ彼らローカルクラブの頑張りには、活況さの失せた日本経済に活力を与えるささやかな希望を見出したくなる。

 今年の秋以降、米国のサブプライムローン問題を背景に、世界的金融恐慌は日本にも暗い影を落としている。昨日内示された財務省原案によれば、一般会計総額や歳出規模は2009年度では過去最大の規模となり、税収の落ち込みぶりを示す新規国債発行額は4年ぶりに30兆円を超えるという。契約社員をはじめ、大幅な人員整理があちこちで行われ、特にF1からホンダが撤退、WRCからスバルが撤退するなど自動車産業は地に墜ちつつある。
 もちろん、これらの影響は日本各地のサッカークラブにも降り注いでいる。特に岐阜などはスポンサーが集わず経営不振が深刻で、大半のレギュラー選手が契約更新をされずチームを去る事態になっている。今季ようやくJ参入を果たした彼らを応援していたサポーターにとって、その功績を称えるべき選手がたった1年でほとんどいなくなってしまう事実は何とも聞くに忍びない。

 活力を失った人々に、元気を失った社会にサッカーが少しでも力を与えられたらとは思う。自分たちの地域に応援できるクラブのある人たちは幸せなのかもしれない。また、応援できるクラブがなくても、現在開催されているクラブワールドカップなどを現地やテレビで観戦して、“非日常”的な熱狂に身を委ねられる人は幸せなのかもしれない。これらはサッカーだけでなく、プロスポーツが持つ重要な使命だ。
 特にサッカーは、日本の頂に、世界の頂に最下層からでもチャレンジしていけるスポーツである。名もないチームが世界の強豪にチャレンジできる、地域クラブがプロクラブにチャレンジできる、そこに生まれる熱狂を享受できる人々の分母は限りなく広い。ローカルからナショナルまで、サッカーが与えてくれる歓喜は普遍かつ不変だ。

 今後、Jリーグクラブだけではなく、カテゴリー問わず地域クラブの頑張りは問われる。地元に応援できるクラブがあることを少しでも知ってもらえたら、そしてそれが少しでもその人たちの活力になれば、クラブの存在意義は示されている証だ。
 この天皇杯で、松本山雅は、そして鳥栖は、そんな存在として人々にどれだけ歓喜を与えたのだろうか。そして、今日のG大阪は、日本にどれだけの歓喜を与えられるだろうか。

 いつでもサッカーには希望を、活力を見出せる。

FIFA CWC 5位決定戦 アルアハリVSアデレード・ユナイテッド

2008年12月20日 | 脚で語る欧州・海外
 G大阪とマンチェスター・Uの試合が行われる前に、5位決定戦のアルアハリVSアデレード・ユナイテッドが行われていた。0-1でアデレードが勝利し、5位の座を勝ち取った。

 
 

 アデレードは、7分に左サイドでボールを受けたFWクリスティアーノが一気にドリブルで持ち込み、決勝点となる鮮やかなシュートを決めた。その後は守りに徹したアデレードが完封試合で逃げ切った。G大阪と計3度の対峙、世界との真剣勝負の場を経験した彼らにとって、今季は実りのある1年になったはずだ。

 
 
 FWクリスティアーノが果敢に左サイドを突破する

 
 7分、アデレードがクリスティアーノのゴールで先制する

 彼らは、2003年に設立された新しいチームだ。Aリーグ開幕以前にあったオーストラリアン・ナショナル・サッカーリーグ(NSL)におけるアデレード・シティの撤退により、急遽チームが組織された。その際にはプレミナリー・ファイナル(グランドファイナルまでのプレーオフ)まで進出するなど及第点以上の活躍。2004年11月に開幕したAリーグから参加している数少ないチームである。2年連続のAFCチャンピオンズリーグ出場となった今季は、準優勝という結果を残し、クラブワールドカップへの切符を掴んだ。サラリーキャップ制度(チーム全員の年俸合計はA$180万以下)というAリーグ特有の規則に縛られている彼らにとって、今大会で5位入賞は大きな意味を持っている。

 
 ピッチ上のリーダーとして勝利に貢献したDFオグネノブスキ

 
 GKガレコビッチも好守で勝利を手繰り寄せた

 G大阪との3度に渡る真剣勝負は、彼らを逞しくした。アルアハリ戦でも球際におけるプレーの集中度はアデレードが勝っており、左SBのジェイミーソン、CBのオグネノブスキ、そして最後尾で好プレーを見せた守護神のガレコビッチの奮闘は印象的だった。G大阪に完封負けを3度味あわされ、エースの自覚を再確認したであろうクリスティアーノが値千金の決勝弾を奪ったことも大きかった。

 試合中は、G大阪サポーターからも声援が送られていた。スタンドは、“メインイベント”前ともあって、閑散としていたが、彼らの5位という成績には拍手を送るべきだ。アデレードから駆けつけたサポーターの数は少なかったが、ちょうど1ヶ月前に現地で知り合い、多くの交友を深めたサポーターの彼らが本国で見つめていたであろう。日本に来ながら、チケットを入手できずにスタジアムに入れなかった人たちもいるという。クラブワールドカップは彼らのインターナショナルな場でのアイデンティティを構築する貴重な場となっていることを感じた。

 1907年創立の古豪、アフリカきっての名門クラブ、アルアハリは残念な結果に終わった。2年前にはこの大会で3位に入っており、彼らも今後、アフリカの代表的なクラブとして再起することを期待したい。

 
 
 
 FWアブトレイカのFKは惜しくも決まらず

 
 機を見た攻め上がりでチャンスを作ったDFゴマ 

 さて、明日はG大阪がパチューカとの3位決定戦に挑む。会場が日本であるならば、雰囲気としては、決勝戦よりもこっちが“メインイベント”にならなければならないところだが、メディアスペクタクルの象徴ともいえるこの大会。日本で行われながらも、残念ながらそういうわけにもいかないのは事実。そこは頭から除いて、G大阪の世界3位入賞を切に願うばかりだ。

赤い悪魔に突き立てた刃 ~FIFA CWC VSマンチェスター・ユナイテッド~

2008年12月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 G大阪、クラブ史上最大の決戦を迎えた。FIFAクラブワールドカップ準決勝において、欧州王者マンチェスター・ユナイテッドと対戦。3-5と実力の差を見せつけられるも、終始G大阪らしいアグレッシブな攻撃姿勢を貫き、スタジアムを沸かせた。

 
 
 世界中から集まった報道陣の数が試合の注目度を物語る

 実にスペクタクルに富んだ最高の試合となった。67,618人の観衆を集めた横浜国際総合競技場を凄まじい歓声が包み込む。9年ぶりのマンチェスター・Uを多くのファンが心待ちにしていた証だ。G大阪サポーターの声援がかき消される。おそらくクラブ史上最高の力を誇る欧州王者にG大阪がどこまでJリーグの誇りを見せつけられるか。観客の大半が赤いユニフォームなどに身を彩る独特の雰囲気の中で試合は始まった。

 
 
 会場の注目は、2008年度のバロンドールを受賞したC・ロナウドに集中

 テベスを1トップに据え、ボランチにスコールズとアンデルソン、両翼は右にバロンドールのC・ロナウドと左にナニ。中央にギグスを置くマンチェスター・Uに対して、G大阪は、4-2-2-2ともいえる布陣。山崎をCF気味の高い位置に据え、セカンドトップに播戸、ルーカスを左、橋本を右に置き、遠藤を明神とのコンビで中盤の底に配置した。

 
 
 

 前半からアグレッシブに勢いを見せたG大阪。3分に橋本が中央で落として明神がミドルシュート、4分には左サイドを駆け上がった安田理がネビルをかわして豪快にゴールを狙うなど、立ち上がりは非常に果敢な姿勢が目立つ。11分の播戸の決定的なチャンスにも象徴されるように、播戸と山崎が相手DFラインの裏を狙い、ルーカスは少し下がった位置でボールを引き出す。明神と橋本も果敢に遠藤をサポートして前線に顔を出した。“これ以上の相手はない”と言わんばかりに選手たちの気持ちがピッチに溢れていた。

 
 C・ロナウドからボールを奪う遠藤
 
 
 
 世界を震撼させる強烈なFKが牙を剥く

 しかし、マンチェスター・Uは冷静だった。ほぼベストメンバーの守備陣は焦ることなく抜群の連携でG大阪の攻撃をやり過ごす。中盤では、攻撃的なアンデルソンが果敢にプレスをかけてくることで、ボール奪取の際にテベスとギグスがボールを受けやすく、一瞬の隙でサイドのC・ロナウドとナニにボールが渡る。G大阪に対して手探りの状態ながら、攻守のおける緩急は流石だった。

 
 明神と中澤がナニとテベスをマーク 緊迫感漂う攻防 

 26分、右サイドでテベスからのボールを受けたC・ロナウドの突破を許し、一気にシュートまで持ち込まれる。山口が体に当ててこれをクリアするが、このCKを蹴ったギグスのキックにヴィディッチに頭で合わされ先制点を奪われた。CKを奪うまでのプロセス、セットプレーの連携、全てにおいて彼らの完成度の高さを感じた瞬間だった。

 
 
 27分、右CKからヴィディッチが頭で先制点
 
 
 アシストはクラブ通算最多出場記録を更新するギグス

 前半ロスタイムには、エリア内でテベスに粘られ、シュートをかろうじてクリアするが、これによって相手に与えたCKを今度はC・ロナウドに頭で決められる。何とか前半を0-1で折り返したかったところだったが、先制点を決めたヴィディッチを囮にして背後から高い跳躍を見せたC・ロナウドのヘディングシュートに誰も対応できなかった。

 
 
 高さを併せ持つ反則性 これがバロンドール!C・ロナウドが2点目を奪う

 後半も全く臆することなく攻撃を仕掛けるG大阪。欧州王者に高いポゼッションを見せる。64分には遠藤がFKをわずかにファン・デルサルにセーブされるなど、徐々に彼らをナーバスにしていく。73分にマンチェスター・Uがテベスに代わってルーニーを投入したその直後、遠藤のスルーパスに走り込んだ橋本が中央に折り返し、山崎が1点を返す。欧州王者を相手に1点差に詰め寄ったこの瞬間、スタジアムを強烈な歓声が包み込むが、それは皮肉にも途切れることはなかった。
 その直後、フレッチャーのフィードに走り込んだルーニーにファーストタッチでのゴールを決められてしまう。中澤を瞬時に抜き去るテクニックは流石。ゴールを前にして彼の恐るべき集中力が追い上げムードのG大阪に容赦なく牙を剥いた。
 77分にはナニとのワンツーで左サイドを突破したエブラのクロスにフレッチャーのヘッドを許し、4失点目。1分後には、ナニの攻め上がりからギグスがダイレクトで繋いでルーニーに再び決められる。1-5というスコアに世界の高い壁を誰もが感じた一瞬だった。

 
 山崎がエリア内で突破を試みる 果敢に高い位置で勝負した
 
 
 マンチェスター・Uはルーニーをテベスに代えて投入
 
 
 その直後、山崎が渾身のシュートを決めて1点差に迫る

 
 赤い悪魔が本気になった ルーニーがファーストタッチでゴール

 
 攻撃のてを緩めないマンチェスター・Uを相手に中澤は必死のクリア

 
 交代出場のフレッチャーが4点目となるゴール 簡単に得点を奪う

 
 ルーニーがダメ押しの5点目 規格外の“違い”を見せつける

 G大阪は挫けなかった。むしろ彼らの見所はここからというべきだった。82分に左サイドに開いてボールを受けた播戸のクロスからエリア内でネビルのハンドを誘う。PK職人の見せ場到来にスタジアムが沸き返った。GKファン・デルサルに反応されながらも、遠藤の力強い“コロコロ”で2点目を返すことに成功。さらにロスタイムに入ったところで、相手のパスミスをハーフライン付近で奪った山口が一気にルーカスへパスを通す。相手の左SBエブラが前がかりになっているところを走り込んだ橋本にルーカスからボールが渡ると、渾身の右足シュートがゴールに吸い込まれた。

 
 
 
 
 83分、遠藤のPKがファン・デルサルを打ち破る
 
 マンチェスター・Uにとって最多失点タイとなる3得点の奪取は、世界にG大阪の存在を知らしめるには十分だった。タイムアップの笛が吹かれる頃には、欧州王者目当ての観客の多くに、G大阪の衝撃を上塗りできたのではないだろうか。世界の壁を実感すると同時に、感じた手応え。悔しさの中にも何か清々しいものが込み上げてきた。点差こそ開いたが、昨季の浦和が自分たちのスタイルをミランに見せつける戦いをしたように、G大阪も“らしさ”を前面に出すことができた。

 

 15年間見てきたG大阪の姿は、この夜ハイライトを迎えた。欧州王者を本気にさせたG大阪。まだまだ強くなる。この経験を糧に誇り高く、世界3位を目指して、最後までこの大会を戦う。赤い悪魔に傷を負わせた刃の鋭さは本物だ。

マンチェスター・ユナイテッドの風景

2008年12月18日 | 脚で語る欧州・海外
 
 50年代後半に在籍した北アイルランド代表GKハリー・グレッグ
 しかし、クラブ史ではレイ・ウッドの方が名を残している
 (1958年のスウェーデンW杯より)
 
 
 ジョージ・ベスト 彼抜きにマンチェスター・Uは語れない
 (1971年 イングランドフットボールリーグ チェルシー戦)

 
 1968年にバロンドールを受賞したベスト 愛称は「エル・ビートル」
 40年後、C・ロナウドも受賞 彼はやはりベストの再来か

 
 闘志をむき出しに激しく詰め寄るロイ・キーン
 マンチェスター・Uへの移籍金は当時国内最高額
 (写真は、1996年FA杯決勝 リバプール戦)

 
 デビューは1991年、ライアン・ギグスはクラブの象徴だ
 (1993年の南アフリカツアー時の一コマ)

 
 90年代のクラブの栄光を支えた左SB、デニス・アーウィン
 オールド・トラッフォードでサポーターに囲まれる

 
 99-00シーズンのCL決勝はロスタイムで劇的な逆転勝利
 プレミア、FAカップも制してトレブルを達成

 
 世界中を席巻する彼らのグッズ
 (写真はオールド・トラッフォード外のメガストア)

 
 前身ニュートン・ヒースLYRの創設から130年 世界中がその虜だ
 (写真はユニフォームに身を包むジンバブエの子供たち)

 
 チームを率いて22年になるサー・アレックス・ファーガソン

<出典:TIM GLYNNE-JONES 「Game of two halves」 Football Yesterday & Today Foreword by BRIAN CLOUGH 2003年 CARLTON>

THEATRE OF DREAMS

2008年12月17日 | 脚で語る欧州・海外
 どこまでG大阪のスタイルが見せられるか。チーム史上最高の大舞台が迫ってきた。対するは、名実共に世界に名を馳せる欧州王者、マンチェスター・ユナイテッド。至極の戦いを翌日に控え、興奮が収まらないのは正直な心境だ。

 「ガンバのスタイルは把握した」
今日の記者会見で、サー・アレックス・ファーガソン監督はこう話した。昨日の朝にアデレード戦のVTRをじっくり観たようで、頭の中にG大阪のイメージを十分描いているようだ。それだけでも普段から考えればあり得ないことなのだが、彼の目には果たしてG大阪のサッカーはどう映ったのだろうか。

 限りなくG大阪は分が悪い。先日のアデレード戦で佐々木を負傷で失い、故障箇所を痛めた二川もフルでの参戦は難しそうだ。それでも、サッカーの不確定な競技特性を考えれば、何が起こるか分からないといえよう。世界をひっくり返す“ジャイアントキリング”を目指して欲しい。

 明日のマンUの布陣が気になるところ。今季の彼らは、9月のプレミア開幕以降、月を追うごとに安定感が増している。GKはファン・デルサル、DFは、CBをヴィディッチ、ファーディナンドの不動のコンビが壁を作り、左SBに屈指のスピードを持つエブラ、右SBは、ベテランのネビルになるだろう。ここで今季デビューを果たしたラファエルを起用するかどうかが注目点だが、ラファエルは恐ろしくスピードのある選手、個人的には経験よりも、勢いのあるラファエルに出てこられると、G大阪は左右のSBはほとんど上がれないだろうと考える。
 ボランチはフレッチャーとコンビを組むのはキャリックか。個人的にはやはりどこかのタイミングでギグスを見たいのだが、パス能力などの安定感を考えるとキャリック。そして、攻撃的に行くならば、アンデルソンになるだろう。左MFはおそらく彼らの鍵になる。C・ロナウドはおそらく先発であろうから、ナニが左MFに入るか。もしくは、ここにはパク・チソンも考えられる。
 そして屋台骨の前線は、CFにベルバトフ、セカンドトップにルーニーは間違いないだろう。テベスも控えているが、つい先日のストークシティ戦でダメ押しの5点目を決めた期待の若手FWウェルベックも個人的には注目する。

 彼らがこの大会に臨むのは、99年のトヨタカップ(当時)パルメイラス戦以来だ。この時に決勝点を決めたキーンのような“闘将”らしい選手こそ今のマンUにはいないかもしれないが、おそらく現在の彼らのチーム力はクラブ史上最高のもの。その彼らを本気にすることが、明日のG大阪の最初の仕事になるだろう。

 “THEATRE OF DREAMS”
かつて彼らのユニフォームに刻み込められていた刺繍の文字通り、明日我々がその「夢の劇場」の当事者になる。

豊田戦記 ~FIFA CWCの風景~

2008年12月16日 | 脚で語るガンバ大阪
 名鉄豊田市駅を降りると、駅前のロータリーを越えたところに数人の外国人らしき人たちの姿が見えた。さすがクラブワールドカップ、駅前で何かサッカー関係の告知活動かと思いきや、少し彼らの顔色が悪い。切実な表情で何かを訴えかけているようだ。ビラを受け取ってみると、書かれていたのは“トヨタが押しつぶす3つの罪”と題されたもの。フィリピントヨタにおける233人の不当解雇撤回を求めるものだった。

 今年度の当初比より、09年度において、約400億円にも上る大幅な法人市民税の減収が明らかになった豊田市。“トヨタ自動車の町”がそのトヨタをはじめ、市内に多く有する自動車関連企業の大幅な減益の影響を受けている。今年度当初予算の9割減に当たるこの数字は、予想以上に豊田の街に暗い影を落としているようだった。駅前の通りは、商店街になっていながら、どこか閑散とした雰囲気が立ち込め、人の流れはスタジアムへ向かうのみ。足早に歩みを進めるその人の列が止まるのは、時折見られる定番のレプリカユニフォームの外国人露天商とコンビニだけだ。

 このイベント自体を決勝まで豊田市で行えるものならば、少しは市も喜んだのだろう。そんな想いを抱きながら、どこかで食事ができればなどと考えながら、結局はスタジアムに着いてしまった。
 さすがにCWCとあって、決して関西から来た人ばかりではない印象は強い。子供たちを中心に、今からマンチェスター・Uのグッズを身に付けている人たちも目立つ。G大阪サポーターが集まる南側スタンドは、これから始まる世界へのチャレンジに試合前から色めき立っていた。

 ウルトラスナゴヤの方ともしばし話をする機会があったので、奈良クラブの話に花が咲く。奈良での矢部次郎(元名古屋)の活躍を話すと、非常に懐かしがって頂いた。楢崎、広野と現有の奈良出身GKにも話題が広がるなど、何かと奈良と名古屋には縁を感じる。日頃感じられない雰囲気がスタジアムに溢れていた。

 しかし、何度来ても、豊田スタジアムは素晴らしいスタジアムだなとしみじみ思う。2階席の傾斜はもちろん、掘り下げ式で作られるピッチとスタンドの距離も申し分ない。やはり屋根が閉じると、幾分か吹き込む風が少なくなり、寒さが緩和される。こんなスタジアムが自分たちの街にもあればなという妄想を抱かずにはいられない。このスタジアムも、豊田市の強い財政力の象徴として、2002年W杯開催を目標に作られたのだが、“共催”による試合会場の決戦投票の末、落選してしまった過去があった。矢作川に架かる豊田大橋から眺めると、強く、誇り高くそびえるスタジアムは、一転苦しい財政事情を強いられる豊田の街を見守る“女神”にも見えた。

 試合の方は、さすがにアデレードとは3度目の対戦ともあって、正直なところ、違うチームとの初戦を観たかったのは確かだ。とはいえ、3度の対戦中、最も緊迫した展開に非常に盛り上がった。スタンドからも“世界の舞台”を戦っている興奮がひしひしと伝わってきた。詰めかけた報道陣の数からも、この試合の重みが伝わり、“日本代表”としてのG大阪に熱視線を感じずにはいられない。“非日常的な興奮”がそこにはあった。

 今週の木曜には、マンチェスター・Uとの夢の対戦が実現する。昨年もさいたまシティカップで来日しているが、今回はどれだけの熱狂がもたらされるのだろうか。あと3日あるにも関わらず、今から興奮して止まない。確かに彼らには“世界一”という称号が良く似合うが、そこにいかに噛みつけるか。G大阪、世界への挑戦はハイライトを迎える。

真の赤い悪魔への挑戦権 ~FIFA CWC VSアデレード~

2008年12月15日 | 脚で語るガンバ大阪
 FIFAクラブワールドカップジャパン2008。アジアチャンピオンとして、このクラブ世界一を決める大きな舞台に立ったG大阪。ACL決勝から3度目の対峙となるアデレードユナイテッドと初戦を戦い、1-0で勝利。準決勝に進出、昨季のヨーロッパチャンピオンであるマンチェスター・ユナイテッドへの挑戦権を得た。

 

 

 

 さすがに3度目の対戦ともなれば、互いの手の内は明らか。G大阪は、ACL決勝時から板に付いてきた4-5-1の布陣を継続。ルーカスの1トップで臨むと、アデレードも右にドッド、左にカッシオ、中央にジエゴ、1トップにクリスティアーノを据え、少しでもミドルゾーンでのボールを収めようと意識してきた。
 序盤はアデレードが果敢にチャンスを作った。特に右サイドのドッドは、G大阪の安田理が飛び出していくタイミングを狙ってはチャンスへ繋げようと突いてくる。前半からこのドッドに山口がカバーリングでの対応を迫られる局面は何度かあった。14分には果敢にシュートを狙ってくるなど、両チーム共に、高い位置での応酬が見られた。

 
 4-5-1の布陣で最も活きるのは、遠藤ではないだろうか

 しかし、自力ではやはりアデレードを上回るG大阪。左サイドから安田理が得意の突破からリズムを生み出していく。先制点は時間の問題かと思われた20分にアクシデントは起こった。ゴール前でシュートを狙った佐々木が足を傷めて負傷交代。アデレードにしては、要注意プレイヤーが1人減ってホッとしたか。代わりに入ったのは播戸だったが、この采配がG大阪にとっては吉と出た。
 23分に左サイドからのボールを受けた明神が二川へパス。相手DFに間合いを詰められそうになるが、二川は巧みなループ気味のパスを前方へ送る。これを相手DFと競り合いながら播戸が頭で落とすと、競り合いで体制を崩したアデレードDFコーンスウェイトの後方から走りこんだ遠藤がシュート。シュートはGKガレコビッチの股を抜き、ネットを揺らした。

 
 周りに点を取らせるルーカスの1トップで世界の舞台に臨んだ

 
 20分、佐々木がまさかの負傷 交代を余儀なくされる

 
 23分、先制点は遠藤のシュート 播戸の粘りが生み出した

 
 投入直後の大仕事をやってのけた播戸とハイタッチ 息はピッタリだ

 ここで、後手に回るかと思われたが、アデレードもリスクを負いながら前がかりになる。その隙を二川や遠藤がG大阪のチャンスに繋げていく一進一退の攻防が続いた。39分には、二川のスルーパスに抜け出したルーカスが追加点かという場面で惜しくも足を滑らせ転倒。かと思えば、41分にはバーに救われたが、ドッドにあわや同点弾というヘディングシュートを食らうなど、早く追加点を決めて勝負を決めたい展開が続く。

 
 39分、ルーカスが決定的な場面を迎えるが転倒 追加点ならず

 
 41分、ドッドのヘディングシュートがG大阪ゴール強襲 バーに救われる

 
 絶妙のループパスで先制点をお膳立てした二川

 後半に入ると、既にアデレードが日本で1試合を消化しているせいか、運動量に差が出始めた。前半にも増して、G大阪がゴールに迫る回数は増える。51分に遠藤、53分にはルーカスが決定的なシュートを放つが追加点は遠い。
 81分に播戸に代えて山崎を投入。とどめの一撃を狙うが、二川が負傷している右足を傷めて交代。そこからロスタイムにかけてアデレードの猛攻を何とか凌ぎ切ったG大阪が無事に初戦を突破した。

 
 播戸とオグネノフスキのゴール前での攻防

 
 播戸がゴールを狙うが、GKガレコビッチが立ちはだかる

 
 控えから這い上がって掴んだ世界の舞台 中澤は気合いが入っていた

 G大阪にとっては、少し危なっかしい試合だった。やはり、カッシオとドッドの両翼に揺さぶられた印象は強い。しかし、高さで不利な面でも集中して良く守ったといえよう。攻守の切り替え時はさすがだった。守備面のタスクを厭わない明神、橋本のコンビとその前方でボールを待つ二川、遠藤が高い位置でプレーできる好循環は、何度やってもアデレードにはハマる。
 ACL決勝からの3試合目にして、アデレードは最もアグレッシブにG大阪ゴールに迫った。しかし、まだそこで勝負を分けるほどのストロングポイントを彼らは持ち合わせていなかった。前がかりになれば、守備面でのリスクを背負わなければならない。しかし、相手はG大阪。それを分かっていながらも、またやられてしまったという感じだろう。

 
 今季のJリーグ優秀選手にも選出 ゲーム主将の山口

 
 チャンスを決められないルーカス 少し焦りが見えたか

 
 アデレードの攻撃を高い位置で摘み取る橋本

 
 スクランブル出場の武井も奮闘

 
 “ACL男”から“CWC男”へ 山崎の大仕事にも期待したい

 さて、次は昨季の欧州王者、世界にその名を轟かせるマンチェスター・ユナイテッドとの対戦だ。極めて厳しい戦いになるのは承知の上だが、G大阪が失うものは何もない。プレシーズンマッチでもなく、実力で勝ち取った世界レベルのがチンコ勝負の機会を楽しまないわけにはいかない。G大阪が勝つ可能性がないわけではない。今こそサッカーも面白さと共に、その名を全世界に轟かせるチャンスは目の前までやってきた。迫真の戦いを期待したい。

 
 これ以上ない最高の舞台 この男の闘志に火が着かないわけがない

 
 マンチェスター・Uを相手に持ち味を見せられるか!?ガンバ大阪!

 ちなみに帰り道、アマラオとすれ違ったが、誰も気付いていなかったのが寂しかった。恐るべし!クラブワールドカップの雰囲気!

魂の圧勝劇!奈良クラブ準決勝進出! ~GL2節 VS 阪南パニックスFC~

2008年12月13日 | 脚で語る奈良クラブ
関西府県リーグ決勝大会
グループD
グループリーグ第2戦
14:00キックオフ @橿原公苑陸上競技場

○奈良クラブ 5-1 阪南パニックスFC (大阪府)●

得点
34分石田
39分石田
40分金城
57分橋垣戸
61分河合

<メンバー>
GK17村松
DF3上西、2梶村、22橋垣戸、11松野智(65分=4秋本)
MF16河合、6水越、18和阪、13金城
FW7石田(75分=5杉田)、14後山(55分=10松野正)

 

 今季最後となるホーム奈良・橿原で、関西リーグ昇格への大一番を迎えた奈良クラブ。大阪府リーグ2位の阪南パニックスに5-1で圧勝し、グループDの首位通過を決定させ、準決勝進出を決めた。

 

 12月とは思えぬ暖かい陽気に包まれた橿原公苑陸上競技場には、多くの観客が詰めかけた。奈良テレビも先日に引き続きの密着取材で、チームとサポーターを追いかける。これまでにない緊張感が戦いの重要性を物語っていた。

 
 奈良テレビさん、ありがとうございます

 
 奈良クラブを観にきてくださった方は多数 スタンドに雰囲気が出た

 序盤こそ相手のペースだったが、自分たちのリズムに乗れば奈良クラブは強い。前半から石田の2得点、金城のゴールで3-0とリードを広げ、前半を折り返すと、後半も攻撃の手を緩めることなく、橋垣戸、河合が加点。攻守に大一番のプレッシャーをはねのけてくれた。

 
 奈良クラブは、石田(7)をFWに、河合(16)を右MFで起用

 
 前半の序盤は手探りの応酬 相手のペースに攻めあぐねた

 
 体を張った守備とラインコントロールでラインを統率 DF梶村

 
 先制点を呼び込んだのはやはりこの男 MF和阪のクロスから

 
 34分、クロスに合わせた石田が先制ゴールを流し込む

 
 チームの3点目は金城のボレーシュート サイド突破の起点に

 
 後半に入っても決定機は作ることができた 追加点を奪いたい

 
 ゴールこそなかったが、大一番に先発で好アピール FW後山

 
 57分、ゴール前でフリーになった橋垣戸が4点目を押し込む

 
 61分にはDFラインの裏を抜け出した河合がダメ押しの5点目

 
 ライン際の攻防でも絶えず負けなかった

 
 彼のゴールが見たい エース松野正は途中出場で持ち味見せる

 
 ゴールラッシュにサポーターも燃えた! 選手と共に戦い続ける

 
 5-1で準決勝進出! スタンドと歓喜を分かつ

 
 試合後、インタビューを受ける主将のDF上西 昇格まであと2つ!

 最も警戒していたといっても過言ではない阪南パニックス相手に、奈良クラブは最高の結果を残した。準決勝からはノックアウトステージ。負ければ即終了だ。しかし、負けることなど考えずにチームは年明けの決勝の舞台、長居第2を目指す。4連勝での自動昇格を目標に、準決勝が行われる23日まで、しばしの切り替え期間だ。

 そして、この日の橿原公苑陸上競技場の雰囲気は素晴らしかった。徐々にではあるが、奈良クラブの存在が知れ渡り、奈良にもサッカーの息吹が芽生えつつあることを実感した。

関西府県リーグ決勝大会
準決勝
12月23日(祝・火) 14:00キックオフ
ビッグレイクCコート

奈良クラブ VS Bブロック1位(対戦相手未定)


奈良クラブ、奈良テレビの取材を受ける

2008年12月11日 | 脚で語る奈良クラブ
 負けられない府県リーグ決勝大会第2戦を土曜日に控え、YANAGI FIELDで調整を続ける奈良クラブに地元、奈良テレビが取材に駆けつけた。

 

 これまでに、チーム顔でもある矢部がコーチを務めていたジョインサッカースクール、そしてYANAGI FIELDの取り組みなど取材に訪れていた奈良テレビ。奈良クラブ単体としては、初の単独取材だけに、ホームでの大一番に向けて雰囲気が引き締まる。

 
 選手たちは平常心で普段通りトレーニングを続ける

 そんな経緯もあり、かなり以前から奈良クラブの動向には注目してくれていたとのこと。今回の大会で、次戦がホーム橿原での試合ということもあり、タイミングとしては最適だったようだ。

 
 山口監督のインタビュー

 地元メディアの熱視線は、チームにとっても好材料。少しでも県民の注目度が上がってくれることを願う。引き続き、奈良テレビは、13日(土)の阪南パニックス戦も取材予定で、来週15日(月)17時50分~の「ニュースアップなら」、そして夜のニュースの枠において取り上げる予定だという。

 
 チームの顔である矢部もインタビューを受ける

 
 チーム主将上西もインタビュー かなり緊張気味!?

 
 この大会のキーマン橋垣戸もインタビューに応じる

 
 さあ、この調子で土曜も勝利し、テレビから奈良県内に猛アピールだ!


府県リーグ決勝大会 
グループリーグ第2戦

12月13日(土) 14:00キックオフ

奈良クラブ VS 阪南パニックスFC (大阪府)

橿原公苑陸上競技場

プレミアリーグ酔夢譚 Week16

2008年12月10日 | 脚で語る欧州・海外
 ミドルクラスのチームとマンチェスター・Uの動向が気になるプレミアリーグ。16週は、4試合を私的にピックアップ。

 7日に行われたプレミアリーグ第16週、エバートンVSアストン・ビラは大味な試合になった。ヤクブを再び怪我で欠き、アニチェベとケイヒルを攻撃の軸に、ホームのグディソンパークでアストン・ビラに少しでもポイントで迫りたいエバートンだったが、開始1分、目の冷めるような攻撃からシドウェルのシュートで先制点を献上。バリーが中盤に復帰したビラが、幸先良く試合の主導権を握った。
 30分にエバートンはDFレスコットが同点ゴールを決めて試合を折り返したが、1-1で迎えた54分には、自陣でDFジェギエルカが痛恨のバックパスミス。これを左サイドから攻め上がったヤングがかっさらい、ビラが勝ち越し弾を奪う。そして、2-1でビラの勝利が濃厚かと思われた後半ロスタイム、エバートンがレスコットのこの2得点目となる同点弾をゴール前の粘りから奪う。沸きに沸き返るグディソンパークだったが、その直後に悪夢が待っていた。
 2得点の活躍を見せたレスコットが難なくDFラインの裏を取られてしまい、ヤングの独走を許すと、そのヤングが再び勝ち越し弾を奪って、勝負あり。ロスタイムに試合が二転三転する展開で、エバートンはポイントすら奪えず自滅。対するビラは、トップ4追走に大きな勝利を挙げたのだった。

 トップ4以外のチームで他に目を奪われたのは、やはりハルシティの復調だ。ミドルズブラをホームに迎えた一戦は、91年3月以来となる18年ぶりの対峙だったが、0-0で拮抗した展開で迎えた79分にFWトゥンジャイが右サイドを駆け上がったホイトのクロスを鮮やかにヒールで流し込んで先制。しかし、その直後にホームKCスタジアムの声援を一身に浴びた途中出場のメンディが右サイドを突破し、角度の無いところからシュートを放つと、これがGKに当たりゴール。85分には、ジオバンニの突破からエリア内でファウルをもらい、PKのチャンスにエース、キングが今季7得点目となる逆転ゴール。ラスト10分で驚異の逆転劇を演じたハルシティは、昇格組とは思わせない粘り強さを見せてくれた。
 90分で、ミドルズブラ相手に18本のシュートを放ったハルシティ。フィル・ブラウン監督がサンダーランドからのオファーを一蹴するなど、ここに来て再びチームの強い結束が見られる様子。ビラに次ぐ現在6位という戦績は決してフロックではないようだ。

 ここ9戦勝ち無しとインス監督の力量に不安視の声が止まないブラックバーンは、リバプールと対戦。F.トーレスとキーンを欠いているとはいえ、やはり相手は優勝候補のトップ4の一角。69分にシャビ・アロンソ、79分にベナユンにゴールを奪われると、85分にサンタクルスが意地の一発を返し、反撃の狼煙を上げたかと思いきや、ロスタイムにGKロビンソンのクリアをリエラに奪われ、難なくフリーのジェラードに決められて万事休す。これで10試合に渡って勝利に見放されたブラックバーン。順位も自動降格圏内の19位とまさに泥沼の様相を呈してきた。

 CWC出場のための来日を間近に控えるマンチェスター・Uは、キーン監督を木曜日に解任したサンダーランドを対戦したが、ヴィディッチの1点を守りきり、サー・アレックス・ファーガソン監督クラブ通算500勝目となる勝利をもぎ取る。相変わらず、前線でハードワークを厭わないルーニーと、負傷交代するもドリブルのキレは抜群のC・ロナウド。58分にはテベス、68分にはアンデルソンをギグスを同時投入し、攻撃体制を一新するなど、試合の駆け引きも超一流を感じさせる。特にいぶし銀のギグスは、チャンスを再三演出し、呼応するかのようにキャリックやアンデルソンらも前線に顔を出す。スコアこそ1-0ながら、改めて彼らの怖さを感じた先週土曜日の試合だった。

 盤石のチェルシーについては、別の機会にするとして、やはり、来日間近のマンチェスター・Uと、トップ4をどのチームが追走するかは、今季序盤から中盤にかけてのプレミアリーグの私的な見所だ。個人的にも前述のアストン・ビラ、ハルシティはもちろん、アダムス率いるポーツマスや30歳のブラードがイングランド代表復帰を匂わせる輝きを放つフルハムなどもこれからが楽しみだ。そのサッカー先進国の息吹を来週には、マンチェスター・Uを通じて、日本で少しでも味わえるのだから、これほど楽しみなことはない。