脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

FIFA CWC 5位決定戦 アルアハリVSアデレード・ユナイテッド

2008年12月20日 | 脚で語る欧州・海外
 G大阪とマンチェスター・Uの試合が行われる前に、5位決定戦のアルアハリVSアデレード・ユナイテッドが行われていた。0-1でアデレードが勝利し、5位の座を勝ち取った。

 
 

 アデレードは、7分に左サイドでボールを受けたFWクリスティアーノが一気にドリブルで持ち込み、決勝点となる鮮やかなシュートを決めた。その後は守りに徹したアデレードが完封試合で逃げ切った。G大阪と計3度の対峙、世界との真剣勝負の場を経験した彼らにとって、今季は実りのある1年になったはずだ。

 
 
 FWクリスティアーノが果敢に左サイドを突破する

 
 7分、アデレードがクリスティアーノのゴールで先制する

 彼らは、2003年に設立された新しいチームだ。Aリーグ開幕以前にあったオーストラリアン・ナショナル・サッカーリーグ(NSL)におけるアデレード・シティの撤退により、急遽チームが組織された。その際にはプレミナリー・ファイナル(グランドファイナルまでのプレーオフ)まで進出するなど及第点以上の活躍。2004年11月に開幕したAリーグから参加している数少ないチームである。2年連続のAFCチャンピオンズリーグ出場となった今季は、準優勝という結果を残し、クラブワールドカップへの切符を掴んだ。サラリーキャップ制度(チーム全員の年俸合計はA$180万以下)というAリーグ特有の規則に縛られている彼らにとって、今大会で5位入賞は大きな意味を持っている。

 
 ピッチ上のリーダーとして勝利に貢献したDFオグネノブスキ

 
 GKガレコビッチも好守で勝利を手繰り寄せた

 G大阪との3度に渡る真剣勝負は、彼らを逞しくした。アルアハリ戦でも球際におけるプレーの集中度はアデレードが勝っており、左SBのジェイミーソン、CBのオグネノブスキ、そして最後尾で好プレーを見せた守護神のガレコビッチの奮闘は印象的だった。G大阪に完封負けを3度味あわされ、エースの自覚を再確認したであろうクリスティアーノが値千金の決勝弾を奪ったことも大きかった。

 試合中は、G大阪サポーターからも声援が送られていた。スタンドは、“メインイベント”前ともあって、閑散としていたが、彼らの5位という成績には拍手を送るべきだ。アデレードから駆けつけたサポーターの数は少なかったが、ちょうど1ヶ月前に現地で知り合い、多くの交友を深めたサポーターの彼らが本国で見つめていたであろう。日本に来ながら、チケットを入手できずにスタジアムに入れなかった人たちもいるという。クラブワールドカップは彼らのインターナショナルな場でのアイデンティティを構築する貴重な場となっていることを感じた。

 1907年創立の古豪、アフリカきっての名門クラブ、アルアハリは残念な結果に終わった。2年前にはこの大会で3位に入っており、彼らも今後、アフリカの代表的なクラブとして再起することを期待したい。

 
 
 
 FWアブトレイカのFKは惜しくも決まらず

 
 機を見た攻め上がりでチャンスを作ったDFゴマ 

 さて、明日はG大阪がパチューカとの3位決定戦に挑む。会場が日本であるならば、雰囲気としては、決勝戦よりもこっちが“メインイベント”にならなければならないところだが、メディアスペクタクルの象徴ともいえるこの大会。日本で行われながらも、残念ながらそういうわけにもいかないのは事実。そこは頭から除いて、G大阪の世界3位入賞を切に願うばかりだ。