脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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一条、美しく散る ~第87回全国高校サッカー選手権開幕戦~

2008年12月30日 | 脚で語る高校サッカー
 第87回全国高校サッカー選手権大会がこの日、国立競技場にて開幕。開会式の後に行われた開幕戦では、奈良県代表の一条高校が茨城県代表の鹿島学園高校と激突。
 一条は、前半に先制し試合をリードしたが、後半に鹿島学園の猛攻を振り切れず、同点に追いつかれる。試合は互いに譲らずPK戦のもつれ込み、結果2-3で一条は惜しくも初戦敗退を喫してしまった。

 
 青空の下、盛大に行われた開会式

 
 飛行船「ツェッペリン号」も上空から見守る

 
 開幕戦の舞台に立った奈良県代表の一条高校 相手は鹿島学園高

 
 鹿島学園のMF工藤(3年)が一条のゴール前に迫る

 
 鹿島学園の主将阿渡(3年)が左サイドからクロスを上げる

 
 一条DF梶本(3年)が鹿島学園FW三橋(2年)をマーク

 一条、鹿島学園ともに2年ぶり4度目の出場となった全国の舞台。インターハイベスト16、プリンスリーグでも関東2部で4位という実績を残す鹿島学園に対して、一条はインターハイでも地区予選敗退。全国的にはほぼ無名といってもおかしくないイレブンたちは国立のピッチで躍動した。
 試合は、前半から個人技で勝る鹿島学園に長短のパスを織り交ぜられ、ポゼッションを譲る展開に。一条はGK西井を中心に集中した守備を見せ、FW北野、奥田の2トップの飛び出しを狙い、ロングボールで前線に一気にボールを運ぶ。中盤で鹿島学園のプレスに苦しんだが、先制したのは一条。左右に揺さぶった攻撃がチャンスを生み出した。
 32分に左サイドからの折り返しを、逆サイドから詰めていたMF原田が詰めてゴールを奪う。鹿島学園の守備陣の一瞬の隙を突いた。

 
 12分、一条は原田(3年)のFKに北野(2年)が頭で合わせるがゴールならず

 
 直接FKの際もスルーパスを狙うなど鹿島学園は攻撃に工夫が

 
 押され気味の一条が先制点を奪う 決めたのはMF原田(3年)

 
 ファインセーブの連発でチームを鼓舞した一条GK西井(3年)

 
 積極的な飛び出しが印象的だったFW北野(2年) 来季はチームの核か

 後半に入ると、一方的な展開に。一条は鹿島学園の猛攻を食らい続けることになる。しかしGK西井が次々に相手のシュートをセーブし続けると、CBの梶本、木村のコンビも相手の攻撃をディレイさせ、容易にゴールを割らせない。一条の巧みな守りの前に鹿島学園は攻めあぐねた。
 57分に鹿島学園のCKのチャンスに阿渡のヘディングシュートを許し、一条は追いつかれるが、決して諦めず80分間を戦い切り、試合はPK戦へと突入した。

 
 鹿島学園のシュートを止め続けた一条GK西井(3年)

 
 しかし、セットプレーから同点ゴールを許してしまう

 
 一条の攻守の起点はMF小峠(3年) 的確な配球でチームを引っ張る

 
 チャンスメイク、ドリブル 持ち味を見せたMF奥田(3年)

 
 相手の猛攻に苦戦したが、主将として声を出し続けたDF元木(3年)

 運命のPK戦は、先攻の一条が2本立て続けに外す苦しい展開。鹿島学園は3本目まで全員が成功させ、4人目が決めれば勝利というところだったが、ここで一条GK西井がファインセーブ。しかし、次の一条の5本目を鹿島学園GK長峰が止める。
 この瞬間、開幕戦で一条の2年ぶりのチャレンジは幕を下ろした。

 
 一条、2本目の岡本一馬(3年)のキックは相手GKに阻まれる

 
 これを決められれば負けというところでGK西井が意地を見せたが・・・

 
 一条5人目の元木のキックは、無情にもGK長峰がセーブ

 
 勝利を掴んだ鹿島学園 次の相手は野洲か岐阜工か

 
 下を向く必要はない 讃辞を送るべき素晴らしい戦いだった

 
 チームのスローガン通り 彼らの戦いは素晴らしかった

 近年、なかなか勝ち進めない奈良県勢。非常に悔しい敗戦となったが、彼らがこ戦いで得たものは大きいはずだ。この光景を後輩たちがどんな想いで見つめていたか。来年のリベンジに期待したい。奈良県の高校サッカーは決して色褪せていないはずだ。