脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良ダービーを思う

2008年12月26日 | 脚で語る奈良のサッカー
 府県リーグ決勝大会の準決勝が行われた日曜日に、Jユースカップの準決勝も大阪で行われていた。府県リーグ決勝大会の決勝戦が奈良ダービーならば、奇しくもJユースカップの決勝戦は大阪ダービー。こちらは27日に決勝戦が長居スタジアムで行われるが、しばらくトップチームでは大阪ダービーはご無沙汰なだけに、非常に盛り上がりそうである。

 奈良ダービーは、来年の1月18日に、これまた奇しくも長居第2で行われるのだが、勝利した方が自動昇格、負けた方は履正社FCとの入替戦に回ることになる。対峙するのは奈良クラブとJST。今季も奈良県リーグでは首位を争った好敵手<ライバル>といっても良いかもしれない。

 思えば、奈良クラブとJSTのマッチアップは、因縁めいている。奈良クラブの前身、都南クラブの最後の試合が今季の奈良県リーグの開幕前に行われたJSTとの奈良県社会人選手権決勝だった。試合は1-0で辛勝した都南クラブが奈良クラブとして、7月の全社関西大会の切符を掴んだのだが、県リーグでは、消化試合の違いもあって常にJSTに上を行かれた。単純に今季のリーグでの成績を見れば、奈良クラブはJSTの後塵を拝している。共に無敗でリーグを戦い続け、奈良クラブが3分けを喫したのに対して、JSTはわずか1分け。選手の若さを武器に快進撃を続ける彼らに奈良クラブは常にプレッシャーをかけられたものだ。正直、県リーグプレーオフでの直接対決は必然だったと感じる。そのプレーオフでこそ4-0で奈良クラブが圧勝したが、リーグでの直接対決は1-1の痛み分けに終わっているのだ。

 今回の奈良ダービーは、用意された舞台が違う。奈良県リーグにおいても、また、関西社会人サッカー界にとっても一石を投じる画期的なマッチアップとなったはずだ。昨季も府県リーグ決勝大会の決勝は滋賀ダービーだったが、2年連続で県代表2チームが決勝まで勝ち上がれることは、確実に奈良県サッカーのレベルが関西でも決して低くないことを実証してくれている。

 奈良クラブの誕生は、奈良県リーグに確実に新たな息吹をもたらした。サポーターが応援する風景、以前にも増した勝負に対するこだわり、これまでは“見せ物”ではなかった試合に訪れる観客、“アンチ奈良クラブ”の意識で試合に臨んできた県リーグの他のチームはどこも手強かった。奈良クラブとJSTに並ぶ奈良県リーグの強豪Atleticoは、全国クラブチーム選手権の切符を掴んだ。奈良クラブの1強状態にならなかったことが各チームの切磋琢磨をもたらした気もしなくはない。

 その意味では今回の相手に不足はない。奈良県サッカーが少しずつ変わり出している姿を年明けのダービーで垣間見てもらえれば、それは奈良のイチサッカーファンとして本望である。